第64話 事後報告
「フィルおば様、ごめんなさい。あたしがいながら、こんなことになって。」
「マリー、あなたのせいじゃないわ。良かったわ。怪我もなく。相手は、犯罪者。もし、何かあったら、アンジェリカに顔向け出来ないわ。」
連絡を貰い、リーサをお医者様に見てもらうように連絡を取った。
匂いに敏感なリーサが、さっき、頭痛がすると、寝込んでしまい、慌てて、医者に見せたら、一時的なものらしく、後遺症もないので、安心をといわれ、ホッとした。
「あの魔石が麻薬なの?大人たちの話を聞きかじっただけだから、わからなかったわ。」
「違法なものに間違いないの。逮捕されるわ。これは、大変なことになったわ。無理に買わされた人達の中にも無意識に中毒者になった人もいたかもしれない。」
ゾッとする。新しい麻薬成分らしいと聞いたが、あの売り出していた商品は、更に、それを増幅させるものらしい。
まだわからない部分はあるものの、被害者が出てるのだ。
「何で、目を覚ましたら、デヴァイスの顔なの!!おばちゃんは!?おじちゃんを呼んでよ!!」
「あら!元気ですこと!!デヴァイス、安心しましたよ!!もー!お嬢様ったら、なんてゆーもんを引くんですか!!ギャンブルだけに留めてくださいよ!!デヴァイス、過労死で倒れたらどうしてくれるんです!?」
大袈裟に嘆くデヴァイスにイラッ。
お医者様が静かにお願いしますねと退席していった。
「大声出すなあ!!頭が痛いんだから!!」
「残念でした!お嬢様、デヴァイス、生まれてこの方、小さい声を出したことはありません!お医者様も匙を投げたほどですから。」
「キーッ!帰れー!」
「ベイビー?大丈夫?頭はまだ痛い?」
騒いでると、フィルが来た。
後ろにはマリーウェザーがいる。
「あの子達も無事よ。先に帰らせたわ。ブルームおじいさんたちも大丈夫。しばらくは、警備隊からパトロールを出してくれるわ。マルクスおじさまがお怒りよ。デヴァイスはもっと忙しくなるわね。」
「マリーウェザー様、そう思うなら、どうぞ、マルクス様に仰ってください。もー、あの人は、姪馬鹿にも程があってーぶふっ。」
ズバーン。枕を投げたリーサにフィルがよしなさいと止めた。
「めっ。ベイビー、興奮気味ね。やっぱり、薬の効果かしら。」
「違うわ。フィルおば様。」
抱っこと要求するリーサを抱っこしてあやす。
「それで?うちのベイビーに、被害が及んだのだから、取り締まりは厳しくしてほしいものだけど。」
マルクスは、デヴァイスからの報告を聞く。
「入手ルートは、現在、調査中ではありますが、麻薬は、最近、新物です。タブレットタイプでして、幻覚・幻聴、そして、魔力増加。中毒性が高いようです。魔石の方も厄介でして、細工をされていますが、高い高揚感を感じさせ、麻薬と変わらない中毒性に、魔力増加に加え、ほとんど、洗脳に近い思考放棄させるほどの堕落をさせる力がありますね。こんな魔石あるのかって疑いたくなるほどです。あの二人も、下っ端というより、操られていたと言う方が良いですね。被害者です。現在は、中毒性を抜かすために半ば、強引に入院させています。」
「そんなものをこの国に?…取締に頑張って貰わないと。詐欺行為かと思えば、まさかの展開…いや、売れてしまえば、金も入るわけだし。もしかしたら、操れる駒が増える可能性もあった…。」
「警備隊もギルドも連携を取り、パトロールを一層、強化していくとのことで、何より、あのフラン様のお父様が何より、激怒なさっていまして。いやもう。息子になんてものを見せたんだとそりゃあ、ピリピリしてまして。いえ、フラン様は何一つ、怪我もなく、無事なんですがね?何なら、あのあと、パイを食べてらっしゃいましたけど。」
「無理もないことだよ。デヴィットがしゃしゃり出てくる前に、何としても、カタをつけたいね。うちが取り引きしているエリアでも、犯行グループは、活発なようだし。」
「あー…はい。」
「ツェリがね?ベイビーが巻き込まれたって心を砕いてるんだ。母親だからね。優しいあの子が憂いがあるなんて、あってはならない。そう思うだろう?」
「あのツェリ様は大人しくなさってますよね?大丈夫ですよね?」
「詐欺行為だけでも許せなかったのに、麻薬なんて…ふう。早めに潰さなきゃ。」
「マルクス様?聞いてらっしゃいます?報復に行ってませんよね!?え?!ちょっ。人を呼べ!!ツェリ様を止めろ!!」
ぎゃーと叫ぶデヴァイスの悲鳴が轟く。
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