第3話 友人Aの前世②
重苦しい空気の中、霊媒師は友人Aの別の前世を語り始めた。
「貴方はとっても貧しい家庭に生まれたわ。けれど、容姿がとても可愛い子だったの。だからこそ、両親はこの子に幸せになってもらう為にいろんな事を考えたみたい」
綺麗な着物を着せてやりたい。綺麗な黒髪に似合う髪飾りをつけてやりたい。食べ物に不自由のない生活を送って欲しい。でも、今の生活のままではそれができない。
であれば、幼い頃から芸妓として家を離れて暮らした方がこの子の為になるのではないか――。
両親の間でこうした話し合いを重ねた結果、芸妓として生きるように義務付けられたという。
こうして友人Aの前世は幼い頃から親元を離れ、芸妓として生きていく人生を歩んだようだ。その人生は辛く、とても寂しい人生だったという。
「その当時の貴方は幼い頃にお父さんに抱っこされた記憶が忘れられないでいたの。芸妓として歳の離れたお客を取った時、お客を恋人としてではなく、実のお父さんのように見ていたの。それが今世の貴方に根強く残ってるみたい」
ここで友人Aは腑に落ちたように「あ……」と呟いた。
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