第11話 勉強会
「えーと、見苦しい言い争いはやめて、勉強しよっか??ってか、俺の家だからすっげぇうるせぇ。」
「黙って。隼人。」
「少し静かにしててください。隼人くん。」
「あなた、いい加減にしてくれない?何なのかしら。」
「あなたこそなんなんですか!!隼人くんを拒否したくせに!!あなたが拒否したから、彼は常に暴力を振られてたんですよ!!!」
「!?!?おい。どういう事だ?隼人。俺には言ったよな。『暴力振られてない。』って。」
「え?」
「あ、ちょっ、バカ!!それ言わない約束────それとちょっと駆は黙ってて。ちょっとややこしくなる。」
「…………隼人。どういう事かしら。暴力??」
「いや、その………な?」
「埒が明かないわね。えーと、楓さん?教えて。詳しく。」
「あなたに教える義理はないんですけど。でも、まぁ、そこの駆って人が知りたがっているようなので教えますね。『殴られる。蹴られる。恐喝はない。教師が率先して行っている。』と言った所でしょうか。まぁ、もっとありますけど。」
「隼人。それは親に言ってないのか??」
「言うわけないでしょ。言うことじゃない。っていうか、よく高校に受かったな。って卒業式の日も殴られてたよ。」
「う、ごめんなさい。」
「別に桃花のせいじゃない。」
「私も止められませんでした。すみません。」
「楓のせいでもないし。そもそもあの流れを止めろはむりがある。」
「ま、まぁ、いいか。っていうか俺ら何しに来たんだっけ??」
「勉強会だろ。ほら。始めんぞ。」
「あ、ちょっと始めてて。私はちょっと────
「ふぅーむ??まぁ、いいや。いってらっしゃーい。」
「というわけなので、ちょっとこっちにね。」
「あ〜れ〜。」
何しに行ったんだろ。まぁいいか。
「ほら駆。べんきょうすんぞ。」
「あ、はい。お願いします。」
「勝ちたいんだろ。」
「………おう。」
「いいなー。私ぼっちだなぁ。」
「気にすんなよ。向こうは向こうで話してるんだから。」
「なんの??」
「え?」
「は?」
え??2人とも分かってるんですか??
「え?駆、こんなことある??」
「えぇ〜??」
「ん??どったよ??」
「おい、こいつ、まじか??」
「たぶん、まじでわかってないと思う。」
「まじかぁ。」
「まじで何よ。」
「いや、何も。」
「何もないわ。」
「なんなんだよ。」
そのころ2人の女子組は………
桃花side
「それじゃ、話し合いをしましょうか。」
「話し合うことですか??ないと思いますけど。」
「それがあるのよねー。ところで、楓。貴女、隼人のこと好きでしょ。」
「ええ、そうですよ。貴女はどうなんですか。」
「私はね───好きだけどそんな資格はない、って言ったところかなぁ。」
「あぁ、振ったからですか?」
「いやいや、そもそも告られてないし、告られてたらキスされる時もOKしたんだけどね。」
「じゃぁ、告白すれば良かったじゃないですか。貴女が。」
「そう、なのよね。これは本当に私が馬鹿だった。因みに、暴露したのは私じゃないわ。中3の時はたしかに学校に行ってたけど、話さなかったもの。そのおかげで学校は灰色な感じがしたけどね。」
「そうですか。だとすると誰でしょうか?」
「隼人の父よ。」
「はぁ!?父親!?有り得ません!!」
「貴女は───自分の親を思い浮かべてないかしら?」
「っ、」
「あの父親は正真正銘ヤバいやつよ。」
「例えば??」
「そうね───隼人を犯罪者の方に落とそうとしたりしたわね。事実、落ちかけたわね。」
「それで、どうしたんですか?」
「私が拒否してなかったら、彼は確実に捕まっていたと思うわ。自分の父が警察に言ってね。」
「それは───自分も犯罪者の家族だとされるのでは??」
「ところがどっこい、直ぐに逃げる予定だったらしいわ。まぁ、私がキスを拒否したから隼人が捕まることはなく、隼人の父親も隼人の母親に訴えられて慰謝料をたんまりと払うことになったらしいけどね。」
「………そーですか。興味が失せました。ところで、告白されたと聞いたのですが。」
「やっぱりそれね。今回のお話はそれじゃないのか??と思っていたわ。」
「では、質問します。」
「どうぞ。」
「なぜ、その男と付き合わなかったのですか?」
「嫌だから。」
そう。その男は嫌だった。あの頃の隼人よりもひどい欲にまみれてた気がしたから。
「怖かったのよ。普通に。じゃぁ聞くけど、好きでもないし、知り合いでもない男に体という体をじろじろ見られていい気になるはずがないでしょう?気持ち悪いったらありゃしないわね。」
「それは同感です。」
「そうよ。しかも付き合えないってわかった瞬間手を出してきたのよ?怖すぎるわ。」
「………同感ですね。」
「だから、私は隼人に助けてもらうことにしたの。男の中で一番信用あるからね。」
「襲おうとした男に信用がある。ですか?」
「ええ。そうよ?だって、貴女もそうでしょ?」
「大正解です。」
「貴女がなんで好きになったのかはどうでもいいわ。ただ、貴女はライバル。でも同士。隼人が好きな者同士。話し合いながら、WinWinの関係を築きながら───戦っていきましょう?」
「ええ、そうですね。」
「あ、そうそう。私、敬語嫌いなの。外してくれる?」
「わかった。これでいいの?」
「ええ、いいわ。多分、家にいる人たち、全員敬語嫌いよ。」
「あ、そうなんだ。敬語抜いて驚かしてみよ。」
「いーわね。私も駆さんって呼んでたから、呼び捨てにしよ。さん付けめんどいし。」
「本性現した。」
「これが私よ。あなたは??どうなの??」
「私は────敬語使わない方があってるかも。それと、警告しておく。」
「なにかしら?」
「さっき話してた、クズ男の件。」
「………聞かせてもらうわ。」
「気をつけておいた方がいいよ。できればボイスレコーダー持っておいた方がいい。警戒を最大限まで上げておくといいよ。それと─────」
「そうね。注意しておくわ。ありがと。」
「別にいい。隼人くんが悲しむのはやだ。」
「じゃぁ、私もヤダから、シェアしない??」
「シェア??」
「そう。一夫多妻みたいな感じで。」
「隼人くんは、無理だと思うなぁ。」
「だと思うわ。だから、これは最終手段ね。」
「そうだね。隼人くんが悩んで、悩んで、悩みまくって、選べなかったらにしよう。」
「私が勝つけどね。」
「負けない。」
というわけで、リビングに続いているドアを開けると─────
「あ、おかえり。」
「ええ。ただいま。」
「はい。戻り………ううん。戻ったよ。隼人くん。」
「敬語無くしたの??」
「うん。無くした。」
「そっか。」
「で、あの二人は??」
「ん?荷物取りに帰った。」
「え?」
あら、驚いてるわね。残念ね。楓ちゃん。
「楓、どうしたのかしら??」
「なんでしょうか??」
「なんで敬語なのかしら??」
「じゃぁ、なんであなたは満面の笑みなんですか。邪悪すぎる顔ですよ。」
「あら、ごめんなさい。」
「むむむ、隼人くん。」
「なんだ。」
「泊まります。」
「俺は別に構わん。床で寝ればいいだけだ。アイツらの寝床はあるし、お前ら2人で寝ればいい。」
あの元幼なじみは2人で寝るのが確定なのね。
「いいんですか??」
「私は構わないわよ。」
「それじゃぁ、荷物取ってきます。」
「あ、勉強道具も忘れないでね。」
「分かってます。」
隼人side
夜。
「飯どうすんだ??隼人。」
「たしかに。どうするの??隼人さん。」
「香澄さん。もうさん付けしないでいいよ。めんどいし。」
「あ、そうなの?じゃぁ、隼人で。」
「ん、よろしく。香澄。」
「ん。」
「じゃぁ、何がいい?」
「「出前」」
「駆たちの幼なじみグループは出前。他は?」
「私、いつもの。」
「ほうほう。」
「私は───手作り料理がいいです。」
「出前が2票。手作り料理が2票ね。」
「隼人はどうなんだ??」
「んー、俺はなんでもいいや。」
「じゃぁ、手作り料理でいいや。」
「私もー。」
「なんなんだよ。食材あったっけな??」
「あるわ。」
「なんでだよ。桃花。なかったろ。」
「香澄ちゃん達に頼んでおいたもの。」
「はぁ。悪いな。後で返すわ。」
「あ〜、いいよ。別に。今日の食材予定だったし。」
「お前ら、料理できんのか??」
「私出来なくもない。」
って、桃花!!お前は料理できるけどしてないだろ!!
「俺らは───な。」
「うん。」
「出来ないんだな。」
「いや、ひとりじゃ無理だけど2人でなら大丈夫。」
「私は花嫁修業で習いました。」
「花嫁修業??」
なんだそれ。昔の人がやるやつじゃないの??
「気にしないでください。隼人くんは。」
「ほーい。じゃ、適当に作るかぁ。」
「え?隼人は作れんのか??」
「俺は、毎日作ってるし。桃花が作らないから。」
「私は作れないわけじゃないの。作らないの。隼人の方が美味しいから。」
「そうかぁ??」
「そうよ。」
まぁ、いいか。
「適当に食材借りるぞ。」
「いいよー。」
「あ、そういや、寝るのってどうすんだ??」
「それに関しては考えてある。家主命令で『駆と香澄が布団。桃花と楓がベット。俺がソファ。』だ。異議、異論は認めない。」
「はぁ!?」
「え!?」
「なんだよ??」
「い、いつも一緒に寝てないとはいえ、流石にダメだよっ!!同衾は!!」
いつも一緒に寝てない??え、どういうこと??ってことはたまに寝てるの??
「何言ってんだ??」
「まぁ、いいだろ。異論は認められないって言うんだし。」
「駆が言うならそうするけど。」
本当に付き合ってないんだよね??
「風呂は各自好きに入れ。」
「ほーい。」
「はーい。」
「わかった。」
「あ、じゃぁ私1番最後。」
「あ、俺も1番最後だな。これは親から言われてるんだ。」
「因みにやらなかったら??」
「母親に怒られる。罰ゲームだから。」
「私達も怒られるから一緒に入りまーす。」
「私、ぼっち??泣いていい?」
「ま、まぁまぁ。」
「むか!!」
「足踏むなよぉ!!」
いや、痛いから。小指ふむなって。それと桃花は桃花でなに脇腹つねってくるの??
そうして、寝る時間となって。
まじで疲れた気がする。なんなんだよ。一体。すっごい眠い。
ってか、結局勉強出来てなくね??ただ、遊んでね??まぁ、いいか。もういいや。まじで眠い。おやすみー。
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