第2話(メイド編)そういうところも大好きですよ?
「ご主人様、今日もお仕事、お疲れ様です」
普段とは全く違う、激アマな声。
「部屋のお掃除も、夕飯の支度もできていますよ」
「どっちにしますか?」
「え? ……私? ご主人様ったら、相変わらずですね」
くすっと笑う亜矢奈。そして、近寄ってきて耳元で囁く。
「私もちゃーんと、準備してますから」
「今日の夜、ご主人様の部屋にお邪魔しますね?」
「では、食事をお持ちします」
「ご主人様はそこで待っていてくださいね」
部室にあった小道具のお盆を持ってきて、机の上に置く。
「お持ちいたしました」
「今日のご飯は、ご主人様の大好きなオムライスです」
「本当ご主人様って、子供の時からご飯の好みが変わってないんですから」
ふふ、と少しおとなびた笑みを浮かべる。
「それに今日のご飯、私のお手製なんです」
「ご主人様が前に、私の料理を褒めてくれましたから」
「そんなにびっくりした顔して……もしかして、シェフに作ってもらった方がよかったですか?」
拗ねたような声。
「そんなことない? ご主人様、そんな言い方じゃだめです」
「女の子にはちゃんと、はっきり言ってあげないと」
「そうです、はっきりです」
「私の手料理がよかった? ふふ、ご主人様、素直になりましたね」
「偉いです」
「私が褒めてあげます」
いきなり頭を撫でられる。
驚くと、からかうような笑みを向けられる。
そして、耳元で囁く。
「だめですよ、そんな反応しちゃ」
「私とご主人様が付き合ってるってこと、みんなにバレちゃうじゃないですか」
亜矢奈が離れる。
「冷めないうちに、食べちゃってください」
「それとも子供の時みたいに、あーん、ってしてあげましょうか?」
「大丈夫? 本当、素直じゃないんですから」
「まあでも、ご主人様のそういうところも、私は大好きですよ」
亜矢奈はくすっと笑い、いきなりパン! と両手を叩く。
◆
「以上」
「先輩、喋らな過ぎじゃないですか?」
「それに、おどおどし過ぎで、ご主人様感がゼロです」
「ごめん? 謝罪は別にいいので、今後改善してください」
「今後もあるのか? 当たり前じゃないですか。先輩の演技力が壊滅的なので、私が特訓に付き合ってあげてるんですよ?」
「明日のテーマを伝えておくので、今日は家でイメトレでもしておいてください」
「明日のテーマは……幼馴染の同級生カップル、です」
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