因果応報〜前世で犯した悪行が今世に及ぼす影響〜

梵ぽんず

第1話 相談

「私、一回り年上の既婚者としか付き合えないんです。既婚者と付き合っても先が見えないからやめなさいって友達からも言われてるし、自分でも分かっているんですけど――」


 赤裸々に語ったのは、私の友人Aだった。

最近、仕事やプライベートにて色々と不運が続き、有名な霊媒師の鑑定予約が取れたので、怖いから一緒について来て欲しいと頼まれたのだ。


 霊媒師と聞けば、胡散臭い詐欺師のような存在だと思われるだろう。


 だが、目の前にいる霊媒師はどこにでもいるような主婦という感じで、私の目には話しかけやすそうなおばさんにしか見えなかった。


 友人Aの話を一通り聞いた霊媒師はメモを渡し、「漢字でフルネームを書いて欲しい」とだけ頼んでいた。


「生年月日とか必要ないんですか?」

「えぇ。私は名前で視るからそれ以外は必要ないの」


 友人Aの質問に霊媒師はにっこりと笑って答えていた。


 ちなみに友人Aの名前には『菜』という文字が入っている。霊媒師曰く、この『菜』という文字がAの前世の行いを示しているそうだ。


「あぁ、これは少し根深そうね……」


 霊媒師は言いにくそうな表情で、友人Aの前世の話始めた。

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