第19話 フィルの悪夢

他人からの評価は、面倒見良くて、責任感が強く、公平性を持ち、優しくて、情に厚い。

その上、問題児たちが頭が上がらない相手でもあり、リリーエやカイヤの母親からの信頼がとても厚い。


家事能力が高く、特に料理や裁縫が得意で、人に教えるのも上手で完璧。

非の打ち所がない程の主婦の鑑。


リーサは生まれた頃から、フィルフリーク。

ずっとベッタリ。


「あら?おかしいわ。リーサ。あなた、お腹にいた頃から、私の言うことを聞くように念じていたのに。」

「なんで?なんで、リーサがままの言うことを聞くの?ままがリーサの言うことを聞いたらいいよ!そう思うでしょ?」

「やめなさい。しょうもない。」

母親であるツェツリーエより、フィルの言うことを聞く。


しかし、ツェツリーエがフィルにヤキモチを妬いたりはしない。妬く必要がないから。

リーサを見ると、幼少期、兄二人の背後をひよこのようについて回った姿が重なる。

あまりにも離れないリーサに、従兄弟たちは、リーサの気を逸らす。


従兄弟たちが母を取られたと拗ねたことはない。

気づけば、リーサが、自分の後ろにいるのだから。視界に入れば、抱っこの要求。巡るましい。



だから、油断していた。自分から離れることなんて、あり得ないと。

あの日…フィルは悪夢を味わった。

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