第28話感動凛①
「今日はホント…楽しかったなぁ…。ねぇ…豊ちゃんも楽しかった…?」
私は机の上に飾ってある写真立てに入れてある写真にそう呟いた。 写真に写っている豊ちゃんは笑っていて…私のそんな呟きに俺も楽しかったよと返してもらったようなそんな気分になる…。
幼稚園、小学校、中学校…それに高校…。 私の家の隣に住んでいる幼馴染の豊ちゃんに私はずっと…好意を抱き続けている…。 好意を抱いたきっかけは幼稚園の頃…。私は内気なところがあって同じ組の子にでも一緒に遊ぼうとは言えなかった。そんな私をいつも気にかけてくれて…傍にいてくれて…。優花ちゃんや愛ちゃんとも豊ちゃんを通じて仲良くなったんだよね…。
幼馴染という関係は漫画や小説みたいに恋愛の対象にはならないとかよく聞くけれど…私は自然と彼に惹かれていった。カッコいいところも、頭がいいところも、大人っぽいところとか、逆に子供っぽいところとか好意を抱いている部分を挙げるとキリがない。
「…私が豊ちゃんに…好きっ…って素直に言えたり…もっと積極的になれてたら…今頃私達…付き合えてたかな?」
つくづく勇気が出ないこの性格や行動出来ない自分が嫌になる。その点、親友でもあり、恋のライバルでもある優花ちゃんや愛ちゃんは私よりも積極的だから羨ましく思う。
「優花ちゃんも…素直に好意を伝えられないから…今の関係なんだけどね…。愛ちゃんは伝えてるけど…伝わってないみたいだし…」
優花ちゃんや愛ちゃんがその想いを本気で伝えて行動したら…
「優花ちゃんや愛ちゃんを選んじゃうよねぇ…二人とも可愛いもんね…」
だからこそ…今日は…自分を奮い立たせてデート…だよね?うん、デートだと思う。デートに間違いないよっ!
そんなわけでデートに誘ったんだよねぇ…。
“ピコン!ピコン!”
そんな事を考えていると、携帯にメッセージが届いた。たぶん…優花ちゃんかな?それとも愛ちゃんだろうか?今日私が豊ちゃんとデートした事をどこからか嗅ぎつけて詳細を聞きたくなったんだろうな…。
「んっ?優花ちゃんじゃない。愛ちゃんでもない。誰だろう?ああ…コレって…今日行ったゲームセンターからだ。ゲームセンターのイベント告知等を送るって言ってたから…たぶんそれかな?」
メッセージアプリを開いて内容を確認してみる。
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当ゲームセンターにお越しいただき誠にありがとうございました!友達登録も本当にありがとうございました! 本日はお客様にお知らせがございまして、ご連絡させてもらいました。添付させてもらった写真に写っているキーホルダーを当店にて預かっております。御心当たりがございましたらこのメッセージに直接返信していただければと思います。 本日はご来店頂きましてありがとうございました(≧▽≦)
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メッセージにはそう記されていたので添付された写真を開いて見てみると…
「このキーホルダー…今日豊ちゃんが私にくれた物と一緒っ!?その場でバッグにつけた物だよねっ!?」
私は慌ててバッグを確認する。
「ない!?」
すると、つけていた筈のキーホルダーが見当たらない。デートに舞い上がっていて、もらった物をその場で落としてくるなんて…あまつさえ…それに気付かないなんて…ホント私は馬鹿だ。馬鹿過ぎるよ…。イヤになる…。
「と、とにかく返信しないとっ!」
たぶん…落としたのはあの時…。男性の店員さんとぶつかった時だと思う。あの時バックを確認していれば…。そんな事を思いながら返信を返すとすぐに返信が返ってきた。
「よ、良かったぁ~」
私はその返信を見て一先ずは安心する。大切に預かって置きますので受付に来られたらおっしゃられて下さいと記されていたからだ。
私は明日、早速取りに伺う旨を記載して返信をまた返した。するとお待ちしてますのメッセージが最後に届き、それを見た後でアプリを閉じる。
そして…
一瞬だけ…豊ちゃんをまた誘えないかなと思ってしまった。でも豊ちゃんからもらった物を落としたからそれを取りに一緒に付いて来てとは絶対に言えないよね…?
「明日…朝一番で取りに行かないとね…」
その日、私は早く就寝する事に…。早く明日になって欲しかったからだ。でも、そんな時に限って逆に何故か眠れないんだよね。
「眠れないよ…豊ちゃん…? それと…ゴメンね?もらった物を落としちゃって…」
寝たいのに色々と考え込んでしまい…ううん、色々じゃない…。豊ちゃんの事ばかり考えてしまう…。
「好き…ずっと好きなの…豊ちゃん…」
後ろからハグみたいにされて…温かくて…凄く嬉しかった…。
「豊ちゃん…んんっ~」
好きな人の事を考えてると体が熱くなるのは必然で…
「…んっ…♡ 豊ちゃん…♡ んんっ~~~♡」
致してから寝てしまう羽目になってしまった…。私の馬鹿…。
と、とにかく…致してからは寝るまではそんなにかからなかったので私は起きてすぐに準備をして朝一番にゲームセンターへと向かったの…。
それが…とんでもない事になるとはこの時は何も分からなかったし…想像していなかった…。
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