第49話 色々回ってみたよ4

デイジーたちと分かれて、帰路に立つ。


ちらほらと小さな店が連なり、とても楽しい。


その中でも、古書屋に寄りたいとサラトガが言うので、中に入った。

古い本の独特な匂いに鼻がやられてしまったリーサに魔法で一時期的に、鼻が、効かないようにしてくれた。

抱っこされ、サラトガは、本棚に近づく。


専門的な本ばかりで小難しい上に分厚いものばかり。もっぱら、リーサが持ってる本は絵本が多い。

活字を読むのは嫌いではないが、挿絵はほしいタイプ。


サラトガの仕事が文字の歴史・解読等の研究職のため、よく、本を買っては、勉強している。

大体、そういった本は、挿絵がほとんどない。分厚いし、言い回しが難しいものばかり。


「あれ、珍しい。リーサ、見てごらん。“おかしなお茶会”だよ。初版版だ。絵本持ってるよね。」


小さい子なら童話の一つで、とても有名な話だ。お茶会が開かれ、主催者である女王様に参加者たちはそれぞれ、面白い話をしていく話だ。


元は、大人用だったのを子供用に改ざんして、作られたらしい。

リーサも大好きでよく見返した絵本だ。


初版本らしいその本は、ラベルの部分が文字が所々、擦り切れていて、中身も、紙が焼けたようにちょっと黄ばんでいる。

挿絵が一応あるようだが、昔の絵のタッチで愛らしさはない。


「?」


おかしなお茶会に出てる人物たちは、女王以外、動物だったり、ものだったりする。

のに、これには、女王以外の人間が登場している。小さな女の子だ。


チリッ。瞼に閃光が走ったように感じた。


「??」


サラトガが本棚にしまう。


本棚にしまわれてない、雑多に山積みになっている本は、売る気はあるのだろうか。

サラトガ曰く、意外と、小汚い古書屋の方が、珍しいものが置いてあるそうだ。

何冊か見繕って、会計を済ます。

これまた、胡散臭い店主だ。鼻のイボが気になる。

しゃがれた声で金額を言う。



古書屋から出て、ちょっとだけ、散策。


「あのね、この前、スペンサーとね。ザリガニを取ったの!!大きいやつだよ!!」


「リーサは、鳩以外の生き物は大丈夫だもんね。」


「鳩はさ!!リーサに意地悪なんだもん。怖いんだよ!!知らないの?」


「そうだね。」


リーサは、鳩が側に来たら、ご飯も食べられないほど、怖がってしまう。

あまりにも怖がるため、家には、強固な鳩よけの呪文が施されている。


バスに乗り、家に帰る。


玄関を開けたら、フィルが作ったのだろう料理の匂いがする。


「ただいま!!」

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