魔力って・・・美味いかな?

 クソッ!しくじった!・・・機動力を削がれた!!


 サソリモドキが貴方の背後にいつも間にか立っていたのにサソリモドキは貴方の急所を習わず、明らかにヒレを狙ってハサミを使ってきていました。

 他のサソリモドキや魚達、捕食者は一撃で相手を仕留めて喰らおうと急所など弱らせるなんて考えている節は存在していません。

 それがこのサソリモドキにはある。

 相手を弱らせ、抵抗させずに食べようとしているのが、節々から知能を感じとれました。

 この時点でこのサソリモドキは進化済み個体である事を貴方は理解しました。


 さぁ、どうするか・・・チッ!またか・・・・・・そう何度も喰らうかよ!!毒霧!


 知能が高く、安全に死角から相手の弱点をつくと予想した貴方は海流が背後へ流れていくように向きを変えていました。

 サソリモドキの気配を僅かでも感じた瞬間、霧状に毒を細かく体外へ分泌してサソリモドキへの攻撃を成功させました。

 全体的な毒の耐性が強いこのサソリモドキには視認性を下げた毒霧は回避はされにくいがその分、海水と混ざって毒の効能が減る為、致死性はないが、これは動きを鈍らせて自分の長所である速さを生かす為の毒だった。

 海中を浮遊しているユリ毒をメインにその他の毒をブランドにして即効性を改良した毒です。


 これで尾鰭の怪我はカバー出来たか?・・・いや、演技という可能性は捨てるな。コイツがどこまで知能があるのかを俺は知らない。地の利は此方、体格はあっち、・・・・・・・・


 貴方は淡々と有利、不利を見極めながら警戒を怠ってはいなかった。

 3度、3度も見た事によって貴方はこのサソリモドキが蜃気楼のように消える瞬間にサソリモドキの体外へ得体の知れない力が漏れたのを視認する事が出来ました。


 ・・・・・・・・・今度は下か!くっ!・・・舐めんな!!!


 初めて見た前世の知識には存在しない異世界の力に意識を向けてしまった結果、サソリモドキからの攻撃にワンテンポ避けるのが遅れてしまったのです。

 今度は腹鰭から腹部あたりを切られてしまい、かなり出血してしまいました。

 貴方は血管から粘性と海水に触れたところが硬質化してカサブタの代わりの毒を分泌して止血を一瞬にして済ませました。


 ・・・逃げれは・・・するが、ダメだな。ここ以外でコイツを察知するのは無理だ。必ず先制攻撃で尾を断たれて、逃げ足をもがれて死ぬ。此処で俺が仕留めるか、俺を襲わないようにトラウマを植え付けられたと思わせないとダメだ!


 このサソリモドキの奇襲をギリギリ致命傷になっていないのはここが自分のホームであるからであり、サソリモドキが潜んでいる場所に違和感を感じれる為だった。

 それも全力で集中と警戒度を上げているからであり、このサソリモドキ以外の捕食者がいる他の場所でこの個体だけを警戒、察知をするなんて今の貴方には不可能でした。

 結論、この場で対処するのが、最善の対策だったのです。


 ・・・・・・悩むなんてらしくないよな。・・・俺。


 貴方が覚悟を決めた事を気がついたのか、サソリモドキは一歩下がった後、蜃気楼のように消えた。


 サソリモドキが隠れながら見たのはリラックスして脱力している自然体な貴方の姿でした。

 さっきまでとは雰囲気が違う貴方に不気味さを感じているサソリモドキでしたが、ここまで来た苦労の旅路を思い出し、目的貴方を捕食するのにリスクを回避していたらダメ、と思考した後、潜んでいた水面付近からのハサミを振り下ろしました。

 

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