第3話 ヘタレと認められた男の末路。

俺は─────どうせヘタレですよ!!

こうなるのは夕方まで遡る。



「はぁ、おい。桃花、俺の親が風呂一緒に入れだってさ。」

「拒否するわ。」


ピロン。


「メールに出ても??」

「どうぞ。」


えーと、なになに?もし桃花が拒否した場合はこれからメールを送るのでその通りに読みなさい。


「メールが来るので、読み上げます。」

「どうぞ。」


「え〜と、なになに??

『おい、頭お花畑なケダモノ共。性欲に飢えているかい?

飢えているんなら一緒に風呂入って、ヤれ。

飢えてないなら一緒に風呂に入るように。

因みに、これでも拒否した場合は次のメールで桃花の個人情報である胸の大きさ、尻の大きさを隼人におしえる。』

…………だってさ。」


「おかしいじゃない!!」

「おかしいだろ!!最後の方のやつ聞いちゃったし。」

「あ?聞いてたのか?自ら??」

「ちっげぇよ!!向こうが勝手に送ってきたんだよ!!」

「嘘ね。」

「だぁあああ!!もういいよ!!見せてやるから!!な??」

「………本当のようね。疑ってごめんなさい。」

「いいよ。…………で、どうする??

風呂とかに関しては特段やばいぞ?

多分なんもやってないのがバレた。」

「やってるフリって言うのもね。」


そうなんだよなぁ。どうしたものか。


「隼人が早く手を出せば直ぐに済むのだけどね?」

「そう簡単に行くものかなぁ。」


犯罪者としてなりそうな気がするんだが。



「ま、後回しかな。とりま推しの配信が今日やるから見たい。」

「そうなのね。じゃぁ、私も見るわね。同じの。スマホ見して。」

「はいはい。わかったよ。………今日の配信は─────19時40分からだな。」

「ちょっと中途半端ね。」

「理由は知らん。」




そんなこんなで19時まで割愛。


ピンポーン

ここで、冷たい視線を送る桃花。ちょっとは出ろや。まあ、綺麗な顔してるから、男が来るってことに対して少し不安なんだろうけど。


「はーい。誰ですか?」

「私よ?」

「はぁ、何?母さん。」

「今日、あなたの推しの配信じゃない?だから────と思ったけど辞めたわ。2時間は待ってあげるから、2時間経ったら一緒に風呂に入ること。」

「わかったよ。拒否権はないんだろ?」

「ええ。」

「それでいいかしら?桃花ちゃん?」

「まあ、それでいいですよ。」



配信を見終わって…………

「ん〜、やっぱ面白かったな。」

「そうね、意外と面白いのね。Vtyuberって。」

「そうだな。かなり面白い。…………さて、問題の風呂だな。」


そう。2人の母親から言われている風呂案件。


「そうね。………脱ぐときこっち向かないでよ??」

「当然と言いたいところだが、風呂場じゃ、水着も厳禁だからなぁ。」

「そうなのよね。」


結局はそこなのである。

いやね?水着OKっていうなら別にいいんよ?

ちょっと恥ずかしいだけどさ?でも────全裸はちょっと、ね?

…………なんだよ、みんなして。男子ならもっと喜べ、そしてヤれ。みたいな表情してさ?

怖いからしかたないだろぉ??(ヘタレた。)


「じゃ、先に風呂入ってるわ。」

「いってらっしゃい。すぐ行くわね。」


何この新婚夫婦みたいな会話。




隼人は湯船に浸かりました!!


「入っていいぞー。」

「ねぇ、そっちに体を拭く用のバスタオルってある??」

「んーと、あるけど??」

「わ、わかったわ。」


ガラッ。


……………手で覆ってんのがえろいなぁ。にしてもでっか。

あれ??こんな大きかった?

着痩せするタイプか?

にしても─────綺麗だなぁ。


「じ〜〜〜。」

やべ、バレてやがる。絶対零度の視線で見てくる。ちょっと痛い。それに、よく分からない視線がある。なんだ??股間のとこに目をやって─────あ、やべ。真っ裸やんけーーーーーーーーーー!!!!??!?!!?


「さーせんした。綺麗だと見とれてました。」

「ふ、ふーん。そうなんだ///………あっち向いてて!!体洗うから!!」(チラッ)

「わ、悪かった!!」


18分後

「は、早くね?ロングなのに洗ってるか?」

(くっそ、胸の動悸がっ!!)


「うるさいっ!!ちゃんと洗ったわよ!!……………私のむ、むね、揉むかしら??肩こりがひどくって。」

(うぅ〜、なんでこんなこと言っちゃうのよ!!私のバカ!!あんぽんたん!!)


「い、いや!!も、揉まれたくて言ってるわけじゃないだろ??

そもそもお前に理性はないんか!?ってか、俺が持たんわ!!(言ってることが支離滅裂。)」

(えぇ、ええそうですよ!!俺はヘタレだっ!!なんとでも言えっ!!せっかくの揉むチャンスを不意にしたんだからなっ!!)


「ほ、ほんとに揉まないでいいの??まあ、いいわ。失礼するわね。」

(うぅ〜、そんな私に魅力ないかな??

でも、理性が持たないって言葉は嬉しいわね。)


「い、いいけど??」

(くっそ!!なんなんだよ!!

じゃぁ、もみますね〜。とか言えばってか!?

無理だろ!?ヤ〇チ〇はこんなの出来るの!?

逆に尊敬できるわー。する気ないけど。1人を愛すことも出来ないならそれは正真正銘のクズだ。)


そうして、入り込んできたのは隼人の正面。因みに隼人には背中しか見えてない。



結局、手を出さずに風呂案件は終わった。


「あー、もう二度と一緒に入らん。胸の動悸でおかしくなる。」

「わたしも。体が熱すぎるわね。」



ピロン。

あ、この通知音は──────

『やぁ、風呂に入って手は出したかい??』

「出すわけないだろ。」


『は??あんた健全な高校生だよね??手出てないの??私が男なら胸揉んでヤッてるよ??』

「知らないよ。どうでもいい。」


俺は─────どうせヘタレですよ!!

というわけで、冒頭へと戻る。



『ったく、ほんと理性で本能の手網を持つのが上手いこと。あ、そうそう。これから毎日一緒に風呂入ってもらうから。』


??????


「え??」


これは、隣にいる桃花にも来たらしい。


「「はぁあああああああああああ!?!?!?」」



よって────キケンな風呂案件は終えることは不可能なのである。

この後、親に尋ねると、親曰く、『ここ風呂場でヘタレたんなら、毎日はいる褒美があっても大丈夫だよね??』

という、一般的な男子が喜ぶであろうご褒美地獄を承ったのである。(拒否しようとしたができなかった。やはり、母は強い。)



そうして、風呂場で手を出さなかったヘタレは褒美を手にしたのであった。

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