第六話 ナツメ視点

一人暮らしの私は、自由気ままである。育てた農作物を街に下りて売りに行くが今回はあまり売れなかった。仕方ないのでトレーニングも兼ねてモンスター狩りを行い自給自足を行うことにした。森の中を進むと大きな黒い鳥と上に乗ってる人を見た。


「あの小さいフォルム、まさかあいつか?」


私は二年前結婚していた。その結婚相手この国の王子であるモンパ三世という男だ。結婚理由は王子からに指名だ。本当は断りたかったが、周りからの期待と王子とその周辺の圧力で断り切れなかった。


「ナツメ~今日から俺がお前の夫だえ!」


モンパ三世と結婚した事は後悔している。

こんな事は言いたくないが容姿が受け付けない。身長もとても小さく顔も醜い。おまけに品性も性格も最悪。私はわずか半年で別居し、残りの一年と半後に離婚した。


「まさか、まだ私に執着してるのか?」


あの男が森の中に入るという噂がされている、おまけに小さく大人しいモンスターをいじめてるらしい。


(そういう所も嫌いなんだ)


とりあえず進むとルーテルが何やら狙いを定めている。


(あれは…)


小さい三十センチ程のナメクジが弱々しく倒れていた。只のナメクジだが私は何だか見捨てておけなかった。ルーテルを追い払い小さいナメクジを拾う。


(酷い傷だ。この傷はルーテルじゃなくもしかしてあいつに襲われたのが原因もしれない…)


顔をマジマジと見る。


(可愛いな)

家に連れて行き、しばらく経つとそのナメクジはサイズが大きくなった。


(変わったモンスターだな)


そして、意識を取り戻した。何か声が聞こえる。


(ここは天国か?もしかして俺は死んだのか?)


もしかして彼の声か?

私は返答する。


「…いやここは森の中にある一軒家だ」


(あれ、俺の声が聞こえるの?)


また、声が聞こえる。


「ああ、私も驚いている。モンスターと会話ができる経験は私も初めてだ…」


本当にどんなモンスターなのだろう。でも不快感はない。

それどころか彼のフォルムとその性格がとても愛らしい。思わず私は抱きしめてしまった。


(可愛すぎる、食べちゃいたい位だ!)


どうやら彼はお年頃だったらしく、ドキマキしていた。

食事を作り、その後も色々会話をした。名前はタカナシ ユタカ。元人間らしい。


(まあ、モンスターも解明出来てない事も多いからな)


という事で一応納得した。

ユタカが眠りにつく。


(息子を持つとはこういう気持ちになるのだろうか…)


タカシへの愛らしい感情が湧き出てくる。

実は私にも娘が二人いる。とは言っても、血は繋がってない。モンパ三世の子供だ。あいつの子供かと疑う程、容姿端麗で気も合い仲良くしていた。

私も実の娘の様に接していたがその時に気持ちはまた違う。

もっと、深くて濃い。


「お休みタカシ」


私はタカシの顔にキスをした。

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