第26話急なお誘い

 臨時休校二日目。昨日の優花の件でかなりの体力と精神力を消耗した俺は、遅めの朝ご飯を食べていた。


 純白のショーツが…モロに見てしまった女性の大事なところが、呪いなのかという程に脳裏に焼きついて離れなかった為に遅くまで眠れずにする事になった為だ…。


 それだけじゃない。匂いもなんだか甘い様なそんな薫りしたし、ヌルっとした…



「──って、いかんいかん!昨日アレだけ処理したのにまた頭がピンク色に染まろうとしているぞ!?煩悩退散煩悩退散煩悩退散──」



“ピンポーン♪”


 煩悩を追い払っていると、チャイムが鳴った。宅急便か何かか?とにかく俺は玄関へと向かう。はいはい、今出ますよっと…。


「は~い、どちら様?」


「…お、おはよう…豊ちゃん…」   


 玄関のドアを開けると、玄関の外に立っていたのは凛だった。凛がこうしてチャイムを鳴らして来るなんて珍しいなと思いながら挨拶を返す。


「おはよう、凛。どうかしたの?いつもならそのまま入ってくるだろうに?」


「え、ええと…急に来てゴメンね?た、たまにはお出かけしようと思って…チャイムを鳴らしたのは…その…心の準備というか…」


 凛の姿をよく見るとお出かけスタイルになっているのに今更ながらに気が付いた。いつもは三つ編みにしてまとめている髪がフィシュッボーンにされており、服装も上はオフショルダーの白い服、下は黒いスカートでお洒落にコーデして決めている。


「ああ…それでお洒落にキメてるんだな?凛にとても似合ってるし、可愛いと思う」


「ほ、ホントにっ? あ、ありがとう…豊ちゃん…」


 少し照れくさそうにしながら髪を弄ってる凛。凛は少しだけ内気なところがあるからな。


「どこに出掛けるのか分からないけど、気をつけろよ?そんな可愛くキメてたら絶対にナンパされるから、嫌なら断るんだぞ?」


「それは…勿論断るけど…」


「じゃあ、気を付けて行ってらっしゃい!」


「あ、うん。行ってきます!」


 凛が立ち去って行く。


 俺も玄関のドアを閉め──


「──って、違うよっ!?ちょっと待って!?何でドアを閉めようとしているのっ!?」


「えっ?」


 俺は凛のその声に閉めかけていたドアをまた開く。


「帰ろうとした私も私だけどっ!?そうじゃないんだよっ!?何の為に豊ちゃんの家に来たと思ってんのっ!?」


 何の為?それは──


「…服装チェック…とか?」


「違うよっ!?豊ちゃんと一緒に出掛けようと思って来たに決まってるでしょっ!!」


「えっ?そうなのかっ!?」


「…そうなんですぅ!前もって言ってなかった私も悪いんだけど…」


「そっかぁ…凛からそういう誘いなんて珍しいからさぁ、そう思っていなかったんだ。悪い」


「それは…そうなんだけど…と、とにかく…一緒にお出かけしてくれる?」


「了解。十分…いや、十五分くれ。中に入って待ってて」


「うん♪」



 急遽凛とお出かけする事が決まった。俺は急ぎ出掛ける準備に取り掛かる。






 とりあえず街の中心街へと繰り出した俺と凛。


「それでどこに行くんだ?」


「…えっ?」


「いやいや、『えっ?』って言われても…どこか行く予定があったんじゃないのか?」


「…行きたい場所は…特にないよ?」


「はぁ?」


「…たまには…一緒に…二人で出掛けたかったんだもん…いつもは優花ちゃんや愛ちゃんがいるしね…。それに…私達幼馴染なんだし、ま、漫画とかでも幼馴染同士出掛けてたりしてるでしょっ?」


「…いや、それは漫画の話な?」

 

「…優花ちゃんや愛ちゃんとはこの間も出掛けたよね?」


「それ連れ出されてるだけなんだけどな?」


「むぅ~」


 頬を膨らませて睨んでくるなんてどこでそんな高等な技を覚えてきたんだ?優花か?


「…また…優花ちゃんの事を考えてた?」


「…そんな事はないけど」


「それくらいは分かるんだからね?」


「さいですか…」


 流石は幼馴染か…。


「罰として…今から行く場所は豊ちゃんが考えてよ」


「俺が?急な無茶ぶりだな…全く…」


「今日1日私を楽しませる事、いいっ?異論は?」


「…ない」


「宜しい!じゃあ…行こうよ?」


 そう言って手を差し出してくる凛。はぐれないように手を繋げって事か…。俺は差し出された手を取ることに。


「どこに連れて行かれても文句は言わないようにな?」


「…う、うん」


 みるみる凛の顔が紅く染まる。それこそ鎖骨辺りまでほんのり染まっているのが分かった。


「えっ~と…そんなに手を繋ぐのが恥ずかしいなら離そうか?」


「えっ!?う、ううん。大丈夫…熱いだけだから」


「…暑いか?」


「…豊ちゃんが考えてる方の暑いんじゃないんだけどね?」


「なんて?」


「…早く連れてって…って言ったの」


「へいへい」



 まあ、とりあえずあそこに向かうか…。俺は凛を連れ定番の場所に向かう事にした。







 一方…その頃の優花はというと…



「見られた…見られた見られた見られた見られた見られた見られた見られた見られた見られた見られた見られた見られた見られた見られた見られた見られた見られた見られた見られた…」


「ブツブツうるさいよお姉ちゃん?何をそんなにブツブツ言ってんの?」


「だ、大事なところを…豊和君に見られちゃったのよ!?」


「……はっ?」


「だ、だからね?」


「いやいや…聞こえてるから…大事なところを見られたって何?ヤッたって事?」


「違うわよ!?ヤッてないわよ!?」


「だから昨日ヤッた事を思い出して、あんあんあん♡って励んでたの?」


「んなっ!?」


「とにかく…全部説明してお姉ちゃん?」

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