第61話 いざ、パトロールへ


「何で、デヴァイスがいるの?」


見張り役にデヴァイスの気配がする。

おそらく、リリーエが、聞きつけ、リーサの動向を見張るように言いつけた。


「手振ってみたら?」


「えーヤダ。」


「かわいそうなデヴァイス。押し付けられたのね。」


ぞろぞろと出歩いてる。ちょっとした大所帯。

四人とマリーウェザーにメイドたちが後ろで控えている。

マリーウェザーの小さな呟きは、メイドたちにしか、聞こえてない。




「もー。リリーエ様も人使い、荒い!!しかもバレてるし。あー、やだやだ。お嬢様の野生の勘。デヴァイスの繊細な心にヒビが入る。」


「デヴァイスさん、声が大きい…。」


「うるせー、あっちまで、聞こえねーよ。マルクス様に至っては、無茶苦茶なことを言いなさるし。もー、いっそのこと、お嬢様を家から、出さないようにしてくれないかな。」


そういった瞬間、聞こえてないはずのリーサがこっちを見て、キツく睨んでいる。

顔が威嚇してる。

キシャー!!



「お茶とお菓子を持ってきたよ!!シェフにね?美味しいお菓子を焼いてってお願いしたの。焼きたてのアップルパイとシュガーパイだよ!!」


フランがメイドに視線をやると、メイドが籠を見せる。

人数分の飲み物とお菓子を持ってきた。

お気に入りのピクニックシートも持ってきた。


「今日はピクニックじゃないのよ?パトロールよ?」


腹が減っては何とやらである。



テクテク歩いている。

今のところ、とても平和。

ちょっとした散歩気分。

「のどかだね〜。」

「何も起きないのが一番いいよ!」

「起きたら、お説教だよ!!」

「シミレーションしてきたもんね!」

砂利道をザクザクと鳴らして、陽気に歩く。

家がポツポツと連なってきたエリアまでやってきた。


「見て、立派なキャベツ畑よ。一面、緑色ね。」


「美味しそう。ロールキャベツ食べたい。」


「ポトフもいいよね。」


「あ!蝶々がいるよ。」


「かわいいね。」


このあたりは、よく畑も多いため、いろんな野菜が作られている。

ここは、キャベツを育てているようだ。


「むー?」


何かに気づいた。カカシのようなものがやってくる。魔法が掛けられているようだ。

メイドたちが、瞬時に動いた。

目の前に、立ちはだかる。


「フラン様。このカカシは、畑の見張り役みたいですね。」


よくあることだが、畑を荒らしに来るような輩から守るために、ガーディアンを設置する事はまぁまぁある。

ここは、カカシに魔法をかけて、侵入者を追い出すように仕組まれている。


「あ。よくよく見たら、あっちにも同じのがあるね。」


「お顔、可愛いお顔してるね。」


カカシに怖がることをしなかった四人にメイドたちは、ほっ。


「んーと、あそこは、ブルームおじいちゃんとマリダおばあちゃんがいるお家だね。」


こぢんまりとした木造の家が見えてきた。



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