第2話 入学式当日
入学式の朝は、晴天の日。
入学式の為に、準備を整える今朝は、忙しい。
キッチンからは、フィルが朝食を作っており、お腹が空くようないい香りが漂う。
「もう。まだ起きてこないのね?起こしてきてもらえる?」
「今、ロクサスがスペンサーを起こしに行ってる。」
お玉をかき混ぜなら、息子で長男にあたるリフェールに寝坊助を起こすように促すフィルは、もうと言いながら、スープを皿に盛り付けていく。
フィルは、この家の家事全般を仕切る母親であり、慈愛に満ちた女性である。
チョコレートのような髪色で、お団子ヘアーをしている。翡翠の目をしており、オルドーの目の色は、彼女に似た。
母の手伝いをしているのが、兄弟が多く、長男でもあり、両親からも絶対的信頼感を得ているリフェール。通称、リフ。
金髪で瞳の色は、薄い青色。
大学生であり、勤勉で、将来は、ハルベル家を継ぐことになっている。
「もうひとりの寝坊は、どうしましょう。」
「大丈夫だよ。フィル。ツェリなら起きたから。」
穏やかな声音で入ってきたのは、サラトガだ。リーサの父で、朝食の手伝いをしに来た。
ロッシュヴォークの特色の一つである銀髪に同じような色素の薄いグレーの瞳をしている。性格は、一言で穏やか。
「あら、あなたが起こしたの?それともマルクス?」
「娘の入学式だからね。ツェリも頑張ったんだから。いつもより、5分、早かったんだよ。褒めてあげて?」
「何を言ってるの。」
今朝は、サラトガが、ツェツリーエを起こした。悪魔の起こし方をするリーサが来る前に、起こし方を熟知するサラトガがツェツリーエを守った。
リビングでは、朝刊にざっと目を通しているマルクスと本日の主役、リーサが膝の上で、朝食を待っている。
マルクスは、金髪碧眼で穏やかな性格であり、誰に対しても柔らかい。姪であるリーサに殊更、甘く、リーサは、おじちゃんと呼び、マルクスは、ベイビーと呼ぶ。ちなみに、ベイビーと呼んでいいのは、マルクスとフィルのみである。相思相愛と言うやつであり、わがままであり、甘えん坊であるリーサは、二人が言ったことは、よく言うことを聞く。二人に対して、イエスマンなところがあるリーサは、毎朝、マルクスの膝で、甘えるのが日課。
ちなみに、リーサは、キッチン立入禁止。
料理をしているフィルの邪魔になるからと禁止にされている。母であるツェツリーエもだ。ツェツリーエの場合は、家事全般禁止である。才能がまるで無い。危険だからとマルクスが禁止している。
「いい匂いがするう。焼き立てのクロワッサンとコーンスープとあと、なんだろう。カリカリのベーコンに、目玉焼きかな?」
鼻がいい、リーサは、キッチンからこぼれてくる匂いにご満悦。
ガタンと階段から大きな音がした。寝ぼけたスペンサーが踏み外したのだ。イテーと叫ぶ声がして、背後から、ロクサスの声がする。
「クソー毎回毎回、この階段、ウザ。」
「寝ぼけてるからだろ。」
兄弟一、寝坊助であり、今も、髪があちこち、跳ねまくり、起きたばっかりだとわかる目つき。スペンサーは、金髪に緑色の瞳で、メガネを掛けている。スペンサーを支えるロクサスは兄弟1、2を争う体格の良さと力があるダークブラウンの髪色とブラウンの瞳をした青年である。
「あー。ネフィ、ちょっと洗面台を独り占めにするなよ。」
「うるさいよ。スペンサー。朝から、ちょっと騒ぎすぎ。」
洗面所では、先に使っていたネフィこと、ネフェルが使用中。金髪で瞳の色は、濃い翠。
兄弟の中でもちょっとだいぶ?悪癖がある性格。気分屋であり、マッキーからは、ネフェルの悪癖は、一生、治らないと言っている。ロクサスには頭が上がらない。
「ネフィ、ちょっとずれてやれ。今日は、忙しいから。」
「えー。…わかったよ。水を飛ばしすぎないでよ。」
「わかってる。」
バシャバシャ、スペンサーが水飛沫を飛ばしてるのをネフェルがちょっとと叱っている。
「ねえねえ、お庭でジャッキーとナギとガルナルクが裸だよ。」
正確には、上半身が裸である。朝練を毎朝してる三人は、武闘派と言えよう。
ジャッキーは、小麦肌であり、ちょっとくすんだ金髪にちょっと濃い青目で、年齢の割には、筋肉がしっかりついている。
ナギは、専門的知識を学んでいるため、他の子と違い、身体にタトゥーのような模様が入ってるが、性格は、穏やかで、モカブラウンの髪色と焦げ茶の瞳。
ガルナルクは、一番、男臭い。
ガタイが良いガルナルクは、兄弟で唯一の黒髪黒目。父いわく、父が溺愛してる弟、フランツの髪と瞳に似たのだと言う。
「時間だから、上がりなさいと言ったのに、エキサイティングしたんだね。」
マルクスは、3人の子供を呼び、フィルから叱られないように、念入りに、浄化魔法をかけられたお陰で、汚れも汗臭さも無い。
「いい?ベイビー。あとから、私達も行くけど、ちゃんと、先生の話を聞くのよ?式の間は眠くてもちゃんと起きていてね?お友達とおしゃべりをしたり、キョロキョロ見渡したり、見知った人を見て声を出したり、抱きつきに行ってはいけないわ。それから、オフィーリアちゃんとジオルクの言うことをちゃんと聞いてね?離れてはだめよ?それから、いい?アルミン達と一緒にいても、四人だけで行動しちゃだめよ?」
目線を合わせながら、注意事項を口にするフィル。
「知ってるー。」
返事だけは、いつも元気である。
フィルは心配でたまらない。
通常、保護者は、両親、もしくは、祖父母等が参列するが、今回は特例である。リーサの入学式で、失敗が許されない。学校側からもフィルやマルクスの参列は認められている。
リーサのブレーキの為に。
家の前に学校に行くための大きなバスが現れた。車窓から見える小さな子どもたち。
「あー!リーサ、おはよう!早く早く!」
「あー!おはよー!」
「アルミン、危ないから、身を乗り出さないの!やめなさい!」
「あー!フィルおばちゃんだあ。」
「アルミン、危ないから。」
後ろで支えている子のおかげで、アルミンは無事。
「行ってきまーす!」
心配をよそに、元気に向かう。
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