第12話 再会

 藤堂はストライキの混乱の中、山道を進んでいると、突然山賊に襲われた。数人の山賊が道を塞ぎ、彼を取り囲んだ。


「おい、そこの男!金や物を出せ!」と一人が叫ぶ。

 藤堂は冷静に構え、「無駄な抵抗はやめろ。君たちには用はない」と返した。


 山賊たちは笑いながら攻撃を仕掛けてきたが、藤堂は元刑事の経験を活かし、瞬時に身をかわした。周囲の環境を利用し、山賊の動きを封じ込める。


 数分の激闘の末、藤堂は一人の山賊を押さえ込み、「これ以上はやめろ。警察に通報されるぞ」と警告した。


 山賊たちは、藤堂の強さに恐れをなし、逃げ出した。藤堂は戦いの後、深呼吸をして安堵し、無事であることにほっとした。再び仲間のもとに戻る決意を固め、道を進んで行った。


 藤堂は山賊との戦いの後、ふと「北斗の拳」のことを思い出した。強敵と立ち向かう主人公たちの姿が、まるで自分の状況と重なるように感じた。


「力が全てではない、知恵も必要だ。」そんな台詞が脳裏に浮かび、藤堂はその教訓を胸に刻んだ。


 彼は再び仲間のもとに向かう道中、北斗の拳のキャラクターたちの不屈の精神や、正義を貫く姿勢を思い出し、自身の旅においても同じように心の強さを保とうと決意した。どんな困難が待ち受けていても、仲間と共に乗り越えていく力を信じていた。


 藤堂と仲間たちは、野外で食事を楽しんでいた。美味しい料理の香りが漂う中、ふと周囲に気配を感じた。すると、ジャッカルが現れ、食べ物に向かって突進してきた。


「やばい!」

 物陰から明日香の声がした。

 藤堂は瞬時に反応し、ジャッカルに立ち向かう。「動くな!」と仲間に指示を出し、ジャッカルを威嚇した。

 ジャッカルは一瞬ひるんだが、再び襲いかかってきた。藤堂は冷静に動き、近くにあった枝を手に取り、ジャッカルを追い払った。「来るな!」

 迫るジャッカルに藤堂は素早く動き、しっかりとした姿勢で対峙した。ついに、ジャッカルは逃げ出し、森の中へと消えていった。

「危なかった…」

 葛城が息を吐き出し、安堵の表情を浮かべる。

「藤堂のおかげだね、ありがとう!」

 明日香が微笑んだ。


 藤堂は、仲間を守ったことに満足感を抱きつつ、再び楽しい食事の時間に戻るのだった。


 藤堂がジャッカルを撃退した後、彼らは無事に再会を祝うことにした。明日香は料理を囲みながら、「こうしてみんな揃っているのが嬉しいね!」と笑顔で言った。


 葛城も頷き、「本当に。何が起こるかわからないから、こうした瞬間が大切だね」と心から賛同した。


 アリは、周りにある自然の美しさを見つめながら、「困難を乗り越えることで、さらに絆が深まる。今日はそれを実感したよ」と語りかけた。


 4人はグラスを持ち上げ、「再会と友情に乾杯!」と声を揃え、互いに祝福し合った。


 その後、笑い声が響き、食事を楽しみながら、彼らはこれまでの冒険や今後の目標について話し合った。楽しいひとときを過ごし、仲間としての絆を再確認する大切な瞬間となった。

 

 葛城は食事を終えた後、自然の中でリラックスしながら、ふと矢沢永吉の「アリよさらば」を口ずさんだ。「アリよさらば…」とメロディに乗せて声を出す。


 明日香はその歌声に気づき、微笑んで「懐かしいね、その曲。どんな時も元気をくれる歌だよね」と話しかけた。


 藤堂も頷き、「矢沢の歌は、聴くと気持ちが高揚する。旅の疲れも吹き飛ぶね」と賛同した。

「アリよさらば!アリよさらば!」

 アリは葛城の歌声を聞きながら、次第にイライラが募っていった。「何度も同じ曲を歌われると、さすがにうんざりだな」と心の中で思った。「そんなに俺に帰ってほしいのか?」


「ちょっと、私は先に帰るね」アリが立ち上がると、葛城と明日香は驚いた表情を浮かべた。


「どうしたの?」明日香が心配そうに尋ねる。


「いや、なんでもないよ。ただ、少し静かにしたくて」アリは軽く笑いながら言い、歩き出した。


 葛城はその後ろ姿を見送りながら、少し気まずい気持ちになった。「あ、歌いすぎたかな…」と反省しつつ、明日香はアリを追いかけて「また後で!」と声をかけた。


 アリは少し苛立ちながらも、仲間たちとの時間が大切だと改めて感じるのだった。


 葛城は同じ矢沢の『ラストシーン』を歌い、仲間との絆やこれからの冒険を思い描き、音楽がもたらす力を再確認した。歌が終わると、三人は互いに笑い合い、心地よい時間を共有した。

 

 藤堂は再会を祝った後、仲間たちに向かって最近調べたことを話し始めた。「実は、ストライキの背後にある事情を少し掴んだんだ」


 明日香が興味津々で聞き入る。「どんなことが分かったの?」


「この地域では、経済的な問題や不満が積もっていて、住民たちが声を上げているんだ。特に、雇用や生活環境に関する不満が大きいみたい」

 藤堂は資料を思い出しながら続けた。

 もしかしたら、アリ殺しにもそういった背景があるのかも知れない。  

 葛城も真剣な表情で頷き、「そうなんだ。これから私たちがどのようにサポートできるか考えないとね」


 藤堂はさらに、「この状況を乗り越えるためには、地域の人々とのコミュニケーションが重要だと思う。私たちも、彼らの声を聞くことで何か助けられることがあるかもしれない」と提案した。


 三人はその話を深めながら、今後の行動計画を考えることにした。状況を理解することで、彼らの旅に意味を与え、より大きな目標へと向かう力を見出していた。

 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る