第3話煽るマスコミ

東条内閣出現で世論はいよいよ戦争か?前の内閣より踏み込んだ政策をするのではないか?と、戦争を望む声が多数あった。

世論は戦え!と言っているのだ。

各社新聞では戦争を煽る見出しばかり。

しかし、東条英機の心中は違った。

日中戦争で、18万人の戦死者を出している。

対、米、英、蘭との戦いを挑めばそれ以上の死者が出るのは火を見るより明らかであった。

東条英機はギリギリまで外交でどうにかしようともがいた。

アメリカは支那からの撤退、南部仏印からの撤退を突きつけるが、統帥部は怒っていた。

東条英機は外交の道を探していた、世論は大喜びだったが、軍務内では彼に失望した。

アメリカでは、東条内閣出現で衝撃が走ったと言う。

日本は攻めてくると。


外務大臣の東郷茂徳は、反戦派であり外交でなんとか妥協の道を模索する。

そして、運命の会議が始まる。

東条英機は、1,臥薪嘗胆、我慢して戦わない、2、即時、開戦、3、外交と戦争の準備の3案を提示して、これのどれかを選ぼうと決めた。

主要閣僚と参謀本部のたったわずかな人数で日本の未来は決まってしまった。

会議は何度も行われた。

「我々、海軍は1時間に40トンの油を使っている。まず、石油、鉄の配分を海軍側に有利にしてもらいたい」

と、海軍側は主張するも、

「陸軍も日中戦争で、戦車、砲弾が足りない。海軍に回す余裕は無い!」

「太平洋に戦車は浮かばされない!」

「何だと?」

と、海軍と陸軍の物資配分に付いて話が全然進まなかった。

企画院総裁の鈴木貞一は、物資はないのですと言う。


話し合いの途中、南部仏印に進駐すれば、物資は補給出来ると話しが出たが、大蔵大臣の賀屋興宣は、根拠が無いと言う。

会議は支離滅裂であった。

会議は終盤になってから、進む事になる。

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