第66話 練習室

授業以外、魔法の使用は、厳しく、取り締まられていて、校則でも、決められている。

もし、破れば、停学か、もしくは退学。


魔法の練習には、規定の場所である別棟の練習室で、練習することは、認められている。

手続きをして、入室する。


マッキーとオルドーは、練習室の予約を取り、入室。

周りは、外に影響を及ばさないように、結界が貼られ、この練習室を管理する管理人が、定期的に、様子を見に来る。


時計の針は、現在、4時。

どんなに遅くとも、5時には上がらないといけない。

送迎のバスの最終に間に合わなくなる。



練習のために、使用していい、用意された木札を使って、設置すると、左右に移動するように、魔法が掛けられている。

これは、破壊されても、再生され、何度でも、使用可能。


「よし。」


リングをはめて、パチンと指を鳴らす。

指先から、閃光が走る。

“撃ち落とせ 稲光”


バンッ。魔法が当たり、木札が倒れる。


オルドーが新しい腕輪を装着する。

火炎系の魔法を助長させるための代物。

指差し、指先から、炎が出る。

メラメラと燃えるような炎だ。

“燃え上がれ”


木札が燃え上がるが、暖炉に薪を焚べたような燃え方だ。


「ちぇっ。失敗だ。ムズいな。」


「計算式、間違えたんじゃないか?」


「んー、操作もムズい。何か、しっくり、来ない感じ。」


「えー?俺もやってみよ。」


腕輪をつけて、今度はマッキーが試す。


ブスブスと燃え上がっていた木札は、既に、消化され、復元されている。


“燃え上がれ”


バチッ。


ボウッ。


木札に火がついたが、威力が足りない。


「あー!」


「な?ムズくね?」


威力が高くなればなるほど、計算式が必要となり、呪文を唱える共に、頭の中で、計算を弾くのだ。


何度か、練習しているが、一向に、熟練度が上がらない。

威力が増してない。


「何が悪いんだ?魔力も足りてるはずだし。」


「計算式だって合ってる。くそっ。集中力が切れた。ちょっと休もう。」


水筒に入ってるお茶を飲み込む。

火照った体を冷やすため、ゆっくり。

水分が喉を伝い、体中を冷やしてる感覚。


「なあ。あの図書室の前の事件、誰かやったか、検討つかないか?」

 

「俺もついてるけど、証拠が無い。無理に証言したところで、あいつは、のらりくらり、かわすだろ。そういう、小賢しい頭してるんだから。」


なんとなく、目星がついてるやつは、同級生で、何かと、自分達と、いがみ合ってる相手。


「あれ以上のことがないといいけど。」


疑念が現実に起きてしまうのは、あともう少し。




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