第36話はいは〜い!

「はいは〜い!あなただけの性奴隷☆愛はコチラですよ〜〜〜☆」


「…街中でそんな大声でそんな事を叫ばないでくれる?愛さんの事は見れば分かるから」


「くふふっ…これは嬉しい事を言ってくれますね☆軽く性感度が1000は上がりましたよっ☆」  


「なるほど…ってそこは普通は好感度では!?」


「素晴らしいツッコミをありがとうございます☆私は嬉しゅうございますよ?」


「とりあえず約束した通り…行きますか?」


「はい。そうしましょう!時間は有限ですからねっ☆まずは…そうですね…あっ、あそこなんていかがです☆」


「んっ…何処ですか?」


「あそこの寄り道リンクと書かれているところです」


「んっ…そうですね、何のお店か分かりませんご行ってみますか!って、ラブホじゃないですかっ!?何言ってんですか!?」


「ちぇ〜駄目なのですか?」


「駄目に決まってるでしょうに…俺が本気にしてたらどうするおつもりだったんですか?」


「そんなの骨の髄迄愛してもらいますがソレが何か?」


 さも当然みたいに言うのは止めて欲しいものだ…。このまま愛さんに任せていたら大変なところに連れて行かれてしまいそうなので俺が率先して動く事にするか。俺は愛さんの手を取り…


「じゃあ…あそこから行ってみましょうか?」


「…はい♡あっ…こちらの方がわたくしは好きですよ?」


 ムギュッとその豊満な胸を俺の腕に押し当ててくる愛さん。これじゃあまるで…


「恋人同士みたいでございますね☆」


「あーっ!?って…ヤバっ…」

「―ちゃん…声がでかいよ!?」


 なんだか…聞き覚えのある女性の声が聞こえたのだが?俺は後ろを振り返ろうとして…


「わたくしとのデート中に他所を見るのは無粋というものですよ♡」


 そう言って愛さんはウインクをパチリッ☆今日はどうやら愛さんに存分に翻弄されそうだなと思いながら、まずは近くの雑貨屋へと入る事に…。



 まあ、こんな風にはしゃいでいる愛さんを見ていると…あの時助けられて本当に良かったと思えるよな…。





 愛さんはゲームには登場しない…。いや、正確にいうと登場したのは名前だけだ。シナリオでいうと天音のシナリオでそれは語られる。


 そう…あの立物の最初の被害者が愛さんだった。立物は天音を襲う時にゲームであればこう言うんだ。


「お前も愛みたいに監禁して、滅茶苦茶に犯して孕ませて薬漬けにして棄ててやるからな…せいぜい先生を楽しませてくれよ」


 ──と。


 結局ゲームではそれ以上、愛について語られる事はなかったんだけど、胸糞悪い話だろ?だから捜し出して立物が手を出す前に愛さんに接触、シナリオに介入したわけなんだ…。


 ただ…そのせいか…物語の修正力かは分からないけど、今度はまた別の男に狙われて…まあ、何とかそれも阻止する事が出来て今に至るわけなんだけどな…。





「どうされました?わたくしとのデート中でございますよ☆」


「ああ〜 愛さんを助けられてよかったと思っていただけですよ」


「っ!? そ、そう…ですか…。わたくしの事なら…何も言うわけにはいきませんね?ふふっ…」


「まさかあの時は優花のところでメイドやったり悠介さんの付き人になるとは思っていませんでしたけどね?」


「…それは…身寄りのないわたくしに寄り添って下さいましたからね…それに…」


「…それに?」


「一番はあなたの傍に居たかったからですよ?」


 またもやパチリとウインクしながら笑顔でそんな事を口走る愛さん。歳下の俺をあまりからかわないでもらいたいんだけどな?さては自分の笑顔の破壊力を知らないんだな?


「おやおやぁ〜 どうなされました?お顔が赤いようですが?」


「これは…別に…」


「ふむ…熱があるやも知れませんね?では…失礼して…」


「…はっ?」


「「嗚呼ーッ!?」」


 すぅ〜っと流れるような動きで俺の額に自分の額を重ねる愛さん。


「くすっ…熱はありませんね?」


 愛さんが話すると吐息がかかる。これはホントに心臓に良くないな…。そんな事を思っているとバタバタとこちらに向けて駆けて来る足音が2つ。


「こ、こら、愛!は、離れなさい!」


「と、豊ちゃんは何を赤くなってるのっ!?」


 優花に凛…。何でここに居るんだ?重ねられていた額が離れて愛さんは体ごと優花へと視線を向けて口を開いた。



「これはこれはお嬢様。どうしてここに?」


「いっ、いいからまずは離れてっ!」


「豊ちゃんのスケベっ!」


 優花は何を慌ててるのやら…そして…凛よ、何故俺がスケベと罵られるのか教えてくれないか?俺は何もしてないが?


「さて…邪魔が入りましたのでデートはどうやらここまでみたいですね?」


 優花とワイワイ話していた愛さんが再度俺の方へと近づいてきてそんな事を口にしながら――


「とりあえず…先日の分…いただきますね?」


“ちゅっ…”


「んなっ!?」


「豊ちゃん!?」


「唇と唇は…今度ですね♪」



 頬にキスをされて…そして…イタズラが成功したかのように愛さんは笑っていた。俺はというと優花と凛から何故か俺が怒られる羽目に…。俺は何もしてないんだけどなっ!?







***

あとがき


優花「全く…油断も隙もないんだから」


凛「豊ちゃんが悪いんだよ」


日和「それにしても…愛さんはゲームのヒロインだと思ってたけど違ったんだな」


天音「それね。感動さんもだよね?」


芽依「私もだけどね」


優花「ゲームのヒロインでいうと…私と初夏さん、歌羽さんの三人だけなのかな?」


日和「出てきてないだけかも知れないしな」


天音「主人公はどうなんだろうね?」








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る