第38話 悪戯ピンキー
「コハクのまま、落ち着いたぁ?」
「ままは、いつも、ハッスルしちゃうの。」
かわいそうである。
「ねーねー、妖精の涙で、思い出したけど、コハクも悪戯ピンキー、習ったあ?」
「うん!!習ったよ!!」
悪戯ピンキーとは、名の通り、存在意義は、悪戯をすることを好む厄介な妖精のこと。
見た目は愛らしく、デフォルメされたようなかわいい胴体に愛くるしさを持っているが、悪戯加減は、可愛くない。
「かわいいよね?」
「うん!!でも、人には見えない位、速いんだって!だから、捕まえられないって聞いたよ。」
そうなのだ。人の目に止まらないほど、早く、捕まえることは出来ない。
「悪戯ピンキーがみたいなって、言ったらね!ままがね!嫌だって言うの!!」
「アルミンのままも嫌って!!」
「みんな嫌がるの。」
リーサは、虫かごを持ってるから、捕まえるのだと言ったが、ツェツリーエは、それはもう、嫌な顔をして、断然拒否を示した。
「リーサ、諦めなさい。悪戯ピンキーは、悪戯することが存在意義で、人に悪戯しないとだめな種族なんだよ。悪戯ピンキーは、予防も出来ないから、厄介なんだよね。いつ、出現するかもわからないし、魔法よけは、あまり効かないから。絶妙に人の嫌がることをするんだから。」
妖精ピンキーは、魔法よけがあまり効かない。念入りにやっても、すり抜ける。
悪戯ピンキーは、自然災害と言われるぐらいに厄介。
いつ、現れるかも予想できない上に、悪戯をしてる所は、事後で発覚する。
絶妙に人の嫌がることをするのだ。
洗いたての洗濯物をおじゃんにしたり、大事な書類をインクまみれにしたり、デート服を汚したり、壁中に落書きを書いたり…キリがない。
「でもさ、ぱぱ。」
「万一、見つけて、捕まえても、家では飼わないよ。」
膨れ面。
「うちには、すでに悪戯ピンキーみたいな子がいるんだから。」
「…?」
ツェツリーエの悲鳴が轟いた。
何だ何だと様子を見に行く。
ツェツリーエの衣装部屋がぐちゃぐちゃ。
「悪戯ピンキーだわ!!見て!!この鱗粉…!!」
殺気帯びるおばの姿に甥たちは、死にたくないため、部屋に入らない。
「ツェリ?大丈夫?…あぁ。酷い…ツェリの洋服に鱗粉は落とせるね。無くなったものはない?あぁ。ネックレスの紐を引きちぎったのか…。」
「ツェリ…!?どうしたの?…おいで。ツェリ。」
サラトガは、周囲を確認する。
悪戯ピンキーが侵入したようだ。
鱗粉が服にちらついている。
宝石など入っていた箱を無理矢理、開けたのだろう。留め具が壊れている。
マルクスがツェツリーエをなだめる。
「悪戯ピンキーどこー?!」
虫かごと網を持って参上したリーサは、キョロキョロ見渡す。
「あれ?」
「リーサ、よしなさい。ままは、傷心中なんだから。」
「悪戯ピンキーは?」
「逃げたよ。」
ガーンと落ち込むリーサに、抱き上げ、部屋から追い出す。
双子が慌てて、回収した。
「次、見つけたら、殺してやるわ!!」
怒るツェツリーエの様子に甥たちは、すぐさま、退散。火の粉を浴びたくない。
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