第67話 お知らせ

ゴットリーは、他の同僚と頭を悩ませていた。なぜならば、もう少し経てば、行事がある。社会科見学である。

毎年、一年生は、ギルド見学か魔法省見学のどちらかを決め、来年度に、選ばなかった方を行くことになっている。


脳裏に浮かぶは、クラスの問題児たち。

自由に振る舞い、日々、常識を教えてる子達だ。

中でも、リーサは、今年、ギルド見学を選んでも、来年度は、魔法省見学がある。

いえ、魔法省とはいえ、限られた場所を見学するだけ。

リーサと折り合いが悪い、査問会は、魔法省の中でも秘匿にされた場所にあり、奥にあると言う。

そうそう、鉢合わせがあるとはならない。

しかし、リーサは、稀に見る程度の野生の勘が強い。

蛇蝎のごとく、毛嫌いしてる査問会の人達の気配を少しでも、気づけば、荒れることは、必須。いざこざは、避けるべき。


「今年は、ギルド見学にしましょう。来年度に魔法省見学とし、いえ、絶対にリーサから手を離さないようにせねば。」


「お手伝いします。」


問題を起こさないように、シミレーションをしていくのも、引率の務め。


保護者にお知らせを通達する。




「良いですか?あなた達。帰ったら、直ぐに、お知らせを見せるのですよ?」


「うん!知ってるよ。」


「出来るよ!」


「任せて!」


「いい子だもん。」


バスの送迎前に、念を押しておく。



「ただいまー。」 


「おかえりなさい。」


「おばちゃん、ゴットリー先生がね、お手紙を渡してって。」


「手紙?ああ、お知らせね。…ギルド見学に決まったのね。…。」


お知らせを見て、フィルは、考える。

呑気に手を洗い、おやつの存在に気を取られているリーサを見て、即座に、計算をする。



「バーベキューをするんだって!」

チーズグラタンのチーズをこれでもかと伸ばしながら、リーサは、興奮気味に言う。

お行儀が悪いわとフィルから注意が飛ぶ。

「あー。ギルド見学名物のバーベキューな。あれは一番良いぜ。ダンジョン産の肉は絶品だし、また食べたくなってきた。」

「冒険者が命懸けで取ってくれるからな。その価値は十分にある。牛もうまいし、意外と豚もうまいんだよ。ジューシで。ジュルリ。」

「ギルド見学の思い出は全部、それになるよな。」

上の従兄弟たちは、懐かしく、話す。


「ねー、母さん、ダンジョン産の肉でバーベキューしようよ。俺、ボア肉でもいいし、いや待って、レッドビーフでもいいし。ワイバーンもいいな。」


「コカトリスの肉も良いんじゃん?」


「ダンジョン産の肉は高価なのよ。」


息子の提案に笑う。


「まま、あのリュック出してね。」


「あれね。」


お気に入りのリュックを出してもらうのだ。

遠足時には、必ず、背負うリュック。

黄色と青色で可愛いワッペンがついている。

絵柄は、可愛いハチの絵だ。


フィルは、頭の中で、息子たちと会話を嗜みつつ、とある人物に、手紙を書くように決めた。








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