第17話昼休み
「…んじゃあ…付いて来て?」
「了解」
食事を終えた昼休み。初夏日和にそう言われたので了承して付いて行くことに。まあ、今朝話があるみたいな事を言われてたしな。
「豊和君待って」
「どうかしたか?」
「て、手を出したら…幼馴染として豊和君を殺して私も死ぬからね?」
「出さねぇわ!何言ってんだ!?幼馴染なら余計に俺の事を分かって欲しいところなんだがっ!?優花の中で俺ってそんな人間なのかっ!?」
「だ、だって…」
いやいや…だってもクソもないからな?優花は俺をなんだと思っていやがるんだ?性獣かなにかだと思ってるわけ?今度コレも問い詰めないとな。
「豊和様」
「…愛はなんだ?」
「わたくし以外にはちゃんと避妊してくださいね♡」
「わたくしもなにもそういう事しないから!?頼むから教室で変な事を言わないでくれるか!?」
「牽制も兼ねてますのでお構いなく♡」
ったく…何の牽制なんだよ…。それにそこは流石に構うだろっ!?俺の人間性がクズに思われるだろ!?もう手遅れかもしれんが…。
「豊ちゃん…あんまり初夏さんのおっぱいばかり見たら駄目だかんね?」
「見ないわ!?」
「揉んでも駄目だよ?」
「揉まんわ!」
ホント俺を何だと思ってるんだか…。とにかく初夏日和に付いていく。向かう先はどうやら屋上みたいだ。さて…何の話だろうか?一応悠介さんと初夏日和のご両親には俺の事は内緒にしてもらっていた筈なんだがな。
♢♢♢
この学校の屋上は施錠されてない。普通に開放されている。そんな屋上だからこそ昼休みをここで過ごしたりご飯を食べたりとしている人達がいる。まあ、カップルが多いのはお約束かな?俺達はそんなカップル達の邪魔にならないように距離をとり、屋上の四隅の一か所に向かう。そして…先に口を開いたのは俺だった。
「ああ~ さっきはごめん。幼馴染達がおかしな事ばかり言って時間を取らせてしまって…」
「べ、別に謝らなくてもいいって。こっちが呼んだんだし…それよりも…あの三人と幼馴染なんだ?仲良いなぁとは思ってたけど」
「ああ。そうだけど?」
「その…さ。あの三人の中の一人が…彼女だったりするわけ?」
「いやいや…まさか。そんなんじゃないよ。ただの幼馴染…いや、大切な幼馴染かな」
「…大切なんだ…?」
「そりゃあね。大切な妹達ってとこかな。優花も愛も凛も手が掛かるし…」
「じゃあさ…城咲自身はあの三人に好意を抱いてたり…する?」
「それはないけど?」
「ふ~ん…そっかぁ…そうなんだ…」
「まあ、三人の事はひとまず置いておくとして…俺に話があるんだよね?」
「へっ?ああ、うん、そうそう、そうだよ。は、話があるからこうやって呼び出したんだ…ズバリ…言うわ…」
「うん」
「じゃあアタシと付き合って…」
「…はっ?」
「っ!?ヤババっ!?ち、違っ…今のなし!」
「あ、ああ…うん」
今のマジでビックリした。いきなり告白されたかと思ったわ。まあ、そんな事はありえないだろうけども。
「ええと…城咲なんだよな?」
「えっ?あ、まあ。苗字は城咲だけど…」
「ばっ、馬鹿っ!そういう意味じゃない!アタシに色々してくれたのはって意味だよ!」
ああ…やっぱりそっちか…こりゃあ両親から聞いたかな?変に恩に思われたくないから隠したんだけどな。
「…何の事?(…って言っても…)」
「…そこら辺は全部聞いてるからって言ってんのっ!だから誤魔化さないで答えて!本人の口から聞きたいだけだから!」
無駄だよな…。初夏の瞳が鋭くなる。冗談を言える雰囲気や嘘を言える雰囲気ではないな。
「…ええと…確かに色々したけどそれは気にしなくて…「あんな風にされて気にしないなんて無理だろ!」…」
急に大声を出す初夏。みんな何事かとこちらを見ている。初夏自身無意識に大声が出てしまったみたいだ。それに気がついたようで謝ってくる。
ただ一言言わせてもらえるとしたら言い方がマズくないか?あんな風にされてって言われるとなんか悪評が立ちそうなんだけど…。
「…あっ…ごめん…つい大声が出た…」
「いや…」
「…と、とにかく…アタシがやった事は犯罪だったんだぞ?どんな理由があってもしちゃいけない事だったの…でも…それもなかった事になってて…襲われそうになって…もう駄目だと思った時も…救ってくれて…そしてなにより…私の家族を元に戻してくれた…なのにそれを黙ってるなんておかしいでしょ?」
「それはほら…恩に着せたくないし…それに初夏は自分自身で悪い事だったって分かってるだろ?俺は初夏がどうにもできない事に手を貸しただけだから本当に気にしなくていいんだ」
「…じゃあ…まずお礼くらい言わせてよ。ありがとう…。本当にありがとう…色々してくれて…」
「…うん。お礼は受け取った。だからそのうえで気にしなくていいから」
「…ちょっと待って!?言葉だけじゃ足らなくない?そこは恩にきせてこないと!」
「いや、だから恩にきせないようにって言ったろ!?」
「せっかくだからなんでも言ってくれていいんだぞ?アタシは城咲が望むなら…なんでも…」
女の子がなんでもって言ったら駄目なんだけどな…。特にこの世界じゃあ何が起こるか分からんぞ?
「そ、その…付き合えと言われたら…つ、付き合うし…城咲の幼馴染が口にしてたように…こんな胸を揉みたいのなら…す、少しくらいなら揉ませてやっても…」
「うぉい!?何言ってるわけ初夏さんは!?」
「あっ…呼び方は日和な?幼馴染の三人を名前で呼んでたろ?アタシの事も名前で呼んでいいし!」
「…口調とか話とかころころ変わりすぎじゃない?」
「し、仕方ないだろ?こういうの初めてで慣れてないし普通緊張するだろ?」
「まあ…」
言われてみると…緊張するか。知らない異性に知らないうちに色々してもらってたら下心があるんじゃないかと疑うよな。だから俺はこう声をかけたんだ。
「まあ、何かあったらいつでも言ってくれていいから。その事で恩に着せたりしないし、何回でも日和の為に俺ができることを色々してみせるからさ」
そしたら日和はバッっと背を向けてしばらく黙ってしまったんだけど…何か怒らせる事でも言っちゃったかな?まあ、その理由を聞く前に優花達がきて場がめちゃくちゃになって聞けなかったんだけどな。
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