秋刀魚

 水深500メートル地点に仮拠点を置いて、5日、食料を狙った群れやたまたま拠点上から降りてきたものたちとの小競り合いはあったが、事前に決めたフォーメーションと作戦により怪我人は出ても全て軽傷で済んでいた。

 わざと血を撒き散らす事で此処は危険だと他者に教える事で争いを避ける忌避剤にしていました。

 そんなこんなしていると・・・


 ゴアアアアアァァァァ!!!!!


 凄まじい轟音の鳴き声があたり一帯に響き壊していた。

 その方向はあのデカい兜魚がいた場所から鳴っている事を理解した貴方は鳴き終わる前に弾を飛ばして牽制しました。


 はぁ?!うるさっ!!


 牽制で放った弾が更なる轟音によって目標に届く前に弾け飛んでしまいました。

 それに驚いた貴方はすぐに飛んでいた音圧に吹き飛ばされそうになりましたが、長い胴体を岩に巻きつけて耐える事ができました。

 最高硬度の弾ではなかったが、今まで殻や邪力で弾かれる事はあっても目標に届く前にぶち壊される事は今までありませんでした。


 オマエラ!!直ちに荷造りしろ!!もし俺に万が一があったら速やかに下に降りろ!!!良いな!!!!


 貴方は群れ全体に指示を飛ばすと遠距離から届かないと判断して、兜魚の視認出来る位置に移動しました。

 そこにいたのは欠伸をしてまだ微睡の中にいるデカい兜魚の姿でした。

 ゴロゴロと寝転がるだけで凄まじい水量が押し流される様は災害そのものに見えました。


 ずっと動かないと思っていたら寝ていたのか・・・つーことは!そう来るよな。俺もそうする。


 目が開いたと思ったと同時に貴方に対してその大きな口をさらに大きく広げて巨大な肉体と思えない速度で近づいて食べてこようとしてました。

 睡眠欲を満たしたら食欲だよなと知っていた貴方は危うげなく横に避けてその大きなお目目に弾を高速回転させて弾き出しました。


 ・・・瞼あるのね。でも、傷はつくな。


 この暗闇で意味があるかわからないが、身体の中でも柔らかい目を潰そうとしたが、瞼を咄嗟に閉じられたことによってそれを阻むことに成功させていました。

 でも、その瞼には僅かに傷がついている事から自身の武器は通じると分かった貴方はこのまま中距離で戦えば勝てると思いました。


 まぁ、そう簡単に行くわけないか。


 完全に目を覚ました兜魚は頭だけだった硬い兜がその身体全てを硬い鱗と骨格で覆っていくのが暗闇からでも分かりました。

 その姿は正に甲冑。

 その佇まいは前世の知識にある武将のように見えました。

 そんな武将魚ぶしょうぎょは目などの比較的柔らかい場所も覆っている事から視覚以外で此方を探知出来る事を知りました。


 チッ!・・・全身弾丸魚か?!!追尾機能付きの!!


 一直線で突っ込んできた武将魚は貴方をぶち抜こうとしていましたが、それを軽やかに避けた貴方をまたぶち抜こうと方向転換して追尾してきました。

 泳ぐ最高速度は僅かに武将魚の方が上のため、直線に逃げずに左右に避けて甲冑の隙間を探しましたが、そんなものは見つかりませんでした。

 その上、武将魚の追尾性能は向上しつつある事から今までは一撃、二撃で終わっていた為、追尾に慣れていなかったのが伺えた。

 武将魚は尾まで硬質化させている為、推進力は全て邪力を噴出させる事で魚雷ように進んでいました。


 このままやっていても燃料切れで勝てるが・・・・・・・・・試してみるか。


 巨体に見合った邪力量だとしてもこれだけの噴出かつこれまで一、ニ撃で終わっていたなら燃費を考えず突っ込んできている為、此方を捉える前に燃料切れになると貴方は予想しましたが、この後の深海での戦闘を考えて、今のうちに実戦で試してみることにしました。


 すぅぅぅぅ。はぁ!!・・・秋刀しゅうとう。・・・一刀両断には出来なかったか。深海に沈まれたら困るんだよ。


 貴方の身体は正に太刀となり武将魚を横から斬り伏せました。

 今まで傷一つつけられた事がなかった攻防一体の形態で重症を受けた事が信じられずまま倒れ伏しました。

 このままだと更なる深みに落ちてしまうと分かっていたので鞭のように身体を捻らせて武将魚の巨体を自分の群れの方へ吹き飛ばしました。

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