第31話 キャサリン・マガーの悲劇5
双子は目を見合わせていた。
リーサがまたやらかした。
デヴァイスがフィルに告げ口をしたから。
「ベイビーがキャサリンの元に…?」
「フランツ様を馬鹿にされたと思い、特攻したかと思われます。マルクス様が今、向かっていますが…。」
悲痛な顔をしてるデヴァイスに、双子は、コイツ、面白がってると思っている。
表情を少しは隠せよ。口元、ニヤリしてるって。
「ベイビーったら!もう…キャサリンの居場所なんて、どうやって知ったのかしら。いいえ、その前に、勝手に行ったことを叱らないと。」
これは、リーサが戻れば、お説教コースだ。
「マッキー、オルドー!!わかってるわね?ベイビーを庇わないのよ?」
「いや…わかってるって。」
双子は、リーサを庇うのだ。説教されていると、とりあえず、二人が、リーサの前に立ちはだかる。
「…!?」
リーサは、キョロキョロ。何だか、今、不穏な雰囲気を感じた。
「あのね?パパ、キャサリンがね!アルミンたちに酷いことを言ったの。アルミンたちの教育が悪いのは、親のせいだって。アルミンは怒っちゃったの!」
「言いたいことは山程あるが、ちょっと、静かに出来るか?まあ、言い聞かせなかったこちらの落ち度でもある…マルクス、落ちついてくれ。おそらく、言葉の綾だ。」
「パパとママの悪口は許さないぞ!」
「おやめ。アルミン…大人しくしてなさい…。」
ギルベルトは忙しい。アルミンの口を塞がないといけないし、マルクスを宥めないといけない。
「やい!キャサリン、うるさいぞ!せっかく、みんなと色々、お話してあげようとしたのに!!リーサたちをいじめるなんてひどい!」
「黙んな。何を勝手な…。」
「キャサリン、口には気をつけてくれないかな?そんな乱暴な言葉をベイビーに言わないで。傷ついたらどうしてくれるの。それに記事のネタに関しても、クレームを入れたいね。」
キャサリンは、怒り心頭中であり、相手がマルクスだろうと、なんだろうと、耳を貸すような余裕はない。
「キャサリン、黙ってろ。何もするな。余計な手間をさせるな。」
ギルベルトが仲裁に入る。
「ロッシュヴォーク…ギルベルト…まさか、目の前に現れるなんて…稀ね…これは…。」
「この件に関してはお互いに不問にしよう。メリットがない。でなければ、お前が差し向けた記者を今すぐ、父さんの元に送る。わかってるな?マルクス、何も起きてない。あの記事に関しては…後日、抗議文を出せばいい。お前たちもだ。部下を控えさせなさい。手を出すな。」
ギルベルトに咎められ、テオドールたちは、目を瞠ったが、合図を送り、中止を命じる。
「ちょっと待ちなさいよ。こっちは、ここを荒らされて…部下に手を出されたのに…。」
「聞こえない。口答えは許さない。外にいるのは、俺の管轄ではないから、今すぐ、ここを戦場にしても構わない。いくら、逃げ足が早いお前でも多勢に無勢で、あいつらは、俺たちのようにお行儀は、あまり良くないぞ?」
外にいるのは、マダムをコケにされたと思っているマダムの部下たちが張り付いている。
連中は、生粋の色町出身だ。
例え、外のやつでも、見逃さない。
今にでも、その首を切り落とす瞬間を狙っている。
「ネタにする相手を間違えるな。」
再三、言ってるが、治ることはない。
だって、生粋の変態なのだから。
「え?リーサがキャサリンの元に…あぁ。フランツを馬鹿にされたから?…自慢もしたくなった?何もキャサリンでなくても…フィルに叱られるだろうね。あの子は。もう。ギルが仲裁した?お礼を言わなくちゃね。さて、キャサリンもちょっとおいたが過ぎたね。方々から、攻撃をされるだろうに…。まあ、マルクスの耳に入っちゃったのがマズかったね。マルクスを敵に回すような真似をするから…まあ、どうでも良いけど…それで…ツェリはどこに行ったか知ってる?」
「私のお兄様たちをコケにしたそうじゃないの?気に入らないわ。うるさいわ…これだから、嫌なのよ!このコラ画像はなに?馬鹿にしているの!?」
裏でツェツリーエが、キャサリンを追い詰めている。
「黙りなさいな!お兄様をさも悪みたいに書いて!!許さないわ!!」
バリバリッ…!!
稲光が閃光する。
「ベイビー…!!」
帰宅したらフィルが待っていた。
お説教の気配である。
視界に笑いを堪えているデヴァイスが見えた。
「デヴァ…!!」
「こっちいらっしゃい!!」
「ギョエエ!!」
連行されるリーサを笑うデヴァイスを目に焼き付け、覚えてろー!!と叫ぶ。
しっかり、こってり、説教を受けた。
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