これ、使い道あったんだな。

 貴方は賭けに出ました。

 死か、生か、己の直感に賭けた貴方は・・・成功しました。


 あは!サソリらしい!甲殻類の旨みのある味だなぁぁぁ!!!ぐふっ!ぁぁ、やっぱり無傷では食えなかったな。


 サソリモドキは驚愕してました。

 自分が貼っていたのは己のいつの間にか備わっていた力を捕えるのに苦労した複数の触手を持つこの魚と同じ一度しか見たことのない種が使っていた風景と同化して隠れる術だった

 そいつも毒を使っていたが、毒のバリエーションも脅威度もこの魚の方が多くて高いと警戒して、接近する時は必ず姿を消してカウンターを防いでいた上、反撃されてもこの魚に己の装甲を破る術はないと判断していた。

 だから、毒による搦め手のみ警戒して、切りつけたりして血が付着した場所は魚にバレないように魚の体液を拭き取っていました。

 体液に毒が含まれている可能性が高い上、この魚の知能は己と同等か、それ以上だとこれまでの行動から確信していた。

 そんな奴の体液をつけておくなんて装甲に染み込んで身体を蝕む罠の可能性があり、罠だとしたらこちらが罠にかかっていると誤認させれると油断してくれるかもしれないと思っていたのだが、こちらに警戒を強めるだけで一切無駄だった。

 同族は必ずこの深さの場所で水面には行かないし、行けないので、下から奇襲しかしない。

 この魚が住んでいる花畑の近くに同族の死体や殻が複数あったのを覚えているサソリモドキは魚がこの習性を学習していると分かっていました。

 この攻撃はその習性から反する行為であり、こちらは姿を隠しているので、確実に尾を断てると確信したのに、避けられた上、膜が喰われた。

 これが食えるなんて思ってもみてなかったサソリモドキはそれを美味そうに食べる魚を不気味な己とは全く違う生き物、いや、生命体だと思い始めてました。


 あぁ、これか、ブッ!


 動揺して動きを止めているサソリモドキに貴方は謎の力を食べた事によって自身にもその力が備わっている事に気が付きました。

 体外に出して使っているサソリモドキとは違って、貴方は体内で練り上げた力を体内にある前世の知識にあるパチンコ玉程度の球に乗せて、口から吐き出してサソリモドキの甲殻を貫くだけの貫通力がある術を獲得しました。


 ?!!?!?!?!?

 遠隔からの己の甲殻すら貫いた攻撃に混乱していた頭をさらに混乱させられたサソリモドキは甲殻に触れる己の血と肉が貫かれた事が本当である事を嫌顔にでも理解された。

 その上、魚に喰われた箇所の膜の回復が遅く、力を通常より減っている事を感覚的に知ったサソリモドキは膜を無理矢理直すと姿を消した。


・・・・・・・・・・・逃げたか。・・・良かったーーーー!!!


 こちら側不利だと撤退したサソリモドキでしたが、本当に不利だったのは貴方の方でした。

 体内にあったパチンコ玉は食事していたらいつの間にか体内に精製されるもので使い道がない上に身体に貯めておくと体重が増えて動きが鈍る為、ある程度の大きさになったら捨てるようにしていた。

 だから、玉のストックはありませんでした。

 その上、最後に喰らった尾の部分は尾が切れかけレベルの重症だった。

 このまま続けていたら喰われるのは自分だと確信した貴方は冷静にまだ奥の手があり、作戦があり、サソリモドキが負ける可能性があると思わせる立ち回りに切り替えていました。

 それは成功と終わり、新たな力と無駄だった力の活用法が産まれたので、プラマイからしたらプラス貴方の勝利として終わった。


 逃げないと、逃げないと!もうこの海こんな場所には居たくない!!


 この戦いによってこの星全体の進化が進んだことを当事者達が知ることはありませんでした。

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