天才少女は孤高の果てに何を見るのか ―数学を愛したエマの場合―

第15章: 変わらぬ愛 - カレンとの再会

　修道院の静謐な空気の中、エマは窓辺に立ち、外の景色を眺めていた。心の中では期待と不安が入り混じっていた。今日は、あのカレンとの再会の日。高校時代の親友であり、エマにとって特別な存在だったカレンとの再会。それは、エマの心を大きく揺さぶる出来事だった。

　エマの脳裏には、高校時代のカレンの面影が浮かんでいた。自由奔放で、いつも笑顔を絶やさない彼女。二人で交わした知的な議論、共に過ごした楽しい時間。そして、カレンから突然のキスをされたあの日のこと。エマにとって、愛や性的な感情は理解し難いものだった。カレンの行動に戸惑い、その後、疎遠になってしまったのだ。

　あれから長い年月が経った。エマは修道院で神の愛に触れ、人生の意味を見出していた。そして今、再びカレンとの出会いがある。変わってしまった自分と、変わったかもしれないカレン。二人の間には、埋めがたい溝が存在するのではないか。そんな不安がエマの心をよぎった。

　一方のカレンは、修道院の門の前で佇んでいた。胸の高鳴りを抑えられない。高校時代、理解し合えると思っていたエマに、自分の感情を伝えてしまったあの日。その後、エマから連絡がなくなり、心に大きな傷を負った。それでも、エマへの思いは消えることはなかった。

　そして、再会の日が訪れた。カレンは緊張で心臓が飛び出しそうだった。修道院の重厚な扉の向こうに、エマがいる。今の自分には、エマとの関係を修復する資格があるのだろうか。そんな不安が頭をもたげる。

　エマもまた、再会の時を心待ちにしていた。神の愛に触れた今の自分なら、カレンの思いを受け止められるはずだ。けれども、昔のように無邪気に笑い合えるだろうか。そんな不安が拭えない。

　二人の心は、期待と不安で大きく揺れ動いていた。長い年月を経て、再び出会う親友。変わってしまった自分と、変わったかもしれない相手。新たな関係を築けるのか。そんな思いが交錯する。

　そして、ついに再会の時が訪れた。重厚な扉が開き、エマとカレンは再び対面した。言葉を失いながらも、互いの変化を感じ取った二人。空気は緊張に包まれていた。

　やがてカレンが、意を決して、口をひらいた。

「エマ、久しぶり……。あなたに会えて本当に嬉しいわ」

　カレンが、エマに歩み寄る。

「カレン、あなたも変わらないわね……。素敵だわ」

　エマは、カレンの手を取った。

「いいえ、あなたに比べたら。エマ、あなたは本当に美しくなったわ。内面から輝いているもの」

　カレンは、エマをまっすぐに見つめた。

「カレン……」

（カレンの瞳は、昔と変わらない。あの時と同じ、真摯な眼差し）

　エマは、カレンの瞳に吸い込まれそうだった。

「エマ、あなたを見ていると、高校時代のことを思い出すわ。私、あの時のことを謝りたいの」

　カレンは、申し訳なさそうに言った。

「カレン、もういいの。あの頃は、私たちはまだ未熟だったのよ」

　エマは、優しく微笑んだ。

「エマ、あなたの優しさに、私は救われているわ」

　カレンの目に、涙が浮かんだ。

＊＊＊

「エマ、あなたに伝えたいことがあるの」

　カレンが、真剣な表情で言った。

「何かしら？」

「エマ、私はあなたを愛しているわ。昔も、今も、ずっと」

　カレンの告白に、エマは驚いた。

「カレン……」

「同性愛は罪だと考える人もいるわ。でも、私は信じているの。真の愛に、性別は関係ないって」

　カレンは、力強く言った。

「私もそう思うわ。神の前では、すべての愛は平等なのよ」

　エマは、静かに微笑んだ。

「エマ、あなたの言葉に救われるわ。私、あなたを心から愛しているの」

　カレンは、エマの手を握りしめた。

（カレン、あなたの勇気ある告白に、私は心を打たれているわ）

　エマは、カレンの真摯な思いに感動していた。

＊＊＊

「カレン、あなたとは、昔から不思議な縁があるのよね」

　エマは、遠くを見つめながら言った。

「そうね。私たちは、何かに導かれるようにして出会ったのかもしれない」

　カレンも、同じように遠くを見つめた。

「高校時代、私はあなたに惹かれていた。でも、自分の気持ちを上手く伝えられなかった」

　エマは、当時を振り返った。

「私も、あなたに特別な感情を抱いていたわ。でも、それが愛だと気づけなかったの」

　カレンは、エマの手を握り締めた。

「私たちは、回り道をしたけれど、また出会えたのね」

「ええ、神様が、私たちを再び引き合わせてくださったのかもしれない」

　エマは、カレンの手を握り返した。

（神様、私たちの絆に感謝します）

＊＊＊

「エマ、あなたは私の人生を変えてくれたわ」

　カレンが、エマの目を見つめた。

「私こそ、あなたから学ぶことが多かったわ。あなたの真摯な生き方に、いつも励まされていたの」

　エマは、優しく微笑んだ。

「私がここまで来られたのは、あなたと出会えたからよ。あなたは、私の心の支えだったの」

　カレンの瞳に、愛しさが溢れていた。

「カレン、私たちはお互いに、かけがえのない存在なのね」

　エマは、カレンの頬に手を添えた。

「エマ、あなたとまた一緒にいられて、私は幸せよ。これからも、ずっと一緒にいましょう」

　カレンは、エマの手を握り締めた。

「ええ、私たちは、神様に結ばれた運命の絆なのよ」

　エマも、カレンの手を握り返した。

（神様、カレンとの絆に感謝します。私たちを、永遠に結んでください）

　エマは、心の中で祈りを捧げた。

＊＊＊

「カレン、あなたは私に、愛の意味を教えてくれたわ」

　エマは、カレンの目を見つめた。

「エマ、あなたこそ、私に愛の素晴らしさを教えてくれたのよ。あなたの愛に触れて、私は生まれ変われたの」

　カレンは、エマの手を取った。

「私たちは、お互いに学び合える存在なのね」

「ええ、私たちは魂の伴侶よ。これからも、共に歩んでいきましょう」

　カレンは、エマを抱きしめた。

「カレン、あなたとの再会は、神様からの贈り物だわ」

　エマは、カレンの背中に手を回した。

「エマ、あなたは私の人生の奇跡よ。あなたと出会えたことが、何よりの幸せなの」

　カレンは、エマを強く抱きしめた。

（神様、カレンという最高のパートナーを、ありがとうございます）

　エマは、幸せな気持ちで目を閉じた。

＊＊＊

　エマとカレンは、長い時間を共に過ごした。

　互いの人生を分かち合い、支え合う。

「エマ、あなたと一緒にいると、生きる喜びを感じるわ」

　カレンが、エマの手を握った。

「カレン、あなたと一緒だと、人生が輝いて見えるの」

　エマは、カレンに寄り添った。

「私たちは、神様に守られているのね」

「ええ、神様は、私たちの愛を祝福してくださっているわ」

　エマとカレンは、微笑み合った。

（神様、この幸せな時間を、ありがとうございます）

　エマの心は、感謝でいっぱいだった。

＊＊＊

「そろそろ、修道院に戻らないと」

　名残惜しそうに、エマが言った。

「ええ、でも、私たちの心はいつも一緒よ」

　カレンは、エマの頬にキスをした。

「カレン、あなたとの再会は、私の心に希望をくれたわ」

　エマは、カレンの手を握りしめた。

「エマ、あなたは私の永遠の愛よ。これからも、ずっとそばにいるわ」

　カレンは、エマを見つめた。

「ええ、私たちの愛は、時間も空間も超越するものなのよ」

　エマは、カレンの瞳に映る自分を見つめた。

（神よ、この尊い愛を、永遠に守ってください）

　エマは、心の中で祈りを捧げた。

　エマとカレンの愛は、神に祝福された、永遠の絆なのだった。