第53話優花からの…

「ずっと…助けられた時から…好き…なのっ…」




「…優花…」




「と、豊和君から…告白して欲しかったのに…言ってしまったじゃない…」



「優花…俺は…」


「だ、だいたい…好きでもない男性に料理作ったり…その…この間みたいに…キスしたり…そんな事があっても平気なのは…豊和君が大好きだからに決まってるでしょっ!?そ、それくらいは察してよねっ!?」



「「「キスっ!?」」」


 両親と芽依の驚愕とした表情と声…。キスって誤解…ではないか…。薬のせいとはいえディープキスまでしてるからな…。俺は思わず額に手を当てる…。


「豊和…あ、あんたっ…優花ちゃんにキスしておいて…そのうえでアイドルから告白されて返事を保留って…」


「そ、そうだぞっ!?優花ちゃんの唇を奪ってるなんて聞いてないぞっ!?」


「お兄ちゃん!?私にもキスはっ!?」


 三人に詰め寄られてしまう…。何と言おうか…。


「ちょっ、ちょっと三人とも落ち着いてくれ」


「落ち着けるわけないでしょ!?息子が不誠実な事をしてたのよっ!?優花ちゃんに申し訳ないと思わないのっ!?」


「だ、だから母さん話を…ゆ、優花も頼むから何とか言ってくれっ!?」



「好きなんだもん…豊和君が他の子を選んだら…私っ…」


「大丈夫よ、優花ちゃん!私は優花ちゃんの味方だからねっ!」


「おじさんもそうだぞっ!義理の娘には優花ちゃんを推してるからな!?まあ、アイドルからのお義父さん呼びも捨てがたい気もするが…」


「あなたっ!?」


「おじさん!?」


「っ!? い、今のは失言というかだな!?」


「後で私達夫婦も話し合いましょうか。ねっ、あなた?」


「あ、はい」


「お兄ちゃん!?そんな事よりも私にもちゅう~~~っ!!!」



 ああ…もう…収集がつかない…。俺が悪いのか?俺が悪いんだろうなぁ…まじでどうすっかな…これ…。俺は携帯を取り出して愛エモンを呼び出す事に…。困った時は愛エモンしかいない。俺の思ったとおり愛さんはしっかりと説明してくれて…この混乱を鎮めてくれたのだった…。まじで愛さんには頭が上がらないな…。







「その…さっきは…ごめんなさい」


「…いや…優花が謝る事じゃないから」


 その日の夜…。俺の部屋に優花がやって来て開口一番そう口にした。どうやら今日はウチに泊まっていく事にしたらしい。まあ、たまにこうしてウチに泊まっていくのも当たり前だったんだが…告白をうけた後なのでいつも通りにはいかない。変に緊張というか…とにかくお互い落ち着かない感じだ…。


 


 そんな感じなのに…俺が腰掛けているベッドの俺の傍にちょこんと腰を下ろす優花。肩を動かせば触れ合うような距離だ。しかも…風呂上がりなのか髪はまだ濡れてるみたいだし…シャンプーの匂いというか、石鹸の香りというか…とにかくいい香りが俺の鼻腔をくすぐってくる。


 この状況って…マズくね?





***

あとがき


優花「…絶対にっ…キメるわ…」


凛「キメないでっ!?」


日和「そ、そうだぜっ!」


天音「そ、そうだよ…ま、まだ早いよ」


優花「う、うかうかしてたら…取られちゃうでしょっ!?」


日和「う、歌羽っちのせいで火が点いちまったなっ!?」


愛「お嬢様…なんと勇ましい」


芽依「それにしてもうちのパパとママの優花ちゃんの評価が高いよね…」


凛「だよねっ!?私は家が隣なのにっ!?」


芽依「まあ、凛ちゃんはなかなか来なかったからね」


凛「うっ…それはそうだけど…」


優花「外堀はうまってる筈よっ!め、芽依ちゃんとはうまってないけど…」


芽依「う、うめさせないからねっ!?」





 

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