第5話 大正解

「本当は事前に好き嫌いを聞いておくべきだとは思ったが、君を驚かせたくてね」

「主菜に唐揚げは大正解! このサプライズには驚いた」

「そうか。それは良かった」

「あんたは? 日本食なんて初めてだろう?」

「初めてだから、わくわくしている」

「それじゃあ、食おうか」


 箸を取る前に手と手を合わせて「いただきます」と唱えると、イグジストも少しだけ舌足らずで可愛い「いただきます」を唱和する。


 それから箸を取った蓮は唐揚げに真っ先に箸をのばした。

 

「美味い」


 皮はカリっとさくさく。中はジューシー。異国の国の総菜を易々作ったこの宮殿のシェフは天才だ。


「では、私も唐揚げとやらを頂こう」

 

 イグジストは箸の持ち方まで完璧だ。美しい箸使いで唐揚げを取り、ガブリとやった。唐揚げだったら日本の皇室でも出されたりするんじゃないのかな。だから決して貧相な料理ではない。

 

「歯ごたえがいいな。なのに中身はジューシーで柔らかい。これが君の国の食卓なんだな」

「唐揚げは国民食だから」

「そうなのか?」


 がぶりとやってからのナフキン口拭きが愛らしい。蓮はがんもどきの煮物の椀を持ち上げる。がんもどきでもカボチャでも芋でも、美味い出汁がしみ込んだ煮物も好物だ。イグジストは唐揚げが気に入ったようで、二つ目を取り皿に取っている。

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