第73話ギルド見学5

子どもたちは、ギルドマスターに興味津々。

元S級の冒険者の存在自体、貴重。

レアなので、憧れる。

「元S級冒険者って本当なの?」

「でもさ、ムキムキしてないよ?」

「魔法が強いんじゃないの?」

「ノアのお父様とどっちが強い?」

 甘えん坊たち、囲む。ベタベタと触る。

「こら、あなたたち。やめなさい。失礼ですよ!」

 引き離す。


「はじめまして、ギルドマスターのドミニク・イーリスです!元S級冒険者ですよ。」


 見た感じは、優しげな細身の中年。

 顔立ちは、綺麗な顔をしていると思うが、冒険者らしくない細身。


「フフ、人は外見では、判断できないものですよ!」 


 ふっと格好つけるギルドマスター。

 ふーん?と見上げる。


「私が副ギルドマスターのレイモンド・キブロスです。みなさん。今日は来てくださり、ありがとうございます。今日の学びがいつか、糧になることを願っています。」


 ふっくらとした副のギルドマスターは、何だか、可愛い。


「元冒険者???」

「元B級冒険者でした。今は裏方として、力を発揮してますよ。」

「ロザリーは??」

「あたしは、冒険者じゃないわよ。だから、当てはまらないわ。」


 ふーん!と唇を尖らす。


「冒険者になって良かったなって思ったことはありますか?」


 質問コーナーが始まる。


「いろんなとこに行けますし、出会いもありますよ。ダンジョンに入れば、お宝なども見つかりますし、自分の武器も作れるようになりますからね!ロマンですよ!」


「視野が広くなるのは、ありますね。一番嬉しいのは、任務やあとは、人助けで感謝されると、なって良かったとしみじみ、思いますよ。もちろん、大変な部分はありますが。」


 子供たちは、真剣に聞く。


「冒険者は自己責任です。任務を選ぶのもそれをやることも、ダンジョンに行くことも、戦うことも。全て。ですが、遣り甲斐のあるものだと、確信しています。」


「みなさんもこれから、選ぶことが多くなります。それは責任を持つものになることもあるでしょう。時に選ばなければ、後悔することも…あるかもしれません。ですが、どうか、諦めず、頑張って頂きたい。そしてもし、挫けそうになったら…回りにいるお友達に相談してください。そして、相談されたら、一緒に考えて下さい。必ず、自分の力になります。」


 パチパチ。


「ギルドマスターも副ギルドマスターも格好いいね!」

「すてきすてき。」


 キャっキャっ。

 鼻を高くするギルドマスターに苦笑する副ギルドマスター。

 ロザリーは笑う。



 案内を再開。


 医務課案内。

 医務室には、緊急に運ばれてくる冒険者等の病床があり、薬の匂いがする。

 医務課には、お医者様と薬剤師がいて、薬剤師は薬剤部門で働いてる。日々、薬の調合等、いろいろやっていて、部屋は、薬の匂いが、先程の病床より強い。


「あれ、すり鉢だ。」

「あれでゴリゴリ、擦るの?」

「見て、苦そうなお薬。」

「ノア。お薬。きらーい。」

 わかるうと甘えん坊たち、賛同。

「キャー。注射だあ。」

 コハクが気づいて叫ぶ。注射が大嫌い。甘えん坊、パニック。

「キャー!!!」

「落ち着きなさい!注射を打つわけではありませんよ!」

「なんだい。アンタたち。注射、苦手なのかい?」

「好きなやつなんていないよ!」

 こわーいとゴットリーにしがみつく四人。

 コハクはジュリーにしがみついてる。



 最後に解体部門の案内。

 さっきのムキムキの男たちもいるが、それよりも、おびただしい程の魔物の塊肉。

 その肉がぶら下がってる。


「ここで解体するんだよ。これは、ブルーブル。コカトリス、食卓に出てくることもあるだろうね。」

「美味しくて好き。」

「魔物には、核ってのがあってね。たまにそれが貴重な物だったり、魔石が出たりするんだよ。それを分別して、綺麗にしてやるんだ。狩ってきた冒険者の稼ぎになる。」


 ロザリーは、ぶら下がってる肉を素早く、捌く。


「アンタたちには、お昼に、この肉を焼いた焼き肉パーティーだよ!たんとお食べ。」

「キャー!!!!」


 沸き立つ一同。

 ギルド見学名物、解体部門による焼き肉パーティー。

 心踊る響き!!!


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