8章 - 輝きの瞬間 ―キサラ、舞台を制す!―」
文化祭当日。
いよいよソロライブの本番だ!
一目キサラを見ようと、会場である体育館には人がごった返している。
やがて会場が暗転し、一瞬の静寂が訪れる。そして、スポットライトが一斉に点灯し、ステージ中央に一人の少女が浮かび上がる。
そこに立つのは、真っ赤なドレスに身を包んだキサラ。
美しい髪が光を受けて煌めき、まるで天使の後光のよう。会場からは大きな歓声が上がる。
♪キラキラ光る 未来への道
一歩ずつ進もう 君と僕と♪
キサラの透き通るような歌声が、会場中に響き渡る。その瞬間、ステージ上の巨大スクリーンに、キサラの姿が映し出される。
カメラが寄っていくと、キサラの瞳に宿る決意の光が鮮明に映る。
そして、歌に合わせて、キサラがゆっくりと歩き出す。
♪男の子? 女の子?
そんなの関係ない
大切なのは心♪
スクリーンには、キサラが男の子と女の子に次々と変身していく映像が映し出される。観客の目は、ステージとスクリーンを行ったり来たり。
キサラの動きが徐々に大きくなる。ドレスの裾が優雅に揺れ、ステージ上に花びらのような軌跡を描く。
♪ボクはボクのまま
君は君のまま
そう、それでいい♪
サビに入ると、キサラの動きが一気に加速。ターンを決めると同時に、ステージ上から花吹雪が舞い散る。キサラの周りを、キラキラと光る花びらが舞う。
スクリーンには、キサラの笑顔のアップが映し出される。その瞳には、まるで星空のような輝きが宿っている。
♪大丈夫、怖くない
一緒に歩もう
この先の未来へ♪
キサラが手を前に伸ばすと、まるで観客一人一人に手を差し伸べているかのよう。
会場からは、感動の雄叫びが上がる。
ダンサーたちがステージに登場し、キサラを中心に華やかな群舞が始まる。キサラの動きは軽やかで、まるで風に乗って舞っているかのよう。
♪キラキラ光る 君の笑顔
それだけで僕は 強くなれる♪
カメラがキサラの表情をクローズアップ。
汗で輝く頬。
真剣な眼差し。
そして時折見せる柔らかな微笑み。
全てが魅力的で、観客の目は釘付けになる。
曲が佳境に入ると、キサラの動きがさらに大胆に。
高くジャンプし、バク転を決める。
ドレスが大きく広がり、まるで赤い花が咲いたよう。
♪誰かと比べる必要なんてない
君は君のまま 輝いている♪
スクリーンには、キサラの過去の映像が次々と映し出される。幼い頃の笑顔、中学校の入学式、そして文化祭の準備風景。全ての瞬間で、キサラは輝いている。
曲のクライマックスに差し掛かる。キサラの動きが一瞬止まり、深呼吸をする姿が映し出される。
そして―
♪さあ、手を取り合って
みんなで歩き出そう
新しい明日へ♪
キサラの歌声が天井まで届きそうな高音で響き渡る。その瞬間、ステージ上の照明が一斉に輝き、まるで太陽が昇ったかのよう。
観客席からは大きな歓声と拍手が沸き起こる。キサラは最後のポーズを決め、満面の笑みを浮かべる。
汗で輝く顔、上下する胸、そして目に宿る達成感。全てが美しく、観客を魅了する。
「ありがとうございました!」
キサラの声が響き渡ると、会場は割れんばかりの拍手に包まれる。
ステージ袖では、タクミとミナミが感動の涙を流している。
「キサラ、お前……ほんとにすごいよ……」
「本当に……素晴らしかった……」
二人の目には、キサラへの深い愛情が宿っていた。
キサラは何度も深々とお辞儀をし、ステージを後にする。しかし、観客の熱気は冷めやらず、アンコールの声が鳴り響く。
この日、キサラは間違いなく、自分自身の輝きを見出したのだった。そして、その輝きは観客一人一人の心に、永遠に刻まれることだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます