第24話 フィルの悪夢6

しばらく経ってから、お見舞いに来たアルミンたち。

「オスカーって、そんなに強いの?」

「逃げるのが早いんだって!!」

「女の子が好きなんでしょう?ならさ、僕たちがオスカーにめっ!って叱ったらいいんじゃない?」

「なりません。フラン様。」


お供を引き連れてきたアルミンたちは、部屋に通された。

リーサは、まだ外出禁止令を言い渡されている。


「なんで?僕たち、男の子だよ?」

「オスカーは、たしかに、女好きではありますが、男だからと油断してはなりません。えぇ…。あれは、グズです。」

乳母であるアンネに言われて、フランは、目をパチパチ。




「もー!!リーサちゃん!!だめでしょ!!知らない人に近寄ったら!!」


オフィーリアのお説教である。

リーサは、ジオルクの後ろに隠れている。


「フィルおば様が助けてくれたおかげで、良かったのよ!!甘い言葉につられたらだめなの!!」


オフィーリアの背後には感激しているリリーエとフィルがいる。


「オフィーリア。もうそれぐらいで、やめてあげなさい。リーサったら、ジオルクの後ろでアルマジロのように、丸くなってるわ。」


オフィーリアの母親がオフィーリアを止める。


「お母さん!!リーサちゃんには、ちゃんとわかってもらわないとだめなの!!リーサちゃんのことだから、絶対、悔しいって気持ちで、また近寄るに決まってるんだから!」


ビクッ!!!


ジオルクは、背後に感じるリーサの様子に、やっぱりと思っている。



「やり返して、どうするの!!関わらないの!!」

リリーエとフィルは、大拍手。




「んー?オフィーリアちゃんが、怒ってる雰囲気。」

「待ってよう。」

「まってよう。」

とばっちりを受けたくないアルミンたちは、待機。



「アニマルセラピーってやつだよ?ほら、もふもふのアビー。触っていいよ!!」

「アビー!!」


アビーは、アルミンと一緒に、発見したブラックドッグ。

大事に飼われていて、毛並み艶々のふさふさ。

アビーはお利口である。


一度も牙を剥けたことはない。そして、アルミンとリーサの性格を熟知している。

ワシャワシャ、撫で回しても、怒らない。


「アニマを連れてきたかったんだけど、パパがめっ。て言うからさ。」

「アニマは大きいからだめなんだよ。」

「大きいもんね。」

「違う。アニマは、ドラゴンだ。ドラゴンを我が家に連れてくるな。リスキー過ぎる。」



マッキーがツッコむ。

アビーですら、グレーゾーンだ。

もちろん、厳重な管理体制と許可を得てるため、許されている。

アビーの首輪には、特別な魔法が掛かっており、命令以外で、牙を剥かないようにしている。



「ごめんなさい。フィル、来るのが遅れてしまって。」


コルルがフィンに言う。


「良いのよ。ありがとう。お騒がせしてごめんなさい。私、自分が一番、許せなかったの。考えてなかったわ。ベイビーが私から離れるなんて微塵も考えなかった…。」


「誰もそんなこと、わからないわ。そうでしょう?フィルもわかってるでしょう?オスカーが悪いの。」


フィルをなだめる。

リリーエは、オスカーの元に行き、尋問しに言ったらしく、相変わらず、ふてぶてしい様子だったらしい。


「私、もっと強くならないといけないわ。母として、叔母としても。」

「…フィル。」

リリーエが涙目を堪えている。



フィルの長い悪夢が明けた。












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