進化

「アハハ!!!ヒヒヒヒヒヒヒヒハヒ!!」


 貴方は海中とはまた違う浮力を感じながらぷかぷかと浮いているのを感じていました。

 そんな微睡の中で男女どころか生物だと認識出来ないそんな笑い声が聞こえて来ました。

 その声を聞いた貴方は狂気と懐かしさを覚えました。

 まるで数分前に聞いたような強烈な印象を魂に刻みつけるそんな笑いに此処がどこなのか察した貴方は今の状況を冷静に受け止めました。


 ・・・・・・あぁ、死んだのか。折角、生まれさしてもらったのに短いじ・・・魚生で悪かったな。・・・神様。


「フフフフフフ、!、?違うよ。君は死んでいない。ここに呼んだのは記念すべき最初の進化だからさ。」


 進化と聞いた貴方は昔した大人気ゲームを思い浮かべましたが、そんなレベルの上がる行いも特訓もした記憶がないとおもいました。


「君が思っているようなものは進化に必要ないよ。必要なのは欲望や経験、そして何より大事なのは素質だよ。君にはその全てがあった。それだけのこと。」


 カラカラと笑いながらとても嬉しそうに言う神様を見た貴方は凄く不気味なものを神様から感じとりました。

 心を読まれるとかは神様なら出来るだろうと気にしないが、それ以上にこの神様の嬉々と表情は何よりも悍ましく、気味が悪かった。


「クククククククク!!やっぱり面白いね。君は。ここ最近は期待はずれのゴミしかいなかったから。良かった、良かった。本当に・・・・・・また、ゴミにならなくて・・・」


 あぁ、この神様の期待を裏切る行為は死をも容易く超える危険性と恐怖を感じた貴方は、そのゴミ先輩方がどうなったかは聞かない事にしました。

 別にそこまで知りたくもなかった事柄だったのもあり、気にしませんでした。


「まぁ・・・そんなどうでも良いことは捨てておいて。君にプレゼントがあるんだ。」


 昔のことなんて世界の彼方に吹き飛ばした神様は貴方に接近すると貴方を強く抱擁しました。

 すると、暗く悍ましい何かが貴方の魂に絡まっていく事がハッキリと認識しました。

 感覚が鋭かった事が災いしてしまい、認識してまった事によって貴方の心は狂乱、発狂しそうになるのを無理矢理抑え込もうとしましたが、それが間違いである事を本能が告げました。

 本能に従い、全てに逆らわず受け入れた上で精神力を持って制する事で貴方の魂は更に向こうの領域へと押し上げられました。


「よしよし。さすが、僕の宝物・・・このまま輝いてよ。・・・・・・あぁ、全てが愛おしいよ。」


 廃人なりかけで意識混濁状態の貴方を大切に抱きしめながら全身で貴方を鑑賞するように楽しんでいる神様は最高級宝石になりうる原石を見ている気分を満たしていく中でこっそりをあげたことに貴方は気がつく事が出来ませんでした。


「さぁ、行っておいで。更なる輝きをもってまたこの僕の元に来るんだよ。・・・・・・決してゴミなってくるなよ。」


 最後に聞いた神様の声は何より暗く黒く永久に魂に残り続ける静かな声を聞いたあなたは何も感じませんでした。

 

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