第16話高校入学から十日目
高校に入学してから早くも10日が過ぎた。本当に一日一日過ぎるのって早いよな。あっという間に過ぎ去っていってしまうな。
十日が過ぎたということは彼女が学校にようやく復学したという事でもある。周りには体調不良で休みという事になっていたんだ。たぶん中学からの友達だと思うんだけど、その子と笑顔で話しているところを見ると少しだけ安心してしまう。
ただ心配な事もあるんだ。たまになんだけど初夏日和がこちらをチラチラと見てくる気がするんだよな…。流石に気の所為だよな?
んっ?今、彼女と目があわなかったか?そう思っていると不機嫌な声で優花にこう言われてしまう。
「…また初夏さんを見てる…」
「…見てないよ」
優花の問いにそう答える。いや、まあ、見てたけど認められない事ってあるんだよな。
「絶対に見てた!」
「お前もかブ◯ータスっ!?」
「私ブ◯ータスじゃないよ!?」
凛が慌てて否定する。真面目に返されても困るのだが?
「間違いなく豊和様は彼女を見てましたよ。豊和様の視線を追いましたから間違いありません☆わたくしより大きいあのおっぱいに自然と視線が吸い寄せられているのでしょう。わたくしがおっぱいを豊和様の腕に押しつけると豊和様は非常に喜ばれておられるので豊和様はおっぱい星人なのです☆」
「うぉい!?愛は何を教室で勝手な事を言ってんだ!?しかも勝手に人をおっぱい星人にすなっ!?変な噂が広まったらどうしてくれるんだ!?」
「その時はわたくしが責任を持って豊和様をもらいますのでご心配なく♡」
「いやいや…そういう問題じゃないからな?」
「そ、そうよ!そういう問題じゃないわ!」
「そ、そうだよ愛ちゃん!け、結婚なんて…まだ早いよ!」
「お姉ちゃんも凛ちゃんも何をそんな甘っちょろい事を言ってるんです?わたくしは豊和様が手に入るのならどんな手を使いますよ?豊和様がわたくしに股を開けとおっしゃいましたら喜んで開きますし、孕めと言われたら何度でも孕んでみせます!豊和様が望まれるならどんな変態プレイでも受け入れる覚悟と自信があります!それがわたくしが豊和様に助けられた恩を返す事に繋がると思うのです☆」
「そんな事大きな声で力説すなっ!?それにそれは恩を仇で返すって言うんだよ!誰だよ!?愛にこんな無茶苦茶な知識を教えたのは!?」
「お母さんですが何か?」
「麻美さんかよっ!?」
「…お母さん…愛に何を教えてるのよ…」
「…お、おばさん…」
全く…。俺がクラスで浮いてしまったら間違いなく三人のせいだからな?まあ、すでに浮いてるような気がしなくもないが…。特にクラスメイトの男子は中学の時と同じ嫉妬の目だな。俺達はなんでもないんだぞ?そんな感情をぶつけられてもどうしようもないんだが?幼馴染だしな。
「し、城咲…」
「うん?」
俺に話し掛けてきたのは初夏日和だ。俺に話し掛けてるで間違いないよな?
「昼休み…ちょっと面貸してくんない」
初夏日和のその言葉にクラス中が静まり返る。俺は一言分かったとだけ伝えると初夏日和は自分の席へと戻って行く。顔が赤くなってた気がするけど何か怒ってるのか?そして初夏日和が席に着いたと同時に教室が今度は騒然となっていく。主に男子の声が教室中に響いているな。うるさいくらいに…。
「ぬわぁぁぁぁー!?」
「嘘…だろ…」
「アイツ…日和さんにまで手を…?」
「学年でトップクラスに可愛い女子を四人もだと…一人くらいわけろよな!?」
「マジ死ね」
「もげろ!」
「禿げろ!」
「そこ代われ!」
「どんだけ前世で徳を積んだんだよ!」
「おっぱい星人が!」
「なんで学校がこれから始まるっていう一日の始まりにハーレム野郎のイチャイチャをみせられないといけないんだよー!」
「男子うるさい!」
「男子さいてぇー」
「ホントさいてぇー」
「これは…危険ですね…」
「胸なの?胸よね?初夏さんみたいにやっぱり大きい方がいいのかな?」
「また!?また豊ちゃんが何かしたのっ!?」
ったく…ホントうるさいもんだ。俺のせいじゃないだろうが!?誰だ!?死ねだのもげろだの禿げろだの言ったヤツは…しかも俺はおっぱい星人じゃないと言ってるだろうに!?
そして…こらこら、優花は教室で自分の胸に手を添えてモミモミしない!みんな見てるだろ!?その様子を見て鼻血を出して倒れてる男子がいるじゃないか!愛は真似しなくてもあるだろ!?ブルンブルンすなっ!?今度は三人も鼻血を出して、残りは事情があって立てなくなってるじゃねぇか!!別のところが立ってる?やかましいわ!凛も思いきってとか言いながら真似しなくていいんだよ!
「…救いは…もうすぐ授業が始まる事か…でも…今日は…」
──さて、ゲームのシナリオ通りなら…
「──みんな、おはよう!」
「「「「「おはようございます」」」」」
「今日はみんなが喜ぶであろう報告があるぞ?」
来た!今の所はゲームのシナリオ通りだ。
「なんと転校生がうちのクラスにやってくる!」
おお~!と騒がしくなる教室。高校に入学してから10日が経過したところで彼女が転校してくるんだ。
「驚くなよ?なんと現役のアイドルだ」
一層騒々しくなる教室。そう。彼女は現役のアイドルだ。歌ってよし、踊ってよし、ルックスよし。この世界で人気ナンバーワンの清楚系アイドルだ。
それにしても…こういうゲームには結構な頻度で登場すると思われる職業だよな?アイドルやらナースわらスチュワーデスやら…みんな憧れるからこそ穢したくなるのだろうか?それともその職業と格好に惹かれて穢したくなるのだろうか?どうなんだろうな…。
「入ってくれ、
「はい!」
澄んだ綺麗な声。教室のドアが開き、彼女が入って来た。メインヒロインの一人でもあり、彼女もまた俺が助けたいと思う一人の女の子…。
「今日からみんなと一緒に学ぶ事になる、
「マジでっ!?」
「俺…ファンなんだよ!」
「俺も」
「私も」
「何でこの学校にっ!?」
ホントそれな?何でこの学校にと思ったわ。まあ、そうなってるからとしか言えないけど…。
「そ、そういえば…確かあのアイドルの子…豊和君もファンだったわよね?」
優花がそう言ってきた。それはそうと肩が触れ合ってるが大丈夫か?誰かに見られたら絶対にまた勘違いされるぞ?まあ、みんな転校生を見ていて、それどころじゃないだろうけど…。
「いや、ファンではないけど?」
「CD持ってるわよね?」
「いや、それは持ってるけど…」
「彼女の水着写真集も買ったわよね?」
何故それを知っている!?落ち着け…俺。表情を悟られるな…。動揺するな…。優花はきっとカマをかけているだけに違いない。平然として言葉を返せ。
「買ってないけど?」
よし、ミッションコンプリート!俺なりに百点満点の出来ばえだ。伊達に配信者なんてしてないんだぜ?配信者って言っても顔出しはしてないんだけどな…。
「机の引き出し…三重底…」
「っ!?……な……何故それを?」
「…
あぁぁぁぁーいっ!?何故にあなたがそれを知っているので!?絶対に後で問いたださねば…。
「他にも、幼馴染の女の子とイチャラブエッチのディスク、三つ編みの女の子とラブラブエッチのディスク、それから妹孕ませのディスクを持ってるって聞いたわ」
「そ、それは…愛からもらったもので…」
「…愛がそんなものあげるわけ…」
「あげましたよ!意識してもらう為に☆」
「ほ、ほら…そんなどうでもいいことより、授業が始まるぞ?静かにな」
「そ、そんなの買わなくても…ね?わ、私が着て写真なんて…撮らせてあげるし…させてあげる
のに……」
「声が小さくて聞こえないんだけど?」
「な、何でもないわよ…ばかっ…」
優花の声が小さ過ぎて何て言っているのか聞きとれなかった。なのに…馬鹿とは一体…。 優花とそんなやりとりをしているうちに彼女の席が決まり、すでに彼女は席に着いている。初音日和の隣の席になったようだ…。
さてと…今日は彼女から目を離さない様にしないとな…。
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