第45話 文房具屋

いつの時代も手紙を送る文化は廃れず、現在でも、頻繁にやり取りをするときに使われる手法の一つ。


リーサも文字の練習を建前に、フランツと文通をしている。

フランツがいる北のキングブレストと文通して届く手紙は、少し時間がかかってしまう。

けど、いつも綺麗なレターセットで送られてくる。


そのため、リーサも吟味に吟味を重ねて、レターセットを選んでいる。

レターセットを買いに来てる店は、いつも来ている文房具屋で、ちらほらと、学校の生徒達の姿も見受けられる。


店内は結構広く、種類も豊富で、見本なども展示され、わかりやすい。

このあたりは、学校も近いし、事務職などの仕事場があるので、重宝しやすい場所にある。


「リーサ、見てごらん。これも可愛らしいよ。」


ハート型のポップな絵柄が可愛いらしいレターセットを見せるサラトガに、リーサは、悩む。


「むー。それもかわいい。んー、オフィーリアちゃんに手紙を書くときのにしようかな。んー。」


「これは、ラミアートされているやつなんだね。キラキラしてる。ほら。」


「わあ。綺麗。むー。色々あって、悩んじゃう。」


サラトガは、娘の買い物に付き合うことに苦に感じてはおらず、マイペースに、リーサに、レターセットを見せている。


人気なイラストレーターや美術絵を描いている人がデザインしたものもあり、とても素敵に思う。


「このお花の絵のやつ、可愛いかも。太陽みたいに明るいし。キングブレストは、暗いって言うから。明るいほうがいいよね。」


ひまわりのような花が全体的描かれた素敵なレターセットで、ぱっと明るさを感じる。



レターセットは、数種類、買っていく。

友達とのやり取りも頻繁にやっているため、消化するのは、とても早い。


ようやく決まった。


「ペンも見る。」


ペンコーナーに来た。

リーサは、鉛筆で文字を書くが、絵を書くこともあるので、色鉛筆や色ペンを持っている。


「あ!あれ!あれが欲しい。」


見つめる先を見ると、それは、100色程の色鉛筆が詰まっているパレットだ。


確かにあれだけ、量があるなら、綺麗に見える。


「リーサ、色鉛筆なら、うちにあるよ。」


「でもあれ、素敵だよ!」


リーサは、よく、絵を描くため、色鉛筆の消耗が短い。


リーサに扱いきれるかな。


「リーサ、100色は、ちょっとまだ早いから、この30色から始めてみない?レベルアップに必要なのは、コツコツとした練習だよ。ほら、思い出して。リーサ、最近、読むこと、スラスラ、読めるようになったでしょう?焦らず、リーサがきちんと頑張った成果だから。音読も今じゃあ、苦じゃないもんね?」


「…うん!!」


「じゃあ、この30色を買って、使い切ったら、この50色…段々、上げて、あの100色を買おうね。」



「うん!!」


納得してくれたようだ。






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