第46話 色々回ってみたよ

文房具屋を出てから、サラトガは、リーサを連れて、乗り合いバスに向かう。


乗り合いバスは、行き先によって、料金が異なるバスで、馬車以外でよく使われる交通手段。


「どこまで?」


車掌から聞かれ、“ひだまりの丘”までと答える。

大人は200エル。 子供は100エル。

ちなみにこの国の通貨単位はエルを用いている。

小銭を渡して、中へ入っていく。


中は、混雑とまではいかなくとも、それなりに人がいて、空いてる席を探す。


バスに乗るのは、学校の送迎バスにしか、あまり乗らないリーサは、ちょっと興奮気味。


空いてる席に座る。窓から外が見える。


「ひだまりの丘に行ったら、修理屋さんに行って、次にお昼ごはんを食べてから、帰ろうね。」


「うん。」


これから行く修理屋さんは、昔から利用しているお店で道具などを出直してくれる所。

店主が凄腕な人で、どんなものでも、きちんと直してくれる。


「ぱぱは、お仕事のときに、あの汽車に乗るんでしょ?」


サラトガの通勤は汽車で通勤している。

大きな列車で、旅客列車も兼ねているため、一等車・二等車・三等車まである汽車。

これまた、何等車に乗るか等で料金が異なるが、サラトガは、いつも三等車を乗っているそうだ。

ツェリは、危ないからとせめて、ニ等車にしてと言ってるが、そんなに遠距離ではないからと、三等車に乗っている。


「馬車は嫌いなの?」


「普通だよ。汽車に乗るのもちょっと楽しいんだよ。席の奪い合いもあるけれど。」


「お席が決まってないの?」


「そう。自分で席を取るんだよ。」


あまり、汽車に乗ったことが無いから知らなかった。


「初めて、汽車の三等車を乗った時は、びっくりしたよ。人の多さに。朝だから、人も多いしね。」


「今より?」


今、バスの中にいる人も、全員、席に座ってるぐらい、多い。次に停留所に乗ってくる人は、立って、移動する事だろう。


「通路にも人がいっぱい、立つよ。」


目をまん丸にするリーサにクスクス笑う。


「次は、ひだまりの丘。」


「降りるよ。」


降りる準備をする。




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