under the rose 第4話 櫻鬼
人の世はあざとあざとし烏合の鬼
樹の下埋もれ逝く秘密を 桜鬼(はなおに)だけが知る
夜な夜な花びらの舞う森で
桜色のくちびるに愉悦を描き 誰かを拐(かどわ)かす
桜色の爪先が爪紅(つまくれない)に変わるまで
薄紅色のはなびらは血の色を濃くしていく
花に惑わされし人々の
ひとしずくの血と その身に蜷局(とぐろ)巻く黒き想いを代償に
一夜の桜の夢を与える
樹の下に埋もれるは 人の醜き黒い心
それを糧に桜はまた花を咲かす
やがて花は散り逝く
桜の孤独を知らず 人々は去り行く
誰もいなくなった森の中で
最後の花吹雪が舞う
黒きものを抱き 桜鬼は泣いて泣いて桜に還る
それは 在りし日の桜散る頃の約束
ずっと一緒に
いつか朽ち果てる日まで
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