第五話

「ん~、さて何を買うか。タカシの好きな食べ物は何だ?」


(肉!)


「そうか、でも肉は結構値が張るんだよな。チクデンマウスの肉なら安いけど、脂身が多くてな~」


俺は今ナツメさんと街に下りて買い物をしている。


「おい、また例のナメクジがいるぜ。また盗みでもするんじゃないか」


「そうだな、でも何でナツメさんがあのナメクジと居るんだ?」


「まさかナツメさんあれと契約したんじゃ…」


「まさか、そりゃないだろう!!」


周りの視線と陰口が辛い。折角、ナツメさんと楽しいショッピングなのに…。


「ほら、辛気臭い顔をするな。あんな連中の事なんかほっとけ」


ナツメさんが励ましてくれた。


「おい、ナツメちゃん!どうだ、ダイナリマンモスの肉が入ったんだ。買っとけよ!」


「お~、ダイナリマンモスの肉か!でも高くて買えないよ」


「ナツメちゃんは特別に半分に負けとくよ!」


「まじか~!ダモさんサンキュー!」


「変わりと言っちゃなんだが…」


「デートはなしだ」


「ガーン!!」


美人の特権だろうか。ナツメさんは色々な品物を負けてもらっていた。


「ビッ!!ビーーー!!」


俺は悲鳴を上げた。

突然、何かをかけられ、皮膚が焼かれるように痛い。


「どうした、タカシ!大丈夫か!?」


俺の突然の悲鳴のナツメさんも心配そうにする。


「これは、塩だ。誰だ、ユタカにこんなモノをかけたのは!出てこい!!」


ナツメさん怒りの表情を見せる。


「どうした、出てこい!コソコソするな!」


「ナツメ、このナメクジを庇ったって損をするだけだぜ」


一人の男が現れた。


「お前達がタカシに塩をかけたのか!」


「そうだ!こいつを見てみろよ。醜いフォルムにヌメヌメしやがる。無駄にデカいのも気色悪い。おまけにこいつは盗みを働く」


「そうだそうだ!!」


「こんな気持ち悪いモンスター退治されちまえ!!」


口々に賛同する声が挙がった。


(俺はこんなにも嫌われているのか…。でも当然といえば当然か…)


ドン!!

銃声のような大きな音が鳴り、周り静まった。

音を出したのはナツメさんだ。魔法を使ったのだろう。


「…タカシ、私と契約するぞ」


(え?)


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