第47話 色々回ってみたよ2

サラトガと手を繋いで、テクテク歩いていく。

あまり、このあたりまで来ないので、興味深い。


小さな商店街もあるようで、人通りもよく通るようだ。

露天に並べてあるあれはなんだろう?見たことない…魔導具?


「あ。靴が売ってある。」


「手作りの靴を売ってるんだね。あっちは、テーブルクロスのやつもあるよ。」


大掛かりな布製品や小物などが縁日のように並んでいる。


「今度ね、婦人会でね。大掛かりなタベストリー?みたいなやつを作るんだって。おばちゃんが言ってた。それをね。孤児院に寄付するんだって。」


「ああ。聞いたよ。おまじないを掛けて、一つずつ、刺繍をしていくらしいね。」


「みんな、うちに来るかな?」


「んー。会館に集まるじゃないかな。」


会館は、紳士会・婦人会と呼ばれる会に入ってるメンバーが地域のために貢献するための大きな施設。

先祖代々、入ってる人もいれば、個人的に入ってる人もまばら。

入会してる年齢もバラバラ。


「コルルおばちゃんもやるんだって。」


「そうだね。コルルも手先が器用だからね。リリーエ先生が褒めていたよ。」


「ままは、お留守番で、カイヤとドレスアップの相談会を開くんだって。ジオルクが言ってた!」


「おしゃれをしてるツェリは素敵だからね。」


家でやらないでと甥たちに言われ、ジオルク宅で開催される予定のドレスアップ相談会。

巻き込まれたくないからだ。


「ほら、着いたよ。」


喋ってると着いた。



小さな洋館のような建物で、雰囲気がある。

窓から見えるのは、おそらく、修理を頼まれた品を飾っているのかもしれない。


階段をギシギシと登り、ノッカーを叩く。

なにかの紋章だろうか?変わった形をしてる。

扉につけられたランプが光る。


中から出てきたのは、お人形だ。

可愛いエプロンドレスを着た小さな女の子。

「お人形…?」

「おまたせしました。サラトガ様。どうぞ。中へ。」

「喋ったあ!!」

ビクッとサラトガに抱きつく。優しく、触り、大丈夫だと撫でる。

「リーサ、彼女は、メアリーって言うんだよ。うーんと、ここで働く従業員かな。」

「私は人形ですが、主様の魔力で動いています。あらまあ…ガルガンズの娘様…。」

「?」

後半聞き取れなかったが、ニコッと微笑まれたので、ちょっとだけ、警戒心を解いた。



中に入ると、おもちゃ箱をひっくり返したと思うぐらいに、色んなものが、雑多に飾られている。

さっきは気づかなかったけど、ちょうど、背後を歩いてるから、メアリーの後頭部が見える。

大きなリボンの中に、魔力を帯びた魔石のようなものがついている。

「サラトガ様からのご依頼であるペンの修理品はこちらとなります。」

箱の中身には、美しい碧のガラスペンが入っている。

金色の模様が入っていて、美しい。

リーサたちは、触ったらだめだと言われた。

マッキーたちも触ってみたいと言ったが、このペンには、護符がついていて、まだ、子供には扱いきれない物らしい。

「大事な品物ですから。お使いになる際には、お気をつけよ。」

「うん。ありがとう。」


メアリーの埋め込まれている瞳は、漆黒だが、一瞬、何かが変わった。

「ガルガンズの娘様…はて、何十年ぶりでしょうかな。」

「メアリー越しに見なくても。君の時間軸なら、そう昔でもないでしょう。」

可愛らしい声から、ちょっと年寄りな声がした

。サラトガに抱きつく。

「リーサ、この声は、この店の主、モルガンだよ。本人は、恥ずかしがりだから、メアリー越しで話してくるけど、勘弁してね。」

「生きてる人?」

「あははは。」

父が爆笑している。




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