第32話 生活魔法


初期に覚える魔法は、派手な打ち合いのような魔法ではなく、魔力をコントロールするための防衛術と生活魔法と呼ばれる魔法、そして基本魔法を学ぶ。


身なりを綺麗にする洗浄魔法だったり、浄化魔法、物を浮かす程度の浮遊魔法。暗いところに明かりをつける魔法など。



洗浄魔法と浄化魔法は、作用的には似ているが、洗浄魔法は、汚れを主に落とすこと、浄化魔法は、匂いを消すことが主に違う。


「んー?ちょっとだけ、消えたかも?」


白いガーゼにわざとこぼしたシミの汚れを消すために、洗浄魔法をかける練習をリーサは、ガーゼを持ち上げ、観察。


「生活に欠かせない生活魔法の基本です。地味だからと言って、サボってはいけません。」


ゴットリーが、生徒たちの机を回りながら、観察をする。


「匂い、消えたぁ?」 


振りかけられた匂いを消すための浄化魔法をかけた。


クンクン…


「うん!!何もにおわないよ!」

「すごいね!!」


キャッキャ。



「キャッキャ。ホタルの明かりみたい。」


指から放たれる光をぐるぐる回す。楽しくなり、踊り始める。


「こら。ダンスしない。」



「おー?おー!!おー!?」


「リーサ、止まりなさい。足は動かさなくて良いんです。」


浮遊魔法で、浮かす対象は、鉛筆だったが、リーサは、浮かしたまでは良かった。


どうしたらいいのか、わからなくなった。

あちこち、移動して、バタバタ。

最終的にゴットリーに抱っこされた。




「見ててね!」


早速、習ったことを見せようとする。

シミになったタオルに洗浄魔法をかける。

すると、すぅーと消えていく。


「あら!上手よ!ベイビー!!」


パチパチ。フィルに褒められ、鼻高々。

ちょっとした小さなシミであるが、ちゃんと消えたのだ。


「スペンサーのお部屋も綺麗にできちゃうよ!!」


「んー…そうね。」


目をそらすフィルは、それは、無理だわとため息つく。



「あー…懐かしいな。俺もやったよ。先生は中々、認めてくれなくてさ。」


夕飯のロールキャベツを口に放りながら、食べるスペンサーはウンウンとうなずく。


「スペンサー、お前の洗浄魔法は、雑なんだよ。洗浄魔法って言うのは、意外と緻密な魔法なんだから。」


ジャッキーがため息を吐きながら、パンを千切る。

簡単に見えて、洗浄魔法は、緻密さを求められる。例えば、ああこれぐらいで良いかって思ってやると、汚れは取れない。


魔力を練り上げ、全体に、魔力を浴びせないといけないのだ。


スペンサーは、洗浄魔法と浄化魔法が苦手。

昔よりは良くなったが、今も完璧ではない。



「洗浄魔法と浄化魔法が苦手な奴って、大抵、ものづくりをする開発や実験者達が当てはまるよね。」


「ナギ、やめろ。」


スペンサーには、その道に行ってほしくない。

いや、開発者たちも人の役に立つように日々、努力してることは認めるが、大体、生活能力が低い。

そしてまた、変人が多い。







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