第2話 友人Aの前世①

「貴方、前世で人身売買のようなお仕事をしていましたね」


 それを聞いた私は〝いきなりなんて事を言い始めるんだ!?〟と思った。


 隣にいた友人Aの様子をチラッと横目で見ると、驚いてはいる様子ではあったが、不思議と霊媒師の言葉に耳を傾けていたので、私は何も言わずに霊媒師の言葉に静かに耳を傾ける。


「何百年前に生きていた貴方は男だった。貧しい農家の娘さんを遊郭に売る仕事をしていようですね」


 友人Aは霊媒師を疑うような目付きをしていたが、何も言わずに黙り込んだままだった。


 疑いの眼差しを向けられても、霊媒師は友人Aの後ろの方を見ながら話を続ける。


「いろんな村を訪れて、将来美人になりそうな娘がいれば目をつけて回ってたみたい。けど、中には貧しくても大事な娘は絶対に売らないって決めていた家もあった……けれど、貴方はその娘達を無理やり両親の元から引き離した」


 私はだんだん空気が重くなるのを肌で感じていた。呼吸をするのも躊躇われるような嫌な空気である。


 隣に座る友人Aは怒りとも悲しいとも取れないような表情をしていた。


 友人Aは少し考え込んだ後、声を震わせながら「それが今の私と何の関係があるんです?」と聞いていた。


「ありますよ。全ては繋がっているからね。子供を両親から引き離す……そんな仕事をしていたから、必要のない人の恨みを買ってしまった。だから、次の人生ではになってしまったの」

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