第68話 SIDE ロザリー・ミレアム

ロザリー・ミレアムは、ミレアム三姉妹の長女で、ギルドの解体部門所属。

母親譲りの容姿をしていて、快活。

面倒見が良く、妹二人からも、慕われている。


帰宅すると、ロザリー宛に、数通の手紙が届いていた。

どれも甘えん坊たちの保護者からだ。

内容は、似たりよったりであるが、でも、気持ちはわかる。

いい意味で、あの子達は、自由奔放、天真爛漫。

もし、外で、何かをやらかしてはいけないと、止める人が、多いほうがいいに決まっている。


脳裏に浮かぶのは、先程のこと。


ギルドマスター、自ら、呼び出しを受けた。

ギルドマスターの執務室に入室すると、そこには、副ギルドマスターもいた。

机で、しがみつくように、書類に嬲り書いてるようなペンを振る様は、髪を振り乱し、異様に映る。

それを監視するように、副ギルドマスターは、睨みつけている。

ロザリーが入室したことに気づいた彼がこちらに向く。


「ロザリー。よく来てくれました。」

「いえ。あたし何かしましたか?」

「何もしてませんよ。今日、あなたを呼んだのは、あなたの協力を頼みたいからなんです。」

「協力ですか?」


朗らかに会話をする副ギルドマスターの背後で死にかけているギルドマスターを見ながら、口を口を開く。


「今度、メニーポンズ学校の生徒たちが、ギルド見学をしにくる予定なのです。その中には、あの有名な甘えん坊四銃士がいます。その一人は、あなたの遠縁の子。なんとしても、当日、事が起きないようにしなければいけません。」

ふうとため息をつく、副ギルドマスターは、元B級の冒険者。

忍耐力が強く、責任感があり、このギルドでの良心。


逆に、仕事にだらしないギルドマスターは、事務関係の仕事が苦手であり、よく逃げ回る。

これでも、元S級の冒険者。

腕はかなりの実力者であり、頼りになるが、逃げ惑う姿を見てると、素直に、尊敬は出来ない。

今も、副ギルドマスターが、監視してるわけだし。


「バックに誰がいるか、想像に難くはないでしょう。もちろん、こちらとしても、最善は尽くしますが、あなたの遠縁の子がいるのですから。言うことを聞いてくれる可能性が高い。」


「まあ、実は、あの子達の保護者からも連絡を貰っていまして。任せてください。このあたし、ロザリー・ミレアムがあの子達の引率兼案内役を買いますよ!」


ドンッ。胸を強く叩く。




ふと回想から戻る。


夕食の席で、目の前に座り、ステーキを食べているマリーウェザーは、ロザリーに話しかける。


「楽しみだわ。ロザリー姉さまの仕事が見られるなんて。」


「期待しておきな。それより、マリー、アンタ、あの子達のことを見てくれない?手が回らない可能性があるからさ。」


「あー…そうしたいのは、山々なんだけど、あたし。あいつを見てないといけなくて。」


マリーウェザーがあいつと指してるのは、ルーシリア。


「なんだい?あの子はまだサボり魔なのかい。」


「成績はいいんだから、真面目にやればいいものを。」


ため息をつくマリーウェザーに、ロザリーは、眉をひそめる。


「うちのギルドマスターみたいじゃないか。ダメだね。そりゃ。いいよ。目に余るものなら、このあたしがきっちり、指導してやる。」


子供のうちに、直させねば。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る