第27話ゲームセンター
「ここって…」
「この街唯一のゲームセンターだな」
凛の問いに俺はそう答える。だって楽しめる場所っていったらまずゲームセンターが思い浮かんだからだ。それにこの街唯一という事もあり大きくて広くてゲーム等の置いてある種類も豊富なんだよな。
「そういえば私、ゲームセンターって来た事なかったよ!」
「そうなのか?」
「うん。だから凄く楽しみ♪」
「それは良かった。じゃあ入ろうか?」
「うん♪」
「あっ、初めて入るなら少し音がうるさいかも知れない」
「うん、分かった」
ゲームセンターに入ると音楽やらゲームの音等が耳に入ってくる。慣れないと少しうるさく感じるかも知れない。俺は慣れてるんだけど凛は大丈夫かな?こういう雰囲気が苦手な人もいるしな。 大丈夫そ?と、耳元で訊ねると凛は少し音にビックリした感はあるものの大丈夫だよと返してくれた。
「…ホントっ!音が凄いね?」
「──だろ?暫くしたら慣れると思うから…とりあえず…無難にクレーンゲームからして回ろうか?」
「うん」
まずはお菓子が景品のクレーンゲームの台の前へ。繋いでいた手を離し、財布を取り出して…お金を入れ──
「あっ…(手っ…)」
「んっ?どうした、凛?もしかしてこのお菓子は好きじゃない?」
「ち、違うよ!?このお菓子は大好きだよ!き、気にしないで?それよりコレってどうやってするの?」
「ん、ああ…まずはお金を入れてだな。この→ボタンを押すと矢印の通りにこの上のアームが右に移動して、こっちの↑ボタンはアームが奥へと移動するんだ。物によるんだけどだいたいアームを取りたい商品に合わせる感じかな。とりあえずやってみるから見てて」
「うん、見てるね?」
お金を入れて、アームを動かしてとりたい物に合わせて──っと…。この辺だな。
「ふんふん…なるほどね、そういう風に移動するんだね」
ウィーンウィーンとアームが下へと伸びていき、アームがお菓子をガッチリと掴む。アームの強さも強くて助かるな。前世ではアームが弱いところなんかホントに弱かったからな。どうやって取るんだよというぐらいに。まあ、上手い人なんかはそれでも取ってたけどな。
「凄っ!?掴んだっ!掴んだよっ!?あっ、持ち上がったぁ~!?」
そんな風にはしゃいでいる凛を見てると初めてクレーンゲームをした時の事を思いだすな。景品にアームを合わせるのが難しくて…何回も何回も失敗して…そんで、取れた時は凄く嬉しかったもんだ。
“──コトンッ”
おっ!?どうやらうまく取れたな。俺も上達したもんだよな。今度コレ系の動画もあげてみようかな。前世でもよくそういう動画がユ◯チューブにあがってたしな。
「取れた取れたよ♪凄い凄いっ♪ねえ、ねぇ、私も取れるかな!?」
「勿論!一緒にやってみよう」
「うん!」
お金を入れて、凛の背後から凛の手の甲を掴む。
「ふぁっ!?」
「んっ…どうした?」
「う、ううん…何でもない…何でもないよっ!?(…み、耳元で豊ちゃんの声が…それに…豊ちゃんの息遣いも聞こえる…。か、顔が近い事がこんなに破壊力があるなんて…。それに体も密着しているし…背後から手を掴まれて…抱き着かれているみたいで…あううっ…な、なんか…恥ずかしいんだけど…恋人同士みたいでなんだか嬉しくなっちゃう…。はっ!?私匂いは大丈夫かなっ!?かなっ!?)」
「…凛?」
「んにゃあ!?こ、このボタンからだよね!?お、押すよ!?」
「うん、いいよ。ボタンを離すタイミングで凛の手を持ち上げるから」
「ふぁい!?お願いしますっ!?」
そんなに緊張しなくても大丈夫だぞ?任せてくれれば取れるからな?凛が人差し指でボタンを押した。アームが動き出し…この位置だというところで凛の手を持ち上げる。ボタンから人差し指が離れ、アームが止まる。
「うん。良い位置だ」
「そ、そう?」
「今度は奥な?」
「んっ…手…預けるから…宜しくね?」
「任せとけ」
アームが奥へと移動した後は当然アームが下へと伸びていき…
「掴んだ掴んだ♪」
「いいところを掴んだみたいだし、これは間違いなく取れたな」
「ホントっ!?」
俺は取れたのを確信する。アームが元の場所に戻り…景品が穴の中へと落ちていく!
「ホントだ!やったぁー♪♪」
「やったな、凛。まぁ、今の要領でやればいいから。今度は一人で挑戦してみな!傍で見てるからさっ」
「うん、ありがとう…豊ちゃん♪」
♢
「へぇ~ あの子可愛いな…。おっ!?トイレに向かった!?これはツイてる!いひひひひっ!とりあえず…サービス等を理由にメッセージアプリに友達登録してもらって…そして…ぶひひひひっ…」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます