第7話 メニーポンズ

国土のほとんどは、自然に囲まれ、東西南北、それぞれの地方に適した気温と環境である。

北にあるマイナス50度を一年中、上回らない気温で、人が外を歩けば、吐いた息は凍り付き、何も対策をしなければ、凍結して、生死を彷徨う。



年中、吹雪が吹いて、視界は悪く、自然の厳しさが体現されたような地形は、おいそれと、近寄るような者はいない。

山には、過酷な土地を生き抜く生物がいて、とても強い。


何よりも、北で一番、恐れられ、知名度がある場所がある。

標高が8000メートル峰を越える高い山。

“キングブレスト”である。

キングブレストには、国の機関でもある監獄があり、重犯罪を犯した犯罪者ばかりが収容されている。



それを監視している者たちは、猛者ばかりで、厳しい環境の中、犯罪者たちを監視している。

脱獄を図る者もいたようだが、誰も成功してない。脱獄不可の要塞を誇る監獄。

そのような怖い場所のために、言うことを聞かない子どもたちに親は、キングブレストに連れてか行かれると脅すこともあるぐらいだ。


とはいえ、北の下の位置あたりには、人々が住宅を造り、寒い土地に備え、外気に一切触れない、温かさを保つ家が連なっている。

マイナス気温が通常になっているため、外に外出する際は、魔物の毛皮とブーツを着用している。名物は、鹿肉と保存食。餓えないように常に、保存食に余念が無い。





その反対の位置にある南の地方にも有名な砂漠地帯があり、キングブレストと連なる監獄が存在する。

“プリンセス・デシリアート”

広大な砂漠が広がり、あたりに湖などの水もなく、照りつける日射しは、皮膚をあっという間に、火傷をもたらし、喉の渇きが常に感じてしまう。汗をかいても、水分補給を怠ると、みるみる、衰弱し、果ては、ミイラになる。

こちらも重犯罪を犯した犯罪者の収監ではあるが、多いのは、政治犯。

こちらも脱獄を試みる連中がいるが、過去一度も脱獄を成功した者はいない。




砂漠地帯を抜けると、人々が普通に生活をしている。彼らのマーケット能力は、侮れない。他の地方に住む人々たちとはちょっと違い、肌の色が日に焼けたような肌の人々が多く、日差しから体を守る伝統衣装を身に着けていて、とても綺麗で有名だ。



西の地方は、大きな海流が流れる海があり、気候に関しては、梅雨を除けば、あまり、寒暖差は無い。海の観光地としても有名で、避暑地に訪れる者もいたり、海から獲った海産物に舌鼓をしたり、観光地区にあたる。

西の海を渡ると、魔女の谷と呼ばれる有名な一族が集落を築いていて、良く効く薬などを調合しては、売り捌いている。

万能薬を作っていたり、誰が使用するのか、わからない薬も作っていたり、副作用が酷いような薬も扱ってるため、国から、取り扱い注意を受けている。


魔女の谷の人間に恨みを買うなと言われるほど、神経質な人が多いと聞く。

ねっちこい性質で、相手が根負けするまで、追い回すようだ。


東の地区は、最も人口が多く、大きい都市もあり、学校や施設などもたくさん存在している。

リーサ達が住んでるのもこの東の地区。

元は、農業地帯で、野菜の出荷率も多い。

住宅街をずれれば、田畑が広がり、一年中何かしらの野菜が育てられている。

畜産業も盛んであり、国土の半数は、このあたりで育てられているのだ。




「あー、逃げちゃったぁ!」

「リーサ、頑張れ!!エブッ。」

田畑の横に流れる綺麗な川で、スペンサーに連れられて、来ているリーサは、スペンサーの願いにより、大きなザリガニを捕るのに、必死。

ワンピースをものともせず、バシャバシャと水音を鳴らして、ザリガニを追い込む。

バケツにはたくさんのザリガニが既に積もられている。

「よし、もういいだろ。リーサ、上がれ。」

スペンサーは、リーサに上がるようにいい、上がったのを確認してから、スペンサーは、川の水に微量の電流を流す。

スペンサーは、指を鳴らして、川に指を突っ込むと、電流が流れ、食らった大きなザリガニがアブクを吹いて、浮かぶ。

「よっしゃあ、捕れたぜ。他のザリガニは放流しよう。」

「捕れたの?わあ。大きい!」

「フフン。うまく行った。お小遣い稼ぎだ。行くぞ。リーサ。大きいザリガニ以外は、全て捨てて、大きいザリガニは、持ち帰るぞ!」

「わーい。」

お小遣い稼ぎに来ているスペンサーは、たくましい。今回は、川にあまりにも大きく育ちすぎたザリガニの駆除の依頼があり、ザリガニ程度なら子供も取れるため、小遣い稼ぎに人気。

依頼を出した家に向かい、報酬のお小遣いを貰いに行く。

「よし、色町のサイダーが買える。ご褒美だ。リーサ。」

「やったあ。」

色町で作られているサイダーは、とても美味しくて、炭酸がのど越しに良い。甘すぎず、でも、ちょっと甘いサイダーは、子供に大人気。



「あら、それで、こんなに汚れてるのね?」

「いやいや、ちゃんと見てよ!母さん、洗浄魔法をかけたよ!」

「ちゃんと見るのは、あなたよ。スペンサー。もう。洗浄魔法が苦手なんだから。」

スペンサーが自分とリーサに浄化魔法をかけたが、何分、彼は、そういった系統は、苦手。

濡れた服はかろうじて、乾いてるが、他はだめ。泥は付いてるし、シワもそのまま。

フィルは、浄化魔法を二人に掛けて、風呂に入るように促す。



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