第9話神楽坂優花②

「ママっ!見てっ見てっ!コーシーカップがある〜♪」


「ふふっ…コーヒーカップね」


「あっちにはお馬さん!パカパカパカッ♪」


「お嬢様嬉しそうですね、奥様?」


「ええ。連れて来て良かったと思ってるわ」


「ほら、ママ!早く早くっ!」


「はいはい。そんなに慌てちゃったらコケちゃうわよ?」


「優花はそんなにドジじゃないも〜ん♪」



 私はお母さんと一緒に遊園地へとやって来た。入園口から入ってすぐ右側にぬいぐるみやらお土産が売ってる売店があって…コーヒーカップの遊具にメリーゴーランドもその場所から、回って動いているのが見えるのよね。思い出すと懐かしいなぁ…。




「ママ〜!今度はアレに乗る〜!」


「…ジェットコースターは優花にはまだ早いんじゃないかしら?」


「…身長制限がございますね」


「ええ〜〜〜っ!?」




 遊具に乗ったりして遊び回っていると視界に入ってきたのはジェットコースター。身長制限があり、当時の私は身長が当然足りなくて…だから乗れなくて…遠目に、乗ってる人達を羨ましいなぁと思いながら見てたっけ…。


 んっ?今なら豊和君と乗れるわね…。


 でも、あんな事があったから…遊園地はイヤかも知れないわね…。でも…駄目元で誘ってイヤなモノはいい思いに入れ替えてしまえば…。でもでも――。



 ごほん……。



 とにかくそういう訳で、代わりの別の乗り物に乗る事になって、乗ったのは電車。ライド・アトラクションの電車だ。小さな子供だけ乗るタイプだったから…それに一人で乗り込んで、その電車からお母さんに向かって、はしゃぎながら手を振ったのよね。お母さんも私に向かって手を振り返してくれて、写真も確か撮ってくれてた筈なんだけど…見た事ないわね…。 


「ママァ〜〜〜♪」


「優花ぁ!こっち向いて笑顔でピース頂戴!」


「ピ〜〜〜スッ!」




 もしかしたら写真から、この後起こった事を私が思い出さないで済むようにお母さんが隠してるのかもね…。


 そう…この後すぐだった…。 



「私はちょっとお花摘みに行ってくるわね?優花も一緒に行こうか」


「私はいい!」

 

「奥様、私が責任を持ってお嬢様の事は見ておきますのでっ」


「…それじゃあお願いするわね?すぐ戻って来るから」


「行ってらっしゃい!待ってるね?」


「うん」


 お母さんがトイレへと向かう後ろ姿を眺めていると――


「さぁ、お嬢様。あそこをご覧下さい」


「何々っ!?」


「この遊園地で一番人気のマスコットキャラクターハムハム犬太郎です♪」


「ふわぁ〜〜〜 可愛い〜〜〜♪」


「他にも猫太郎や牛太郎も居ますね♪どうせなら近くに会いに行きましょうか?」


「えっ…?でも…」


「大丈夫ですよ、お嬢様。私も居ますし、奥様が行かれている場所トイレからハムハム犬太郎迄はそう遠くないでしょう?」


「う、うん」


「今ならあのハムハム犬太郎のぬいぐるみがもらえるみたいですよ?貰えたら友達に自慢出来るかも知れませんね?」


「ホントっ!?じゃあ行くっ!すぐ行く!」


「迷子にならない様に手を繋ぎましょうね?人も多いですしね」


「うん、分かった」



 私達は犬太郎達の元へ。犬太郎達はパレードの最中だった。それを見る為に人々がどんどん集まって群がっていた。


「…見えないね?」


「では…あちらの方によく見える場所がありますのでこのまま付いて来て下さい」

 

「でも…」

 

 私がトイレの方に向かって振り返るとお母さんがちょうど出てきたところだった。お母さんはキョロキョロしている。私を探しているんだと思った。

  

「ママ――」


 お母さんに私はここだよ〜?と、大声を出して教えようとすると突然…侍女のお姉さんと繋いでいるその手を勢いよく引かれた――


「んむっ!?」


 私を手元に引き寄せたお姉さんはそのままの勢いで私を抱え込むと、喋れない様に口を塞ぎ、人混みの中へ入って行く。お母さんの姿が一瞬で見えなくなった。


 

 最初に思ったのは『何で?』だったと思う。どんどんお母さんと離れて行く。



 次に思ったのが『助けて!』…。お姉さんが私をどこかに連れて行こうとしてるのが流石に分かったからだ。足をバタバタさせて抗うもの効果はない。こんなに大勢人が居るのに誰も私に気付いてくれない。




 今思うと異常よね?パレードの最中だとしても誰かしらこの



 なのに…



 




 怖い…怖いよぅ…



 助けてっ…助けてよぅ…



 ママ…パパ…誰か…



 助けて…








「優花っ!!!」





 その声の主以外は…――







***

あとがき

 

優花「きゃぁぁ〜〜〜♡こんなのカッコ良すぎると思わない!?」


凛「こ、こんなの…ひ、卑怯だよ!?」


日和「現れたのが誰なのか流石に分かるだろ、これ…」


凛「ま、まだだよ。まだ分からんよっ!?もしかしたら…そう思わせておいてからの悠介パパかも知れないじゃないっ!?」


優花「んなっ!?そんなわ…」 


日和「それもアリかもな…」


優花「初夏さんまで何をっ!?」


日和「ここで新キャラクターとして、フンドシ一枚、体型はマッチョで、毒霧を吐くオッサンが出てきたらウケるんじゃね?」


優花「ウケなくていいでしょっ!?」


凛「…ウケ狙お?」


優花「凛ちゃんまでおかしいよっ!?」



 

 引き続き応援や評価、下部よりどうぞ宜しくお願いします!作者の励みになりますので!どうか!


 そして本日も3話更新です!


みんな「「「宜しくお願いします」」」




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