第10話 錬金術科と普通科

メニーポンズ学校は、錬金術科と普通科で2つの学科に分かれている。

厳密に言うと、学年に上がると、もっと細分化されていくのだが、小学校では、大まかに、基本知識を学んでいく。

錬金術は、その名の通り、錬金術を学ぶための学科であり、知識と好奇心を追い求めるタイプがそちらを希望する事が多い。あと、何かしらのもの作りが好きなタイプ。

ドワーフの子どもたちが在籍している事が多く、代々、錬金術科と言う家も多いのだ。




普通科は、魔法の基本知識を学ぶための学科であり、多くの生徒が在籍している。

魔法の呪文や歴史、その他諸々を身に着けていく。



基本的に杖を振り回すように呪文を放つというよりも、指をたてて、呪文を放つ感じだ。

もちろん、装備などより、効果は全く違う。

入学当初に、生徒は、全員、基本装備にあたる腕輪を利き手につける。



腕輪には魔石がついており、魔力を流すことで、発動する。

生活していくだけならば、その腕輪だけで、生活していけるが、例えば、冒険者、医療関係、魔法を特に使うような職業の場合は、腕輪だけでなく、ピアスや指輪、チェーン等、ジャラジャラ、身につけている人が多い。



魔法は、装備が欠かせないとも言われてるため、素材屋や装備屋等は、必需品。

母も宝石が好きである。だから、いざと言うときは、高価なネックレスや耳飾りなどを身に着けていて、雷を落としている。

「リーサもままみたいに、雷を落とすんだ。」

「人に向けてやったらだめなんだよ?」

腕輪をつけたリーサはニコニコ。

綺麗な紫色の魔石がついている。

「ゴットリー先生のブローチも素敵だよね?アメジストでしょ?」

「ねー!アクセサリーいっぱいつけてると、大人って感じだよね!」

「次は、装備学だよ。見てるだけも綺麗だよ!」

教科書には、魔石などの種類や何に対しての効果に繋がるか等、掲載されてる。




メニーポンズ学校は、いろんな家庭を受け入れていて、学費が滞らないように、救済措置も存在している。

色町と呼ばれる歓楽街出身で、その街に住む子どもたちは、街のボス四人が学費を払うことになっており、孤児院の子たちは、寄付金とバザーなどで稼いだお金で、学費を払ってる。

国民の子供は義務教育をきちんと受けねばならず、学校に行かせないなどの虐待行為は許されない。

場合によっては、罰を受ける。



「ふう。今年も学校に上がる奴らのリストを寄越しな。」

歓楽街の四大四天王が一人、マダム・ジーナは、椅子にもたれながら、部下の持ってくるリストに目を通す。

「…カルマが入学するんだったね。アイツに、よくよく言っておくんだよ。あの子に振り回されるなってね。とばっちりはゴメンだよ。」

タバコを吹かしながら、愚痴をこぼす。


カルマは、今年、小学校に入学する。

しかし、同じ学年に頭の痛い子たちも入学するのだ。

「いいかい。あんたら、客から絞れるものは、絞りな!あんたらの生活に掛かってんだ。」

マダム・ジーナは、色街では、男性向けのキャバクラやカジノなどを取り扱う元締め。

生活の基盤や安全を守る代わりに、住民たちは、店などで働いている。



「ほっほ。今年はうちからは、二人入学を果たしますからね。あの子達に祝福を。」

孤児院を経営してる神父様。

目元が隠れるほど長い眉毛と神父服を身に着け、温和にうなずく。

そばには、神父にうなずくシスターは、掃除の手を止め、神父の話を聞く。

「うちで育てた野菜やみんなで作ったミサンガなども好評ですから。皆さんの支援もあります。」

「甘んじず、我々の出来ることをやりましょう。」

賑やかに遊ぶ子どもたちを眺め、将来が明るいようにと祈る。




「ねえねえ、見て見て。大人っぽい?」

「その帽子、どうしたの?」

「落ちてた!」

「落とし物よ!先生ー!誰か、帽子忘れてます!」




「いい?あなた達、リーサが触る場所に、貴金属を置いたらだめよ?あの子、価値がまだわかってないし、何より、何かしら、やらかしたら困るわ。いいわね?」

「わかってるよ。ツェリおば様。」

「…今から、あの子に色々買い与えなきゃならないのに…心配だわ。」

「…。」

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