第13話 ゴーレム

初期魔法の一つ、土の魔法授業。

学校の広い中庭で、実践中。


「今日は、ゴーレムづくりの練習です。前回までは、教室で、粘土を弄りながら、イメージアップの練習をしましたが、今回から、外での練習です。粘土で練習下イメージを忘れないように、やってみてご覧なさい。」


ゴットリーの合図に、みんな、ゴーレムづくりに勤しむ。

座り込み、土に触れ、魔力を流す。


「出でよ。ゴーレム。」

魔力を流すと、ボコボコと、土が隆起し、形を成形していく。

ゴーレムは、時に攻撃や守りにも使える万能型。

ゴットリーは、事故が無いように、生徒を注意深く、見回す。

ちょっと苦心しながらも、ゴーレムが出来た者、早々に出来て、動かす者。

みんな、中々、うまく、成形出来ている。


「…。」

ゴットリーの目についたのは、リーサたちである。



真面目に授業をこなす甘えん坊たち。

いや、傍から見ると、土でほのぼの、遊んでるように見えるが、みんな、ちゃんと、やってる。ええ。

ノアは、魔力コントロールがちょっと苦手ではあるが、ゴーレムの人型もきちんと作れているし、動かすことも出来ている。

フランは、ちょっと、形が大きすぎるような感じがあるが、誤差範囲内。

アルミン、ゴーレムは人型と決まってるわけではなく、動物を模したゴーレムもあるため、まあ、良いのだけど、何をモデルにしたか、聞いてもいいかしら?いえ、聞くのは、やめましょう。動いてるもの。大丈夫。

「…。」

なぜかしら?リーサ。

あなたの作ったゴーレム。人型…ハニワ?

なぜ、こっちを見て、声を発してるのかしら?

「ヴェェェ。」

「喋ってる。」

甘えん坊たちは、笑ってるが、ホラーかしら。なぜ、ゴーレムは喋らないの。

どうしてかしら。ちょっと怖いわね。

リーサの大親友、オフィーリアは、ジオルクと共に、リーサが自慢してきたため、良く出来てると、褒めていた。

二人は、お手本のように上手。




「相変わらず、不器用だな。」

ピクッ。リーサは、気づいた。

今日は合同の授業だった。隣のクラスの子たちと。

「うるさいぞ。ルーシリア。」

燃え上がるような真っ赤な髪と蜜色の瞳をしてる少年で、綺麗な顔立ちをしてるが、性格は、尊大。

「呪い人形か?」

「ルーシリア。持ち場を離れたら駄目ですよ。先生に叱られるし、いつも、突っかかりに行くのをやめてください。」


ルーシリアに注意しに来たのは、ルーシリアの幼なじみで、ルーシリアの母親からお目付け役として、任命されてる可哀想な苦労人、コビト。

黒髪に緑色の瞳をしていて、お人好しそうな顔をしてるが、生来、面倒見が良く、だから、問題児のルーシリアのお目付け役に選ばれてしまったのだ。可哀想。


「これを見てみろ。才能がまるでない。呪い人形みたいじゃないか。」

リーサは、イラッ。

それが、ゴーレムに伝わった。

ゴーレムが動き、跳んだ。

強烈な右ストレートをルーシリアの頬を殴る。

「ルーシリア!!」

ざまあと言う顔をするリーサを視界に捉えたコビトだが、とりあえず、繕う。

「あははは。いい気味じゃない!!ルーシリア!!」

そこに現れたのは、金髪碧眼で、いつもセットを欠かせないウェーブの髪をした少女で、ちょっとぽっちゃりした体型。

腰に手をあてて、大笑い。

「マリーウェザー。」

「アンタ、今日は日直でしょうが!!サボるんじゃないよ!!コビト、こいつを甘やかしじゃあだめだよ!いっぺん、引っ張ったくといいわ。あたしがおば様にお願いしておくわ。」

マリーウェザーは、ルーシリアに一瞥しながら、リーサのゴーレムを見る。

「あら?リーサ、上手ね。うまく出来てるじゃない。」

「マリーのゴーレムは、強そう!かっこいい!」

マリーウェザーのゴーレムは、マリーウェザーの隣に立っており、等身大に大きく、ゴツい。

「そう?頑張ったのよ!ありがとう。」

マリーウェザーに褒められ、不機嫌さを無くしたリーサはご機嫌。

「逃げんじゃないよ。ルーシリア。」

マリーウェザーの意思を汲んで、ゴーレムがルーシリアを離さない。

「この乱暴者が…。」

「あ?」

マリーウェザーは、ルーシリアをぶっ飛ばした。




「でね!マリーがね。ルーシリアを殴ったらね!あっちまで飛んでったの!」

「なんであのバカは、学ばないんだよ。」

マリーウェザーは、ミレアム三姉妹と言う姉妹の末っ子で、有名である。

力が強い一族で女系家族。マリーウェザーの上には、姉二人がいて、これまた強いし、何よりも三姉妹の母親は、更に強い。

ちなみに、ミレアム家は、ハルベル家と遠縁にあたる。

「ルーシリアなんて、マーガレットに叱られちゃえばいいんだ!」

マーガレットは、ルーシリアの母である。

ツェツリーエの友人でもあり、唯我独尊の女性である。

SかMかと言われれば、完全なるS。

「マーガレットと言えば、TPOを学ばせなきゃ。」

「サラトガ、諦めたほうがいいわ。無理よ。相手はマーガレットよ?時に諦めは肝心よ。」

ルーシリアも問題児であるが、母のマーガレットはもっと問題児。

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