第29話感動凛②
落とし物の連絡を受けてゲームセンターへと訪れた私は店の入口で入るのを躊躇してしまった。一人でこういうところに入るとなるとなんだか不良っぽい気がして変に緊張をしてしまった為だ。
それでも大切な物の為に意を決してゲームセンターの中へ。店の中は音が相変わらず凄いけど、開店直後に訪れたからか昨日よりも人はまばらに見える。 私はまっすぐに店の奥に位置する受付へと向かう。受付のカウンターには男性の店員さんが段ボールをあけて景品とおぼしきものを取り出したり仕事している。そんな仕事の作業を中断させてしまうのは申し訳ないんだけど…昨日連絡してるから対応してくれるよね?
「あ、あの…」
「はい?」
「お忙しいところすいません!」
「…何でしょうか?」
「昨日の事なんですけど、落とし物の件で連絡をもらった感動といいます」
うまい事言えたよね?
「ああ。もしかして昨日の?」
「はい、そうです!」
「昨日はすいませんでした」
「へっ?」
いきなり謝られたけど何でなんだろう。その疑問はすぐに解消される。
「実はですね、私とお客様がぶつかった場所に落ちていましたので、私がぶつからなければお客様が物を落としていなかったのではと自責の念に囚われていたんですよ…。ここのゲームセンターを友達登録して下さってたお陰で、もしかしてと思い連絡した事が結果的には良くて、こうして持ち主のあなたに返せますのでそこら辺はホッとした次第です」
昨日ぶつかってしまったのはこの人だったんだぁ。ぶつかった場所は多少通路も狭かったし、思ってしまったらダメなんだけど…体型がその…大きいのでそれは仕方のない事だと思える。
「い、いえ、私の方こそぶつかってしまいすいませんでした。それに私が落とした物に気付いてくれて、あまつさえ連絡迄してもらい本当にありがとうございます」
「いえいえ、とりあえず落とし物の返却に当たって記入してもらわないといけないものがあるので事務所の方にどうぞ?」
「あ、はい」
男性の後ろに付いて行くとスタッフオンリーと書かれている鉄のドアが見えた。男性がドアを開け…
「ドアを開けるとこの様に通路になってまして通路を挟むドアが見えるでしょ?左が事務所、右が入荷した商品の一時的な物置になってます!当然滅多に入れないので入って見てみたいというお客様も稀にいるんですよね」
「そ、そうなんですねぇ…」
そんな人がいるんだ…。
「あっ、すいません。しょうもない事を…」
「いえいえ…」
「それでは事務所の中へどうぞ」
「はい」
男性が事務所の中へ先に入る。私も遅れて事務所の中へ。
「そこの椅子にお座り下さい。すでに記入するもの等の準備は出来ていますので」
「はい」
私が席に着いてすぐに、男性が落とし物が入れられてある透明の袋と書類らしきものを持って来た。
「落とし物はこれに間違いありませんか?確認お願いします」
「はい」
私は手渡された透明の袋を手に取る。中に入っている物は当然透けて見えている。間違いない。豊ちゃんに昨日もらったものだ。
「は、はい、間違いありません。昨日私が落としたものはコレです!」
「やはりそうなんですね。良かったです!では、こちらに名前と受け取った物の記入をお願いできますか?」
「はい、ここですね?落とし物はキーホルダーで大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫です。名前はフルネームでお願いします。あ、後、すいません。念の為に電話番号もここに。はい、そこにご記入下さい」
「はい、はい…。コレでいいですか?」
「…ええ、確認しました。ちゃんと全部記入してもらえてますので大丈夫ですよ?」
良かったぁ…ホントに良かった…。豊ちゃんからの貰い物だから…絶対に今度は無くさない様にしないと。私はバックの中にキーホルダーを大切に入れると、店員さんに頭を下げてお礼を伝える。
「本当に…本当にありがとうございました」
「いえいえ…かまいませんよ」
私はもう一度頭を下げてから席を立ち──
「あっ、もう一つすいません。こちらをちょっと確認してもらってもいいですか?」
「えっと…は、はい」
男性が取り出したのは携帯。何やら携帯を操作してからその画面が私に見える様に差し出してくる。
なんだろう?
そう思っていると画面に写し出されているのはトイレの画像だった…。なんでトイレ…?
「えっ…と…」
私は何て答えるべきなのか分からなくて、いや、そもそもトイレの画像を見せられて私はどうすればいいのだろう?
「あっ、タップして下さい!動画ですので」
「あっ…そうなんですね…分かりました」
私は言われるがまま携帯をタップ。すると写真だと思っていたそれは実は動画で…
「………えっ?」
私は自分の目を疑いたくなった。耳もだ。 トイレに入って来たのは…昨日の私だったからだ…。動画は何故だか、どういう事か分からないけど私を正面から撮っている…。
『豊ちゃんが待ってるし…早く用を済ませて戻らないと…』
スカートを捲し上げ、ショーツを下ろし…便器に座る私…。ショーツをおろした際には普段誰にも見せないところもハッキリと鮮明に写っている…。
「…なに…これ…」
動画はそれだけでは終わらない。動画の視点が切り変わり…それは間違いなく便器の中から撮られているのが分かる映像…。
『…んっ』
“チョロっ…チョロッ──”
『…ふふっ…豊ちゃん…ホントに優しいな…』
用を足した際に出る水音も私の声もやけにクリアに聞こえる。今度は女性器もハッキリと写っている…。
「と、とうさ…つ…」
私の口から洩れ出たその言葉に男性がいち早く反応する。
「ちょいちょい!?何か勘違いしてないかい?これは防犯用にトイレに仕込んでいただけなんだよ?」
「…そ、そんな言い訳がっ…」
もういいとばかりに私は早くこの部屋を出て、警察に向かおうと思い、ドアノブに手を掛け──
「ホントにいいのかい?警察に行くつもりなんだよね?ぶひひひひっ…警察に行ったら人生終わるだろうなぁ…ぶひひひひっ…」
──男性が終わると言った言葉に引っかかりを覚えた私はドアノブから自然と手が離れてしまう…。
私は振り返り男性に問い掛ける様に言った。
「…終わるって…何がですか?終わるのは…あ、あなたの人生ですよねっ!?」
「君がどうしても警察に行くというのなら、僕は今からポチポチとこの携帯を操作して、君のこの放尿動画をエロサイトやらに#拡散希望って付けて、凛ちゃんの個人情報を最後に載せて色んな所に送る事にするよ?ふひっ…そしたらどうなると思う?それにここは俺が経営するゲームセンターだ。どうとでも言い訳してみせるよ?」
「なっ…!?…それは…」
私は答えられない。
そういうのは警察が全部対応してくれるんじゃあ…ないの?
「ふひっ…それにデジタルタトゥーって知ってるかい? それは一生消える事はないんだよ…?誰かがすぐに保存しているんだ。だから元が一度消えたとしても再びその誰かがその元になるのだからちょっとしたループになるんだよ…。ふひひひひっ…当然警察なんかはあてにならないよ?例えるならデジタルタトゥーは不死鳥みたいなモノなのさっ!」
「そっ、そんな事っ…う、嘘ですっ!」
「嘘じゃないよ?自分の携帯を出してデジタルタトゥーって調べてみれば?そうすれば分かるだろ?嘘を言ってないって事が。ふひっ♪それにばら撒く時は編集したものをばら撒く予定さっ!」
私は携帯を取り出しデジタルタトゥーって調べてみる。そこには──
「そんな…嘘っ…」
男性が言った事と同じ様な事が記載されている…。
「分かったかい、り~んちゃん?僕はじぇ~んじぇん、君が警察に行っても構わないんだよ?」
「ど…どうしたら…それを…消してくれるんですか?」
「な~に…簡単なお願いを聞いてくれるだけで構わない。それを聞いてくれたらコレを消すと約束するよ?」
「…簡単って…何を…?そ、それに…本当に消してくれるんですか…?」
「勿論。約束するって言ったろ?なんならデータが入っているのはこの携帯だけだからね。凛ちゃんの目の前でキチンとすぐに削除するよ?ぶひひひひっ…」
「…な、何をすれば…」
「凛ちゃんが自分でスカートを捲ってパンティをずりおろして見せてくれるだけでいいよ?」
「っ!? そ、そんな事…」
下着をずりおろすなんて…
「出来ないの?僕は君の大事な所もすでにぜ~んぶ見ているのに?生では見せないって?ふひっ…こりゃあ傑作だ。おしっこするところも見ているのに?ふひひひひっ…」
い、一回だけ…一回だけ…我慢すれば…盗撮されたデータを消して…もらえる…。
「…わかり…ました」
私はスカートをギュッと掴み…震える手でゆっくりと捲し上げていく…
「ああっ、それとパンティをずりおろしたらこう言ってくれる?『私の◯◯◯◯…どうか見て下さい』って…」
「いっ、嫌です…そんなっ…」
「僕の言う事聞けないんだっ?」
男性はニヤッと笑いながら携帯をわざと私に画面が見える様にチラつかせてくる…。 私は…唇を噛み締め…スカートを捲りあげていく…とうとう下着が露わになる…。本当に何で…こんな事に…。
「ふひひひひっ…ベビーピンクかっ!?いい!いいね!いいよっ!凄くいい!興奮してくるっ!コレに写っている白いおパンツも良かったけど今回のパンティーは特に凛ちゃんに似合ってるよ、うん!ふひひひひっ…」
私は…何を…やっているんだろう…。涙が溢れてくる…
「ほら、泣いてないで早くその可愛いパンティをおろしなよ?覚悟決めないといつまでもデータは消えないし、帰れないよ?」
豊ちゃん…ごめんね…?豊ちゃんより先に…他の男の人に大事なところを見られるなんて…思っていなかったよ…
「ほら、早くしなよ?」
男が急かしてくる…。
私はショーツに手をかける…。少しだけ…我慢するだけ……豊ちゃん…助けて…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます