第7話 体育祭
なぜ、こうなった………??
こうなるには体育祭の朝まで遡る。
「おはよぉ〜、隼人」
「はい、おはよう。桃花。」
「眠ぃ。」
「今日は体育祭だからな?」
「ぅん。」
「そういや、何色??」
この学校は少し特殊で、2クラスを1つの色にするのだ。
因みに、色は赤色、青色、黄色の3色である。
「あかぁ。」
「え、一緒なんだが………」
まぁ、俺が1組で、桃花は2組なので、妥当である。むしろ分かってたとこもある。
因みに、先生方は何一つ、『他クラスと組む』などと、言っていない。隼人達の勘である。しかし、同じクラスとは分からなかった様子。
「え!?まぁ、いいでしょ。」
急に覚醒したな。おい。………うん。まぁ、いいか。こいつだしな。
というか、同じ学校にいて、体育祭当日まで色確認しない幼馴染っているの??…………あ、俺らか。
何となく確認した気でいたわ。
「ねぇ、体育祭だるい??」
分かりきっていることを。
「だるい。」
「ズル休み、しちゃう??」
…………言わせてもらおう。
「馬鹿なのか?」
「ば、ばかじゃないわよ!?」
「いーや、お前は馬鹿だ。」
「う、うるさいわね!!黙ってろ、ばかっ。」
「馬鹿ってなんだ!?馬鹿って!!」
「ごめんさい。鈍感馬鹿だったわね。」
「なんか進化した!?」
「事実でしょぉ!?」
「いや、そうですけどぉ!!」
「ふん。釈然としないんでしょう?」
なんで心読めるんですか??
不思議だな。
「なんで心読めるの??」
「私だから。……幼馴染だからよ。」
「あ、ふん。」
そうなのか??そうなんだな。こいつが言うならそうに違いない。
ってやべ!!
「おい、急ぐぞ!!」
「あ、もうバカ!!」
「るっせ〜!!お前が悪い!!」
「あなたでしよぉ!?」
子供レベルな喧嘩。絶対こいつが悪い。
「あっぶねー。ギリギリじゃねぇか。」
「あなたのせいよ。」
「お前のせいだ。」
「あなたでしょぉ!?」
「お前だろ!!バカ!!」
「だれがバカですってぇ!?」
「お前だろ!!お、ま、え。」
「あなたでしょ!?バカはあなた!!」
「いや、俺じゃねぇよ!?」
「じゃぁ、誰よ!!」
「お前だろ!?」
「今は責任転嫁してる場合じゃないわ。」
「それはそう。」
「………」
「………」
このまま登校しきるまで、ずっと黙っていた。
そうして、登校し、SHRを終えて、グラウンドに出された。
「な、なんでここにいるんだよ………」
「それはこっちのセリフよ。」
「チッ」
「あっ、舌打ちしたわね!?」
………素通りしよ。
「……不干渉で。(小声)」
「はぁ、わかったわよ。」
分かってくれたらしい。
良かったね。
「………」
「………なんなのよ。バカ。(小声)」
なんか言っているようだが、不干渉と言っている手前、聞くことは出来ないな。残念。
そのまま、隼人達が出る競技となる。
「借り物………変なのじゃなければいいけど。」
「ほんとね。」
「喋りかけてくるな。桃花。」
分かってくれなかったらしい。
良くないね。
「うるさいわね。同じ色なんだから、関係ないでしょ。」
「そうなのか??」
「そうよ。」
「そうかい。わーったよ。」
仕方ない。俺が妥協するしかないらしい。
まぁ、いいか。
『それでは、借り物競争が始まります!!』
「はぁ、ほんとめんどい。隼人が休むって言ってくれたらなぁ。」
「残念だったな。体育祭くらい出ろや。」
「黙ってて。私は動きたくないの。」
「俺も出たくないけどな。」
「じゃぁなんで出るの?」
「なんとなくだ。」
違う。本当は楽しみたかったから。
お前と。
………ただの、幼なじみである桃花と。
そうして、俺らの順番となった。
「なんで、同じ場所なんだよ。」
「知らないわよ。偶然でしょう。」
「そうだな。多分そうだ。」
偶然でありたい。むしろ、偶然であってて欲しい。順番作るやつが私情入れるのだけはやめてて欲しいね。
『それでは、スタートォ!!』
「勝ちに行くわよ!!」
「はいはい。分かってますよ。」
ピストルが鳴る────
と、同時に隼人と桃花が駆けていく────
「とった!!えーとなになに────」
ボン///
と近くで音がした。
「なんだ!?どったぁ!?ってそんな暇はないや。さてさて、中身は何かな??っと────」
ボン///
と俺の耳に響いた。
「ねぇ、バカ!!」
「なんだ!?バカ!!よく分からんから、せーので言うぞ。………せーの。」
「借りていい?」
「おまえを借りてくぞ。」
は?
一緒?
借りていく相手が??
「ま、いいや。行くぞ!!桃花!!」
『おおーっと!?あの、愚かでバカな男子を冷たくあしらっていく『氷の令嬢』が手、手を繋いでいるぅううううう!?!?』
おい。ナレーターがやばいぞ。
『氷の令嬢』ってだれよ?
………あぁ、なるほどね??
………こいつが??ナレーターさん馬鹿でしょ。
って言うか、男子に対してめっちゃキレてるじゃん。何よ。『愚かで馬鹿な』って。こわ。
「ば、バニーガールさんいませんか〜??」
ば、ばにーさん??居なくね??そんなのはいない。って言うか………なんでそんなの借り物に入れられた??
「はぁい、バニーさんだよー。」
すっごいゆるいバニーさん来た!?来るんだ!?バニーさん。服緩いしなんか。胸が───
ん??………いたぃ!!いった!?
「なにすんだ!!このバカ!!」
「うるさい!!さっさと行くよ!!」
「はいはい。」
嫉妬したらしい。バニーさんに。
『おおっと!?そのまま1位がゴールイン!!毎回恒例の中身を聞きましょう!!』
「ふぅ、疲れた。」
『では、中身をどうぞ!!』
「え、あー、俺の中身は『世界一で美人だと思う人』だ。」
ボン///
とまた音が鳴った。
『なるほど、なるほど。確かに妥当ですね。いいですよー。では、桃花さんお願いします。』
「え、こ、これを言うの??」
『ええ、そうですよーって。あら。あらあらまあまぁ。』
「な、なによ。」
『えー、では、言いたくなさそうなので私から言います。中身は────『最も世界で大切な人』だそうです!!』
「は?なにいって───」
「………」
「ま、まじなのか?」
「ん、うん。ほ、ほんと。」
あぁ、嬉しいなぁ。かわいいなぁ。
でも、俺は────ダメなんだよ。俺だと。
他の人にその気持ちを出さないと。その恋心を。
「だから、付き合ってとは言わないわ。ただ───これだけさせて。」
「なにしてんだ………んむ!?」
そうして、桃花が、軽く唇にキスをした。
「だって、私の1人だけの幼馴染だし、私の心の中を知ってる人だから。他の人にはしないわよ。」
「い、いや、お前………」
「特別だからあなただけにするのよ。隼人。」
「いや、いいのか??マイクにモロ入ってるけど。」
「あっ………んのーーー、バカ!!」
そうして俺はビンタされた。痛い。なんで??
そのまま俺は体育祭の
『酷い。なんでだ。解せない。』
と周りに言ったら、
「自分で考えろ。バカ。」
と言われた。まじでなんで??解せねぇ。
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