第41話 学校探検
学校はとても広い。
子供の足だと尚更、広く、教室移動も大変。
そんな広い土地の学校を常に綺麗にし、警備をしてくれる人がいる。
用務員さんだ。
メニーポンズ魔法学校は、校舎ごとに、学校の守り神がいて、学校側に危害を及ぼすと、判断した場合、容赦なく、襲うことになっている。
教師や用務員、そして、生徒たちには、手を出さないように契約が施されていて、滅多に、姿を見せない。
そんな守り神の世話をするのが、用務員。
用務員になるには、とても大変で、なるには、相当の努力と実力、そして、判断力が必要である。
誰もがそう簡単になれるものではない。
「ねぇねぇ。サンタさん。ちょっとだけ、ちょっとだけでいいから、守り神さん、見せて?」
アルミンがおねだりをしてるのは、メニーポンズの小学校の守り神であるかの有名な地獄の番犬と名高い、ケルベロス。
「ケルベロスって、お顔が3つあるんでしょ?知ってる。」
「大きいわんちゃんだよね?」
「お散歩できるんじゃない?」
アルミンの後ろで、他の3人は、おしゃべり中。
小学校の用務員を長年、務めている彼は、勤続年数、50年は過ぎているおじいさん。
学校の敷地内に家を持っており、家族と住んでいる。
とても穏やかで、絵本に出てくるような柔らかいおじいさんのよう。
長いひげが特徴的で、サンタクロースに似てるため、サンタさんと呼ばれている。
学校の庭で育てられている花の剪定を受けていた彼は、ハサミを袋に入れ、アルミンに向き合う。
「これこれ。アルミン、学校の規則で、守り神のとこは立入禁止と言われたろう?いくら、ロッシュヴォークの子供とはいえ、危ないからね。ダメダメ。」
「アルミン、いい子にするよ。檻の中に、入らないから。」
「これこれ。」
孫が祖父に必死におねだりをしてる構図。
「ケルベロスはね。とても獰猛で、頭がいいんだよ。賢くて、学校に、危害を及ぼすものを、容赦なく、攻撃するように、お願いしてるんだ。生徒に手を出さないように契約はされていたとしても、安全第一だからね。」
「ケルベロスは、見れないの?」
「危ないからね。」
ふーむ
「考えたんだけどね、多分、リーサたち、保護者がいないからさ?保護者を頼もうよ!」
「保護者?」
目を丸くするアルミン。
「そう!3年のクラスにいこーよ!」
ガヤガヤ…
「今日、実習室で、練習しようぜ。」
「いいな。えーと、じゃあ、申請に行かなきゃな。」
休憩中に賑やかになる教室で、双子は、放課後の予定を立てる。
「マッキー!オルドー!お前らのお姫様が来たぞ!」
クラスメイトから、大声をかけられ、振り向く。
「あ!いた!マッキー!オルドー!」
『リーサ!!』
無邪気に手を振っている。
「どうした?」
よく、保育園時代は、リーサは、双子のクラスによく来ていた。泣きじゃくり、双子があやしていたのもつい最近。
「ねえねえ、ふたりとも、リーサのお願いを聞いて?」
(嫌な予感がする。)
目を見合わせる双子。
「リーサたちと一緒に来て?」
「待て。リーサ、どこに?」
「んー?ケルベロスのとこ!!」
「…は?」
「マッキー、オルドー、押されてしまったのかい?」
「…。」
苦虫を噛んだかのような双子に慈愛の顔を浮かべるサンタさん。
「ねぇ、アルミンは、マッキーが抱っこしてるからさ。絶対に近寄らないからさ?アルミンにケルベロスを見せてあげて。」
「あのクソボケ。巻き込もうとしたら、居ないでやがる。」
「くそっ。」
スペンサーの教室に寄っていったが、スペンサーは、不在で、どこにいるかもわからいらしい。
「二人は、リーサに甘いのは、知っていたけども。あれは…そう。フランツがツェツリーエのために、学校の森に桜を咲かせた以来…あれもなぁ。季節は冬だったというに…。血はあらそえんのう。」
「…。」
「フランとノアは、サンタさんに抱っこしてもらう?」
「いいよ!」
勝手に決めている。
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