第4話 入学式当日3
この辺りの子どもたちが通う学校で、国と同じ名前がついている。
我が国は、メニーポンズと言い、長年、平和で穏やかな気候を保つ自然豊かな国。広大で、場所によっては、自然に厳しいがその地区を任されている役人達が統治している。
国の名前を名付けられたメニーポンズには、
普通科と錬金術科のニ種類の学科があり、切磋琢磨と学んでいく。
その日、入学を控えた子どもたちを迎えるべく、教師陣は、準備を整えていた。
特に、甘えん坊集団と呼ばれるあの四人のクラスを受け持つ担任のゴットリー。
特徴的な鷲鼻とツリ目でまだ年齢は若いが、貫禄があるような出で立ち。胸元には、美しいアメジストのブローチをつけ、大きなつばの帽子を被っている。
「ゴッドリー先生、何かあれば、遠慮なく、仰ってくださいね。お手伝いしますから。」
「ありがとうございます。」
保育園から学校側に届いた手紙には、四人の特記事項が記されており、中々、甘えん坊でいい子たちではあるが、手がかかると、記されていた。
ゴットリーが四人の担任になった経緯は、学校側で、どうあの四人の扱いをするかを頭を抱えていた。あの四人だけでなく、今年は少しばかり、イレギュラーな子たちの入学がある。対応策を練らないといけなかった。
そこで、経験もそこそこあり、なおかつ、教育熱心で、平等に公平に誰にでもそのような対応が出来る彼女に一任された。
「初めが肝心ですわ。」
どのような子が来ようとも、そう、初めが肝心である。
リーサは、見上げた。リーサの担任なるゴットリーを見るために。
リーサは、カンが鋭い。これは、他の甘えん坊集団も鋭く、甘えん坊は、カンが鋭いのが、特徴かと言われるほど。
「かっこいい!!見て、素敵ー。」
「ねえねえ、そのブローチ、素敵ね?どこで買ったの?」
「わー、優しそうだね。」
「ねえねえ、抱っこして。」
わらわら集まる四人。興奮気味の四人を前にゴットリーは口を開く。
パンパン、手を叩く。ビクッ。四人は固まる。
「あなた達、ここは学校です。良いですか?立派な魔法使い、魔女になるために、いっぱい、勉強をし、いろんなことを学んでいくことがあなた達がしなければ、なりません。今日は、なんの日でしょう。」
「ハッ。知ってるよ!入学式だよ。お利口さんにしてなきゃいけないんだよ!」
「知ってるよ!」
「お利口さんだよ!」
「いい子だよ!」
言いつけを思い出した四人は、行儀よくする。
「まずは、講堂に向かいます。ニ列に並んで。」
キャッキャしながら、ニ列にきちんと並び直す子どもたち。ゴットリーは、一瞬も隙を見せないように、目を動かす。子どもたちが、勝手な真似をしないように。
「あら、大丈夫なの?ぐったりしてない?」
「もう、上の子たちがノアの入学式に出るとゴネだしたのを止めたのよ?そりゃあ、疲れが出るわよ。ツェリ。」
「ツェリ、あなた、人のこと言えないわよ。リーサがさっきから、興奮気味だったわよ。」
「リーサだから仕方ないわ。時に諦めは大事よ。大丈夫よ。本番に強い子だから。」
「フィルが大変でしょうに。」
甘えん坊集団の母親がおしゃべりに興じている。目立っているが気にしない。そんな気にするようなタマじゃない。
「あなた達、おしゃべりはそこまでよ。式が始まるわ。」
フィルから言われて、席に戻る。
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