第39話変わる関係性
〜風花視点〜
ガラの悪い連中が前方から歩いて来ていたのには気付いてた。だから道の端に寄ったのに、それに合わせるかの様にぶつかって来た。たぶん…わざとだったんだと思う。
まずはコチラから謝って…なのに…イチャモンをつけて…今思えば最初から私達を連れ去るつもりだったんだと思う。
そんな時だった…。私の視界に幸が映ったのは…。まるで物語のヒーローがヒロインのピンチに現れる。定番のストーリー。私の胸はそんな幸にときめいていた。ううん…違うわね…。いつからかは忘れちゃったけど好きだったから余計にときめいていたが正しい…。
いつも…幸とはいがみ合っているような関係だけど…それは私がこんな性格だから…。
と、とにかく、幸が来てくれたと幸ならどうにかしてくれると勝手に思ってしまった。
なのに…
幸は私達に気付いているのに…その場から一目散に走り去ってしまった…。振り返る事なく…。
「「…えっ」」
思わず水樹と洩れた声が重なった。どうして?助けようとする素振りすら見せてくれないの?その場で大声出すなり、サッと警察に電話するなり…もう警察に連絡してるからだとか色々あるよね?
それなのに…何で私達を…見捨てたの?そんな軽い関係だったの?
「「むぐっ…」」
それからあっという間にガラの悪い連中に捕まって口を掌で塞がれ、体もまさぐられて…。
(怖い、気持ち悪い…誰か…助けて…幸っ)
「「ああん?」」
そんな事を思っていると私と水樹の口を塞いでいた汚い掌が離れ…私と水樹は自由に動ける様になった。
「「痛たたたっ!?」」
慌てて何が起こったのだろうと視線を向けると同じ制服を着た男の子が私達を掴まえていた男二人の腕を取り、捻りあげていた。
そして…何が何だか分からないうちに5人の男達が地面へと倒れ伏せていた。
「大丈夫だった?」
私と水樹はコクコクと首を縦に振るしか出来なかった。男の子は警察が来るまで優しい言葉を投げ掛けてくれて…すぐにサイレンの音が聞こえてきて…そして…姿を消した。警察が来たとホッとした瞬間だった。いつの間にか居なくなっていて…お礼も伝えられていない…。
警察の人に助けられた事を話すと話は聞いていますよと言われた。
そんな時だった…。幸が私達の元に来たのは…。
「おう!二人とも、無事で良かったな?」
無事で良かった?笑いながら呑気にそんな事を言ってくる…。こっちは…口を塞がれ体をまさぐられ、怖かったのに…。好きだったから余計に腹が立った。何も出来なかったかも知れない…。でも…動いて欲しかった。
当然私は幸に八つ当たりみたいに当たってしまい、幸からは助けなければ良かったとまで言われてしまった…。私も今思うと言い過ぎたと反省している。
「…謝らないとね」
♢
「昨日は…ゴメン」
「ごめんなさい」
私と水樹は朝一で幸に謝罪する事にした。
幸なら許してくれる…そんな風に思っていたんだけど…
「ああ…別に気にしてない」
良かったとその言葉に安堵した…。次の言葉を聞くまでは…
「ただ二度と話し掛けないでくれるか?」
「「えっ?」」
「好きな人が俺には居るし、お前等みたいなブスと付き合ってるとか噂が立ったら困るからよぅ」
「っ…何よ…それっ…」
「幸…」
「友達でも何でもねぇんだから、苗字で呼べよな?分かったかよ、
「…分かったわよ」
「風花っ!?」
「私もあんたなんか…興味ないしっ、今日からは
「ああ、そうかい」
「それに…あんたみたいに知り合いをも見捨てる男になんかあんたの好きな人も振り向かないっ―」
“ゴッ!”
「幸っ!?何してっ!」
「うるさいっ!!!」
私は地面へと倒れこんだ…。頬が…強く痛む…。
「お、お前が…風鳴が悪いんだからな?」
その場から駆けて離れていく足音…。
「風花っ!大丈夫っ!?ちっ、血が出てるよ」
水樹が駆け寄り…殴られた私の様子を確認するとハンカチを取り出し血を拭ってくれる。頬の中が切れちゃってるみたい…。
「…っぅ…私…今日は…学校休むね?」
「…う、うん」
「私…私ね…幸の事…好きだったんだ…」
「…知ってる」
「…頬の中が…うぐっ…切れちゃった…みたいに…ひっく…全部…じぇんぶ…切れちゃった…うわぁ〜ん――」
「風花…」
***
あとがき
日和「…アタシの出番はいつだ?」
優花「えっ!?今!?それ今言うのっ!?」
芽依「私の出番もないんだけどっ!?」
凛「二人とも本編には触れないのっ!?」
日和「たりめぇーだろ!?暗い話よりアタシの事だろうよ!?」
天音「初夏さん…」
芽依「そうだよ、そろそろ私も」
優花「芽依ちゃんはそろそろ出て来そうよね?」
芽依「ホント!?ホントにそう思う?」
日和「アタシの出番じゃねぇーか?」
凛「ふ、二人とも…まだ先だと思うけど…」
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